せっかくの。
憧れることもないので、空を見た。
ときめきを期待したけど。
どうやら雲のせいみたい、想像通りの夜空があるみたい。
憧れることもないので、海を見た。
安らぎを期待したけど。
どうやら波のせいみたい、予想通りのうねりがあるみたい。
憧れることもないので、大地を見た。
癒しを期待したけど。
どうやら戒めのせいみたい、予感通りの争いがあるみたい。
せっかくの憩いの一日。
ときめきを期待したけど、想像以上に夜空は黒い。
待ちに待った憩いの一日。
安らぎを期待したけど、予想以上にうねりが荒い。
あっという間の憩いの一日。
癒しを期待したけど、予感以上にきな臭い。
見上げてるはずなのに、清らかな星の空は現れない。
見渡しているはずなのに、灯火たゆたう海は現れない。
見透かしているはずなのに、呑気な日々は現れない。
まるで、取り残された一人称の惑星。
まるで、取り零したひとりぼっちの生誕祭。
乱雑に撒かれた葉っぱに憐れをひとつ。
理路整然と敷かれた応報に因果をひとつ。
せっかくの憩いの一日。
これ以上の贅沢は望めない。