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第3話 迫りくる強制送還


 よく分からないけど強くて美少年なスコルが一緒なら、世界のどこにだって行ける気がする。わたしのことも笑って過ごしてくれるくらいだし。


「さぁて、一面焼け野原にされちまってありつける肉もいなさそうだから、とりあえず人間がいる村にでも行くか?」

「わたし、この世界のことはよく分からないし着の身着のままなので、そうしてもらえると~……」


 ハッとするけど、わたしの今の格好はどう見ても変質者寄り。


 部屋着のまま外に飛び出して来たし、正体が狼なスコルはともかく人間たちには絶対変な奴としか思われない。そうかといって彼がわたしの服を用意してくれるわけでもなさそうだし。


「あぁ、お前よく見たら……裸に近い格好してんな! もしかしてどこからか逃げて来たってことか?」

「逃げて来た……そうなるのかな。言っても信じられないかもだけど、全然違い世界から呼ばれて……そ、それで訳も分からずに~」

「へぇぇ……その世界で厄介な黒魔女だったから追放でもされたクチか」

「へ? 追放じゃなくて、召喚されちゃっただけで~」


 そもそも最大火力でお肉を焼こうとしてただけのグルメ好きな人間に過ぎないのに。帰る手段が見つかりそうも無ければ、このままスコルと一緒に好きなだけ焼きまくる人生……うう~ん。


「召喚か。そうするとさっきから感じてる気配は、ハティをどうにかしようとする追っ手だな」

「え、追っ手?」


 焼け野原な周りをきょろきょろしても、近くで人や獣の姿を確かめることは出来ない。でも彼は強さのレベルが違いそうだし、ここよりも離れた場所の気配を感じ取ることが出来るかも。


「ちなみにどんな追っ手が?」

「複数の人間……それもハティによく似た気配だな。そこそこ強そうな人間も混ざってるな」

「わたしに似た気配? そ、それって、まさか……」


 よく分からないまま召喚された場所から無我夢中で逃げてきたけど、わたしを呼び出したあの子はともかく、魔法の寄宿学校なら強い力を持った人がいてもおかしくないよね。


 もしかして強制的に元の世界に帰されちゃうんじゃ?


「……で、どうする? 俺ならすぐ片付けられるけど」

「か、片付けるっていうのは?」

「そのままの意味だぜ? 全部喰らい尽くす」

「ひぇっ! だ、駄目駄目駄目!! ま、まずは話を聞いて、それからでも遅くないですから」


 やっぱりきちんと話をして、わたしをどうするつもりがあるのかを聞かないと。そうじゃないとこの世界でやっていけるかどうかも怪しいところだし。


「そろそろハティにも見えると思うぜ。お前が思っているよりもかなりの数で来てるからな」

「へっ? かなりの?」

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