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人として生きられない精霊の話  作者: 無気力
精霊と竜
9/15

苗木と再会

植える段階は苗木程度にする。


1m程の……

「苗木デカイな(身長17cm)」


保有する魔素は減ったが、もう50年程前に上級精霊になった上で何だかんだ都市での収入?が良かったのでまだ上級精霊程度の魔素量は残った。


僕自身の魔素的には若木程にも出来たけれど、精霊樹を守る余力も必要だった。主に何でも食べる低能な魔物と、人から。


若木ならば、付きっきりで世話をすれば成樹になるまで100年以内。

苗木ならば、付きっきりで世話をしても100年以上はかかる……たぶん。

一応、木自体が魔素を吸収する事も有って、僕が魔素を集めてから植えるより効率自体は良い筈である。



僕自身は安定した深く考えずに出来る作業は嫌いじゃないが、精霊の基本性質的に精霊樹を育てたと言う話は噂以上に聞かない。





特に荒廃の酷い、草一本も無い場所で僕と精霊樹の苗木の生活は始まった。


砂と石の固い地面。平らでもなく、乾燥した様は前世の砂漠に近いのか。

土地の栄養は魔素が代用する。


そう、魔素さえあれば精霊樹はしっかりと根を張り、葉からはふつふつと水滴が湧く程である。


しかし、まだまだ1日目。

とりあえず僕と精霊樹の存在を隠す魔法を維持する事にした。




1年。

影響が及ぶ範囲の魔力や物質を魔素に変える。精霊樹は勝手に大きくなるので僕はする事が無い。

大地を魔素に変える愚は犯さないが、空気と言う物質は魔素に変える。この世界において何も無い場所に存在するモノは空間であり、空気はただの風魔法の残骸に過ぎない。


火の魔法を使えば熱が残り。

土の魔法を使えば土が残り。

水の魔法を使えば水が残り。

風の魔法を使えば空気が残る。


前世で言う酸素は魔素に置き換えられる。そもそも魔法を使った後に残るモノが無ければ世界は消費される一方になる。


大地に関しては、元を考えると土なのだが下手に削ると当然凹む。

「……ああ、陸の孤島にしても問題はないかな?」


でも崩れたりするかもしれない。面倒なのでやっぱり土以外を分解していく。






10年。

精霊樹は2m程になった。

僕が産まれた所は、思い返しても前世で見たどんな樹より大きかった記憶しかない。100年以上かけて成樹になる木が10年で2mとは成長が早いか遅いかもわからない。


まあ、それと。

大地に眠っていたであろう雑草が生えてきた。ソレを目当てにやって来る小さな魔物も現れた。

下手に大地を削らず良かったと考えるべきか、余計なモノだと考えるか。


「でも確実に僕の領域に入ってくる魔素の元は増えた、かな?」

「精霊樹を植えたのか」

「!」

いつの間にか隣にはクーレゥ()が居た。


「ニホが息子夫婦と親しい事にも驚いたけど、こんな所に精霊樹を植えるとは驚愕だね」

「僕もビックリしたんだけど。いつもっていうか前回も気配が無かったし。そしてやっぱりグルウガはクーレゥの息子さんなんだ」

「私の気配は無闇に怯えさせるんだよ。それよりコレはどんな気紛れ?」

「う~ん……。たぶん精霊として幼い僕って、まだ人に執着してると思うんだ」

「……守を置く?」

クーレゥはたぶん、僕の思った事以上に沢山の事に気がついて、一言だけ、返事をくれた。大人だな~。


「ううん。幸い?時間感覚だけは真っ先に狂ったから、()()()()落ち着こうかと。元々の性格が引きこもりなんだ」

「そう。だけど、息子がそろそろ顔を見せに来いと言っていたよ?子供が随分と凛々しくなったって」

「ああ、そう言えば」

「よし、送ってあげよう。戻るまでの間は私が見ておくから」


「……え?」



『うおおって、ニホか?』

『ニホ?遊びに来てくれたのね』

目の前には薄汚れたグルウガとキュクルゥ夫妻と3体の子竜達が居た。


「……転移?」

『ああ、父上だな?』

「使えるんだ……」

『う~ん、多分、精霊なら精霊樹経由で出来た筈だぞ?父上は血筋、我を目印にしたかな。それでも他者を転移させるのは父上位だが』

長く、一緒に居たグルウガは詳しく解説してくれる。懐かしいな。さっきまで忘れてたけど。


もうすぐ巣立ちを迎える3体はグルウガとキュクルゥの小型版だった。確かに美しい姿だが、正直な所はまだまだグルウガを上回るに至らないので、コピーのようだ。……見に来る程の価値は無かった。


キュクルゥもソレに気づいたのか、子供達を狩りに行かせた。

『久しぶりに綺麗にして貰いたい』

『対価は子供達がとって来る獲物でどうかしら』

「勿論」


僕の趣味のようなものだから、対価は要らないけれどせっかくの子供達の成長を見に来たと言う建前に合わせて貰う事にした。

本音?クーレゥに勝手に連れてこられた。この世界は強者が正義なので文句は言わない。


薄汚れたグルウガと巣を綺麗にして、ついでにキュクルゥも。獲物が思ったより大物だったので、サービスで子供達の汚れを落とした。

「じゃあね」

『ああ』


この先、再会するかどうかわからない別れを簡潔に済まして僕は飛び立った。


精霊樹経由の転移は出来そうだったが、僕が植えた方が未熟なせいか元の場所へは戻れず。ちょっとクーレゥにムカッとした。

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