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赤ん坊編

<ワシがカミじゃ、オマエはこれからヒトリのニンゲンをサイソクでシアワセにするのじゃ>

ゲームをスタートさせるといきなり神様と名乗るキャラが出てきて最速で幸せにしろと言ってきた。

<オトコとオンナ、どちらをエラブ?>

育てるキャラの性別を選ぶところから始まっているらしい。

森崎さんから渡された紙を見る。

「性別は男っと」

<このアカンボウのナマエはミキヨシだ。オマエのチカラでミキヨシをシアワセにするのじゃ!!>

神様と名乗る男がそういうと画面が暗くなった。

「名前は自分で入力しないんだな。それにしてもミキヨシって…」

オギャァァァァ

いきなり赤ん坊の泣き声が聞こえて画面が分娩室になる。

生まれた所からってクリアまで長いんじゃないか?と嫌な考えが頭を過る。

<おめでとうございます。あかちゃんはオトコのコですよ>

<アナタ、あかちゃんのナマエはどうします?>

ミキヨシの母親が旦那に名前の事を聞く。

生まれる前に決めないのかよ!!と心の中で突っ込みを入れる。

<そうだな〜、あっ、ミキヨシにしよう>

完全に思いつきじゃないか、現実だったら子供泣くぞ。

<いいわね、このコはミキヨシにしましょう。ミキヨシ、アナタのナマエはキョウからミキヨシよ>

この母親もけっこう適当だな。

また場面が変わり今度は自宅のベビーベットになった。

赤ちゃん編って必要なのか?と思っているとミキヨシが動いた。

だぁ、だぁぁ、ばぁ

「赤ちゃんの動きが妙にリアルだな。かなり動きに力入れてるみたいだ」

ばぁぁ、だぁ、えぐ

声の調子が変わってきた。

「ぐずるのか?」

えぐ、うぅぅぅ

<どうしますか?ナク コラエル>

選択肢が出てきた。

「ここはどっちだ?」

紙には[コラエル]と書かれていた。

これで泣き止むのか?と思っていると画面の右端にゲージが出てきた。

<ボタンレンダでナカセないようにしろ!!>

ただ選択肢を選ぶだけのゲームではないらしい。

連打開始の合図とともにボタンを連打する。

連打してゲージを一杯にしなきゃいけないのに全然たまらない。

「負けてなるものかぁぁぁ」

痙攣連打式からこすり連打式に変える。

ゲージの溜まる速度は上がったけれど爪への負担が大きい。

「耐えろ、耐えてくれ俺の爪!!」

ゲージと引き換えに爪が薄くなってゆく。

「ぬぉぉぉぉぉぉ」

時間にしたら20秒もないと思う、けれどこの戦いは熾烈を極めた。

俺はゲージに勝った、その代償として限界まで爪がすり減ってしまったが…。

泣く事を阻止した事に満足していると母親が部屋に入ってきた。

<あらあら、ミキヨシったらおしめがこんなにキタナクなってるのにナカナイなんてエライワね>

どうやらおしめが汚れた事を知らせる為に泣こうとしていたらしい。

汚れた事を知らせる為なら泣いても良かったんじゃないかと思う。

<ハハオヤストレスゲージジョウショウソシセイコウ>

「ストレスゲージ?」

先ほどの選択肢で[ナク]を選択するとストレスゲージが溜まったのだろうか。

森崎さんから渡された説明書には操作方法のみが書かれているだけなのでゲームシステムが全く判らない。

ミキヨシのオシメを変え終わった母親が部屋を出ていき、新しい選択肢が出てきた。

「次はどんな選択肢だ?」

<カラダをウゴカしてキンニクをつけろ!!>

このゲームは命令口調が好きらしい。

「ここではどうすればいいんだ?」

紙には一日に腕の運動×1、足の運動×2と書かれていた。

「運動は3回選択できるのか」

紙に書かれた通りに操作する。

すると月が替わりまた<カラダをウゴカしてキンニクをつけろ!!>と出てきた。

「ん〜と、この選択を3回すればいいのか」

そして月が3回ほど替わるとイベントが発生した。

<ア、アナタ、ミキヨシがはいはいしたわ!!>

<ウまれて4カゲツではいはいするようになったのかい?ミキヨシはテンサイじゃないのか>

「生まれて4ヶ月ではいはいってのは早すぎるだろ、普通は8ヶ月くらいだろ」

ゲームだからそこら辺はつっこんでも意味は無いのだろうけどつっこみたくなる。

<どこにイキますか?>

場所選択場面が出てきた。

どうやらはいはいが出来るようになった事で家の中を行き来出来るようになったらしい。

紙を見てどこに行けばいいかを確認すると[自由行動]と書かれていた。

「俺が勝手に選んでいいんだよな」

俺は居間を選択した。

居間に着くとまた選択肢が出てきた。

<ナニをしますか?>

ここでは[アシをキタえる]を選択するよう書かれていた。

[アシをキタえる]を選択するとミキヨシは居間にあった食卓テーブルを足で押し始めた。

「4ヶ月の赤ちゃんに食卓テーブル動かせないだろう」

俺の思ったとおりミキヨシの力では食卓テーブルを動かす事が出来なかった。

そしてまた月が替わった。

「次はどうすればいいんだ?」

紙を見ると場所移動は自由でとにかく足を鍛える事を4回しなければいけないと書かれていた。

「後3回か…」

俺はまた居間を選択肢2回目の[アシをキタえる]を選択した。

ミキヨシは一回目と同じ様に食卓テーブルを足で動かそうとする。

足でテーブルを動かそうとするミキヨシを見ていると一回目と違う所を発見した。

「テーブル少しづつ動いてないか?」

確認すると確かに食卓テーブルは動いていた。

そして4回目の選択を終えるとまたイベントが起こった。

<アナタキテ、ハヤクキテ!!>

<どうしたんだい?ミ、ミキヨシ!!!>

<ね?ミキヨシがアルいたわ>

んなバカなと思ったが画面上でミキヨシが立って歩いている。

「<カラダをウゴカしてキンニクをつけろ!!>って選択肢はこのイベントを起こす為に必要だったのか…」

俺はゲームを始めた時に神様が言った事を少しだけ理解した。

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