呼び出し
「今日は来てもらってすみません」
上司の森崎さんが言う。
「ゲームで何か重大なバグが見つかったんですか?」
俺は森崎さんに訊ねた。
「ゲームは発売を待つのみとなっているので問題ないですよ」
ならなぜ俺達を呼んだのだろう。
森崎さんは持っていたファイルからディスクと真っ白な表紙の説明書を出し、俺達に配った。
説明書にはボタンの説明以外は何も書かれていなかった。
「このディスクが私たちが呼ばれた原因ですか?」と同僚の増毛さんが聞くと森崎さんは「はい。今日は皆さんにこのゲームをクリアして欲しいのです」と言ってきた。
どんなゲームか知らないがいきなりゲームをクリアしろと言うのは無茶じゃないのか?
「何日以内にクリアしろと言うの?」
同じく同僚の口の利き方を知らない原口が聞くと「今日中にクリアしてください」と平然と言ってのける森崎さん。
「格闘ゲームか何かですか?それとも早解きをしろと?」
今日中にクリアしろと言う森崎さんに驚きを隠せない俺達。
「大丈夫ですよ、ジャンルは育成シュミレーションですから」
育てゲーを今日中にクリアしろだなんて相変わらず無茶な事を言う人だ。
「皆さんはこれから渡す紙に書いてあるルート通りにゲームを進めれば良いだけですので」
ただルートを辿るだけ?と皆疑問に思っていた。
森崎さんから紙を手渡される。
「一ルートだけですか?」
紙を見た俺達の声が重なった。
「はい、皆さんにはそれぞれのルートをやって感じたこと、気がついたことを教えて欲しいのです。それでは皆さんお願いしますね」
そういうと森崎さんは部屋から出て行ってしまった。
「んだよ、たったこれだけのために呼ばれたのかよ」といきなり愚痴る原口。
「これだけやるだけで一日分のお給料がもらえるならいいじゃないですか」という増毛さん。
俺はとりあえず用意されているゲーム機にディスクを入れた。
軽快な音楽と共にタイトルが出てくる。
画面には<タイムアタッカー〜最速の人生〜>と書かれていた。




