冒険者について
沈黙が続き、俺が戸惑いを見せているとユウマさんが口を開いた。
「話変えよっか。よし!次は職業の話をしようか。アトラはこの世界の主な職業は分かる?」
「まぁ、大体なら。警備などの公務員。商売をする商人。作物を作る農家。」
その後も俺は知る限りの仕事を挙げていった。
だがここの文明レベルは中世ヨーロッパにみあった職業が主になっていてそれと加えて魔法絡みの職業などがある。
文明レベルがヨーロッパにみあっているためシステムエンジニアやゲームクリエイターなどの電子機器を使って仕事をする職業は現在は存在していない。
だからそれらを抜いて全て言ったと思ったのだが…………………
「惜しいな。まだ一つ出てないな。言ってしまうと、それ以外正直どうでも良かったかな。」
一つの職業が頭をよぎる。
だがその職業は目立った職業でもなくかがやきを失った職業。
かがやき見失ったとは、昔は周辺の弱い魔獣を倒し報酬を得たり護衛をしたりと言う内容の仕事をしていた。
しかし現在は弱い魔獣は借りつくされ強敵の魔獣しか残ってはいない。
それに伴い強い魔獣しかいない周辺に採取に行くなんて自殺行為もいいところ、護衛をつけたところで生還は難しいだろう。
そんなことがあり今は忘れられた職業となっている。
また
その職業は残酷と言われている。
怪我をしたり、死んだりしても 親族にお金などが出るわけでもなく、失業者がゆく道だと言われているからだ。
「分からないの?あれだよ、あれ。」
「言うんですか ?」
「言わなくてどうするの 。」
「冒険者………ですか。」
「そうだね。もう分かっているかもしれないけど僕は冒険者だよ。」
なんとなく会話の流れから受け取ることが出来た事実。
だが、冒険者という職業に就いているのにもかかわらず余裕かつ不安そうな様子を見せない。その姿は恐怖も覚えるほどだ。
「やっぱりですか………大体 分かっていましたけど、疑問があります」
「何かな?何でも聞いていいよ。」
「冒険者という職業。悪い噂ばかりですし、給料もいいと聞きません。表現の仕方が悪いかも知れませんがそこのところ大丈夫なんですか?」
こんな質問は誰だって浮かぶもの。
だからこそ、聞けなかったりすることがあると思う。
さらに今は聞きづらい内容だった。
だけどユウマさんはすぐに答えた。
「そうだね。お金や仕事に関しては全くと言って不満はないよ。だって給料もいいからね。」
「えっ?不満、ないんですか?」
咄嗟に聞いてしまう。
冒険者で不満のない人など聞いたことがなかったからだ。
年をとれば、それに比例するように強さは低下していく。
そうすると、冒険者としての人生は閉ざされてゆく。
強くなければ、報酬の高い依頼も受けられない。
だから不満を持つものが多い。
なおかつ、依頼は少ない。
なぜなら王都の警備隊や王都直属の魔法使い達の魔法師が片っ端からモンスターなどを駆除していくからだ。
「不満なんてなにもないよ。逆に何でそんな事を聞いてくるのか不思議でしかないよ。冒険者はモンスターを狩って、その証拠を交換所へ持っていけばお金がもらえるんだよ?」
「は、はい…………………」
おそらくユウマさんは強いからモンスターを狩ること自体が簡単で体力も使わない遊びだと思っているのだろう。
「だから冒険者はいい仕事なんだよ!みんなに伝えておいてね、アトラ。」
それはユウマさんだけだと思いますけどお〜。
「まぁ、余談はここまでにしておいて、話を戻そうか。魔法を使いたいんだよね。」
急に話を戻し、ユウマさんが少し真面目な顔になったから驚いた。
魔法を使いたい。
言ってしまえば、たったそれだけ。
「はい。ユウマさんは僕が魔法を使えるように変えてくれるんですか?」
この質問は真面目に答えてもらわなければならない。
なぜなら俺は魔法を使いたい。
もしもユウマさんが使えるように変える方法を知らなかったら関わる意味がない。
すなわち俺とユウマさんを繋いでいた線が突然、プチッと切れるということ。
でも、今想像していた事にはなって欲しくない。
だって、魔法……………使いたいから。
「もちろん!その方法を知らなかったら、わざわざアトラに魔法の話なんて振らないって。」
「そんな事はどうでもいいので、教えて下さい!」
使えるようになれるという喜びと その方法は何なのかという好奇心が混ざりまくって自分の事しか考えていなかった。
「まあまあ、そんなに焦らないで。減るもんじゃないんだし。」
「その方法は減らなくても時間は減っていきますよ。」
時間は無駄にはできない。
一秒でも早く使えるようになって、自分がどこまで行けれるのか試したい自分が心の中にいる。
逆にどこまでが限界なのかが怖い。
だからその限界を超えるためにもっともっと頑張らなければならない。
「早くしましょう。僕はいち早くつかいたいんですよ、魔法を。」




