魔王の存在
「アトラはさ。」
「はい。」
「魔法、使いたい?」
「もちもん使いたいですよ。」
俺は即答した。
というよりこの世界で魔法を使いたくない人などいるのだろうか。
いやいないだろう。
いざというときの護身としても使えるし、生活の中でも役に立つ事があるからだ。
「だったら僕がアトラに魔法を教えてあげるよ。」
その言葉を待っていた。
言われなかったらどうしようとも思っていたが…ユウマさんが興味を持った、魔法が使いたいか?、と聞いた時にこう聞かれることは予測できた。
「え、いいんですか?」
「僕が断る理由なんてある?」
そりゃ、あげようと思えばいくらでも出てきそうだが…。
「時間とか大丈夫なんですか?仕事とかの。」
「大丈夫!問題ないから。」
「そんじゃ、お願いします。」
「任せて!」
これで晴れて俺は魔法を使えるようになる…
のかもしれない。
たとえ魔魂が目覚めていなくても。
「さっ!これから魔法について学んでみよう!」
「魔法について?俺はいいですよ、魔法についての知識なら備わっていますから」
俺に魔法の知識は十分すぎるほど備わっているはずだ。
今更一からやり直しなんて意味がないにも程があるってものだ。
「本当にそうかな?確認程度にやってみない?」
いわいるテストってことか?
あんまり舐めないでいただきたい。
見た目子供なんだけど…
「分かりました。受けて立ちましょう。」
森の中でのテストが始まる
「そんじゃあ、まずは魔法には属性があるよね?それを全部答えてみて。」
正直言って余裕だ〜。
「火と水、それに雷や土、風に光に無です。」
火や水はその名の通り、火や水を出す。
雷は静電気を起こしたり、電気を発生させる。土は砂を出したりするのはもちもん、木の芽を育てることができる魔法。
光は明かりをつけたりできる。
光には治癒魔法が含まれているが、治癒魔法は難易度が高いため使える魔法使いは少ない。
でも、ユウマさんは使っていた。
俺が魔獣と戦闘したあとに。
本当に何者なんだこの人。
名前もそうだし…。
そして最後は無。
これは身体強化などが含まれる。
なぜ身体強化などが無なのか判明はされていないが、多分 直接的に相手に攻撃していないからだと思う。
この世界の魔法の属性ではジャンケンの様な力の関係はほぼないに等しい。
使う魔法の威力や使う人の魔力によって威力が変わるからだ。
だから水属性の魔法を使ったとしても火属性の魔法を使った人の魔力が高かったり威力が強いと水でも火に負けてしまう。
ただし、条件が同じだった場合は物理的に水が勝つだろう。
少なからず相性ってものはあるのだ。
「ん〜、惜しい!あともう一つあるんだな〜。」
後もう一つ?
俺は腕を組み人差し指で自分の腕を叩く。
主な属性は6つなはずじゃ…………6つ?
6つじゃないかもしれない。
あまり世間には浸透していなく、ほぼ使われない 使えない属性………………
「闇属性……です………か?」
「そうそう。正解。この7つが魔法の属性だよ。」
「ちょっと待ってください。闇属性って人間は使えないじゃないですか。」
確かに闇属性の魔法を使える人間はまずいないはずだ。
闇属性とは簡単に言うと光属性と反対の効果を持つ魔法。
相手の魔力を奪ったり、通常の魔法より威力が高い攻撃ができる。
でもこれは、魔界に住む者しか使えないと言われている。
理由は定かではないが魔界のものは何らかの能力を持っているらしいのだ。
この世界にも魔界という世界が存在する。
魔界には魔王がいて、その世界を統一している。
そして、その下に四天王、幹部、と このように上下関係もあるらしい。
最近はゴブリンなどのモンスターがこちらの世界で湧いていると噂がたったりもする。
ただしゴブリンの件以外は本で読んだことだ。
「そうかな?僕は…………出来ると思うよ。」
「無理ですよ、闇魔法を使うなんて。」
どんな確証があるか分からないがユウマさんはドヤ顔だ。
確かにユウマさんがすごい人ということは分かるが闇魔法は流石に無理だ。
「そもそも闇魔法は使われた事例がないんですよ?」
「それは分からないよ?事例がないんじゃなくて、目撃した人がいないだけじゃないかな?」
「そんなことあるわけないじゃないですか!」
「そっか〜。そんじゃさ、ゴブリンが湧いていたって話は聞いたことある?」
「あります。」
でも、それも噂。
謎だ。
「もしも本当にゴブリンがいたとすれば、どこから来たと思う?」
考えられる場所は一つしかない。
この世界だった場合、今までの歴史の中にゴブリンの群れがいるなどという証拠は出てきていない。
となれば………………
「魔界、ですか?」
「そうだろうね。そしたらゴブリンたちはどうやって来ているのかな、魔界から。」
確かに不思議なことだ。
この世界と魔界は別次元に存在する。
そうすると、別次元へとワープすることの出来る魔法がないといけない。
でも、そんな魔法は存在しない。
というより出来ないだろう。
でも魔法しかそのことを実現出来そうでない。
「魔法しかなさそうですが」
「正解!パチパチパチパチ。」
口で効果音をたてながら手を叩くユウマさん。
「正解って、何でそんなことが言えるんですか?」
「僕は前に見たんだよ。何かの本で。高度性次元転移魔法をね。」
「高度性次元転移魔法?」
思わず聞き返してしまう。
「そう、僕はどこかで見たんだ。でもどこで見たかが思い出せない。でも内容は少し覚えているんだよ。」
「内容…………………とは?」
「高度性は自分の思った場所に転移させる。次元転移はそのままの意味。別次元へと転移する。そしてそれをするには光魔法と闇魔法を使う。だけどなぜ光魔法と闇魔法を使うのまでは分からないんだ。」
これが事実ならば恐らく、俺が一度目の死を遂げたときにリーフの元へと送られたのは高度性次元転移魔法を使ったからだ。
ものすごく気になる。
もっと知りたい。
だけどユウマさんはこれ以上は知らなそうだ。
「つまり、魔界にはその魔法を使える者がいると言いたいんですか?」
「そうだね。可能性が一番高い。」
そこで沈黙が続く。
当たり前だ。
こちらの人界には使えない魔法を魔界の者は使える。
さらに、この話が事実だとするならば魔界からいつ攻めてくるのかも分からないし、守ることさえも困難と言えるだろう。
こんな今の状況は絶望的。
さらに、魔界の者は光魔法が使えるということ。
圧倒的に不利だ。
でも、やらなければならない。
それは魔王を倒すこと。
魔界の軍勢は無差別に人界の人々を攻撃し、破壊をもたらした。
魔王がその気になればこの世界を崩壊させることなどたやすいことだろう。
昔読んだほんによると今はまだ起きていないみたいだ。
だが目を冷ましたら幹部やゴブリンなどを大量に転送してくるに違いない。
そしたらせっかくの異世界ライフを棒に振るうことになってしまう。
このユウマさんに魔法を教えてもらいゆくゆくは…
そう思うと魔王討伐を深く心に誓った




