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異世界帰還者ノイジーライフ  作者: 完熟ライム
プロローグ 魔王決戦・勇者帰還編
5/17

第5話 帰還part2

やっつけ感のある帰還になってしまいましたが。

…後悔は、ないです。

その日は、朝から国中がざわざわと忙しなく。


城下町の会話の声が、城内にまで響いてきた。


勇者ハルが、魔王フォボスを倒して数日が経過し。


世界に平和が訪れ。


世界中で訪れた平和を祝い踊り、そんな日が何日も続いた。


そしてー。



今日、勇者は。


元の世界に帰るのだった。





王国の領内にある、古い遺跡。



そこに、俺はいた。


ここは、俺がこの世界で初めに目にした光景である。


元の世界で死んだ俺は、そこでこの世界の危機を救う人物を探していた神の提示した条件に応じ、この世界にやってきた。


最初にここの祭壇に召喚された際は、元いた世界と掛け離れすぎて混乱した物だが、もはや見慣れた物である。


…ランドゥラム国王に帰る事を伝えた後は大変だった。


やはりその日がきたか、と王が言うと。


王の号令の元、兵士達が一斉に動きはじめ。


…1週間後、俺との別れを偲ぶ凱旋が開かれた。


俺が今まで訪れ、危機を救ってきた国の王族や、世界に名を馳せる剣士や旅芸人など、世界中の用人達が一斉にこのランドゥラム王国に集った。


皆、俺との最後の会話を楽しみ、懐かしみ、泣く人までいたほどだ。


俺もこの世界で随分と大人物になったものだ…。


募る想いも沢山あったが、それら全てを言うと果てしない時間が掛かる。


そして、その凱旋が終わり。



こうして、俺は今まで共にしてきた仲間達、沢山世話になった国王や、数々の勇士達とともに、この遺跡を訪れたのだったー。


俺は、祭壇に足を運ぶと、皆の方に体を向け、言った。


「みんな!今までありがとう…!俺は!この世界で学んだ事、知った事。全部、忘れない!」


本当に、この世界で学んだ事は計り知れない。


様々な技術を学んだ事も、精神的に学んだ事も。


「ありがとう、勇者様!!」「勇者様に対する感謝の気持ちを、俺達も忘れない!」「向こうでも頑張れよ!!」


兵士達が一斉に感謝や、応援の言葉を述べる。


「ハルゥー!!俺達も頑張るからよぉ!帰ってもちゃんと頑張れよ!!」


「そうよ!ハル!私達、ハルが救ってくれた、この世界で、精一杯頑張る!ハルは向こうに帰ったら一市民に過ぎないかもしれないけど!私達はハルを、勇者として語り継いでいくわ!!!」



イスクスとラーニャが、泣きながら思い思いに言葉を発してきた。


二人とも…今までありがとう…。


イラハも、ありがとう。


イラハは、俺達が世界を救った後、俺達とランドゥラム王国には帰らずに、自分が元いた街に帰っていった。


勝手に街を抜け出した事を謝りたい、と決心したイラハは、一足先に俺との別れを済ませ、あの街へと帰っていった…。


凱旋の際にもおらず、もう会えない少しばかり悲しくなったが、イラハも頑張っているのだろう。



ー俺も、頑張らなくては。


「ーああ!皆、じゃあな!!!」


そして、それぞれ涙を浮かべている仲間達に背を向け、祭壇に立つ。


そしてその中心にある汚れ一つない水晶に、手をかざし、祈る。


この祭壇は、神様の居る天へ繋がる入り口の様なものだ。

この水晶球に手をかざし、特定の人物が祈ると、一定時間神様と意識をつなぐことができる。



ー。神様。

俺は、魔王を倒しましたよ。


俺は神様にそう送ると、すぐに頭の中に文が入ってきた。


ー。うむ。しかと見届けていたぞ。

儂からもありがとう、ハル。

そなたは確かに、真の勇者だったぞー。


そして。


ー。さぁ、そこにゲートを開けよう。


俺の目の前に、光の扉が現れる。


ー。そのゲートに触れれば、天界へと来ることができる。さぁ、通りなさい。


神様がそう促す。


俺はその光の扉に歩みを進めようとした、その時。


後ろから。


「うわっ!なんだ!」


「………!?貴方様は……!」


「あっ!其方は…!」


「戻って!」


先程別れを済ませた兵士達の叫ぶ声。


ドタドタドタ、と階段を駆け上がる音。


「……なんだ…?」


不信に思い、その場に留まる。


誰かが、こちらに向かってくる…!?


俺がその拳を握りしめ、身構える。


何が起こるか分からない。

俺は神経を拳に集中し、きたるなにかに備える。


しかし俺は数秒後、その拳を緩めてしまった。



なぜなら。




そこから現れたのは。




「ハル!イラハも行く!」



「………イラハ!?」




先日、ひと足早く別れを済ませた、イラハだった。



背にはその幼く小柄な体躯に不釣り合いな超大型のリュックサックを背負っている。


そして、それらの重量もろとも、俺の方へ突進してきていた。




「えっ、ちょっ、あっ!ああぁああああ!」


「さすがハル。大胆」


力を緩めていた俺にその突進を受け止める事はできず、モロにイラハ(大体リュックサック)にぶち当たり、イラハを抱く形で転げる。


心なしかイラハは楽しげだったが、ラグビー選手を彷彿とさせる勢いのあったタックルのせいで、俺とイラハの回転はとまらない。


その先には、先程俺が向かおうとしていた、ゲート


イラハと共にそのゲートに触れると、俺とイラハがその扉が吸い込まれた。


「計画通り…。…突入…!」


「あぁあああああぁああああー!!!」


なんとも情けない悲鳴と、イラハの笑みと共に。


俺とイラハは、この広大な世界を後にした。







いやぁ。

前回の話に、イラハの話が入らず、どうしようかと思いましたが。


無事に纏める事ができました。


世界を救って帰った勇者と、それについていったイラハ。


はたして、どうなることやら。

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