#06「侍は依頼を達成する」
魔力レーダーに従い「とら」を発見、捕獲して依頼は達成。
セレスさんへ「とら」を届けた。
ちなみにセレスさんは、泣くほど感謝してくれた。
猫探しの報酬は、美人さんの笑顔と銀貨5枚。妥当だな。
次の依頼は「薬草採集」。
街の囲いの外の森で、ポーションやエリクサーのもととなる薬草を採ってくるのだ。
「ねぇ、ヒナ。僕は職業スキルで、鑑定を貰えたんだけど、君を鑑定してもいいかな?」
フルムの爺さんで学んだ。
断りもなしに勝手に「鑑定」するのはマナー違反だ。
僕は同じミスは繰り返さないのだ。
了承が得られたので、ヒナを「鑑定」する。
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name︰ヒナ
age︰15
rate︰D
job︰魔導師(Lv.1/125)
skill
・魔法格(B)
・魔力操作(B)
・聖魔法(B)
・闇魔法(D)
・炎魔法(B)
・水魔法(A)
・雷魔法(B)
・風魔法(C)
・土魔法(C)
・魔術(D)
degree
【魔導師見習い】
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「おお!結構いいんじゃない!?」
-普通……かな?
『普通じゃないぞ?成り立ての魔導師にしては上々だ。
お前さん、自分やフルム爺のステータスばかり見てきたせいで感覚狂ってるんじゃないか?』
-自覚はありませんでしたがもしかするともしかするかもです。
高めらしいヒナのステータス。
しかし僕は、少し傲慢かも知れないがこのステータスに思う所があった。
-このステータスじゃあ、僕がずっと付いていないと危ないんじゃ?
『まぁ、高いとはいえレベルだって1だしな。
街の囲いの外は基本的に危険なんだろ?
オーク辺りと一人で出くわしたら、即死だな。
いや、オーク相手なら、孕ませられて苗床行きって所か。
良かったな、即死は免れたぞ!』
-これじゃあ、僕が護らないと駄目だから、パーティとして成立しないよね?
『そうだな。パーティとは対等な協力関係の事だしな。…………………まぁ、対等に出来ない事もないが』
先輩がリュックの中で変なことを言う。
-何をすれば、対等に、僕と同じくらいのステータスになれるんです?
『うーん、番になればあるいは。』
-番?つまりは、ヒナと夫婦になれば、ヒナが僕と対等にパーティ組める程強くなるの?それだけで?
『侍の嫁さんっていうのはな、特別でなければならないんだよ。
だから、特別な職業に就いていないといけない。
だが彼女は「魔導師」。
これは、確かに希少ではあるが「侍」と比べると普通の職業に分類される。
だから、職業「侍」は許さない。
そんな普通の女が妻になるなんてな。』
-職業が許さないって……?
『だが所詮職業は職業。
本人の意思は変えられない。
ならばどうするか?妻になる女が特別でないなら「特別にすれば」いい。』
-つまり?
『職業を改変しちまうんだよ。お前さんの魔力を使ってな。
より強力で、世界に影響力のある職業にな。』
-なるほど。上位の職業に進化させてしまうんです?
『そうだ。だから、番になっちまえば、正確に言うと初夜を迎えれば、彼女の職業が改変されお前さんの悩みも解消されるってワケだ。』
-へぇー
初夜ね。
まぁ結婚するのはほぼ暗黙の了解みたいになってた事だし、それが多少早まるだけだよな
◇
先輩と会話していると、目的地の森に着いた。
ここは、現れる魔物がスライムとか、ゴブリンとかで弱いのばかり、更にポーションやエリクサーに使える薬草が群生しているので、駆け出し冒険者には人気があるスポットなのだ。
しかし。
「やっぱり、分かんないな……」
僕は、薬草に関する知識を全く持ち合わせていない。
それっぽいのを採って帰ってサリーに怒られるよりは、と思い、サリーに貰った「薬草採集シート」(換金対象の薬草とその値段が書かれたシート)を見ながら、ヒョイ、とつまみあげ、ポイッ、と薬草採集用のカゴ(ヒナが背負っている)に投げ込む。
また、ヒョイ、のつまみあげ、ポイッ、と投げ込む。
ヒョイ、ポイッ……ヒョイ、ポイッ……ヒョイ、ポイッ……ヒョイ、ポイッ……
ふと、ヒナを見てみると…………………………
ヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッヒョイポイッ………………………………
「いや早くない!?」
恐ろしいスピードで薬草(しかも一番高く換金されるもの)をカゴへと放り投げている。
「凄いな……!なんで分かるんだ?」
「いやぁ、お恥ずかしい話ですが、小さい頃、父さんに教えてもらった高い草をお小遣い稼ぎに集めて商人に売ってたからですかねぇ。慣れだよ慣れ。」
ヒナが得意そうに言う。
しかしその手は止まらない。
それどころかスピードアップしている。
こうして、カゴはヒナの「隠れスキル︰お小遣い稼ぎ」によって、あっという間にいっぱいになった。
◇
ギルドへ戻って、薬草を提出すると、サリーに驚かれた。
「依頼を受けてからまだ六時間と経ってませんよ!?その間に、ペットを見つけて、しかもこの薬草の量って……」
「あの……?」
「ちょっと、来てください。」
サリーが、僕ら二人を率いて、階段を上っていく。向かう先は……三階。案内された扉には「ギルドマスター」と書かれている。
「マスター?います?」
サリーが扉をノックしてから呼び出す。
その後で僕達は慌てて話し合う。
(どどどどーしよジン!怒られちゃうのかな?)
(なんで怒られるんだよ?依頼を二つ、午前中に終わらせただけだぞ!?)
(あれかな?依頼が終わるのが早すぎる。適当にやったに違いない!みたいな?)
(何だよその真っ黒い思考!?)
(私達、クビになっちゃうのかな?)
(そんなまさか!)
サリーがガチャリ、と扉を開く。中にいたのは……。