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侍戦記  作者: 五十猫
第1章︰職業は……「SAMURAI」?
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#05「侍は猫を探す」

「ねぇ〜、ジン?どれがいいと思う?」


僕達2人は、あの決闘騒動の次の日の朝、ギルドへ行き依頼の貼られた掲示板を観ていた。


「そうだな、まだレートも一番下のGレートなんだし、薬草採集とかペット探し辺りが丁度いいんじゃないかな?」


掲示板に残っている依頼はそのほとんどがGレート用の簡単なもので、薬草採集やペット探し、盗賊退治やゴブリン退治などだ。

それ以上の依頼は、Gレートには受けることが出来ない。


「じゃあ、初めての依頼はその二つに決定だね!」


依頼の紙を持ってカウンターで受付してもらう。今日の受付嬢もサリーだ。


「行方不明者のペット探しに、薬草採集ですね。うん、初回の依頼としては妥当です。お二人共、気を付けて行ってきて下さいね。」


「「はい、行ってきます!」」



冒険者ギルドで扱う依頼にはいくつか種類がある。

一つ、国や商人、個人からの依頼。これには今回のペット探しが該当する。

二つ、ギルドからの依頼。これは常に依頼されている、常設依頼が多く、今回で言う薬草採集が該当する。

依頼を達成した冒険者に金を払うのは、当然ながら依頼した人物だ。

それで言うと今回は、個人とギルド両方から金を貰うことになる。


「ねぇ、ジン。ペット探しってさ、どんな動物を探せばいいのかな?」


「ヒナ、依頼の紙を良く見ていなかったのか?いなくなったペットの特徴は、飼い主の家まできて聞いてくれって書いてあったろ」


「わ、分かってますー!ジンが覚えてるかどうか確かめただけですー!」


「そうですか。」


本当だろうか。嘘だったら後でとっちめてやろう。



依頼主の家は、街の僕の家とは反対側にあった。


「こんにちはー!冒険者ギルドの者ですがー!」


「待っていましたよ。さぁ、どうぞこちらヘ。」


依頼主は二十歳位の若い女性だった。名前はセレスさん。

部屋の中は片付いており、とても可愛らしいぬいぐるみや置物があり、なんて言うか……とても女性らしい。


「それで、私達がさがすペットって言うのは?」


ヒナが質問した。返答は、要約するとこうだ。

・昨日十七の刻頃仕事から帰ると、飼っている猫の「とら」がいなくなっていた。

・今までこんな事は一度も無い。

・「とら」は、虎のような黄色と黒の縦縞模様が特徴の猫で、首輪の色は青。

・名前を呼ぶと反応する。


「うーん、あの情報だけだと、この街を囲う塀が他の街より大分広いこともあって、発見に相当時間かかっちゃうかもな……」


セレスさんの家を出て、猫がいそうな場所を探してみるが、一向に見つからない。一時間程探したあと、ヒナがぼやいた。


「まぁそうかもね。」


『おい、何してんだ』


例のごとく、僕のリュックに収まった先輩が聞いてきた。


-ペット探しですよ。あ、先輩、昨日からそのミケから出てませんけど、良いんですか?


『あぁ、この中居心地良くてな。出たくない。』


-マジですか。入ってみたいなー。あそうだ、先輩、猫のいそうな所って心当たりありません?


『猫かー。猫は自由気ままだからなぁ。分からん。てかお前さん、魔力レーダーは試したのか?』


-いやぁ、僕の魔力レーダーは範囲が狭いんですよ。

僕を中心に十メートル位しか感知出来ないんです。

あ、でも職業得てからは鍛練でも剣術ばかりで、魔法の方はやってなかったなぁ。


『だろ?使ってみろ。

今のジンは、大賢者位の魔力はあるはずだからな。

いや、それ以上か。』


-まさかそんな。言い過ぎですよ。


僕は先輩の言う通り、魔力レーダーを展開した。

魔力レーダーは、僕の足元を中心に、感知出来ない程に細く練られた魔力(僕は「魔糸」と呼んでいる)をまるで蜘蛛の巣のように広げるというもので、魔力を持っている者と、この魔糸を踏んだ者の両方を感知出来るという優れものだ。


僕の感知領域が広がっていく。

五メートル、十メートル、二十メートル、まだまだ広がる。

五十、百、二百、三百、五百、千、、、

……僕の魔力レーダーは、5キロ程まで広がり、丁度この街と同じくらいの面積をカバーできた。

というより、そこで止めた。

猫は街の中にいるはずだから。


頭の中に流れ込んで来る膨大な情報から、猫だけを取り除く。

そして……


「見っけ!」


「え!?どこ?どこ?」


一人集中する僕の目を盗んで、屋台で買ったホットドッグを頬張ってサボっていたヒナが戻って来た。


「あっちだよ。ついてきて。」


僕は、「とら」の方へ歩いて行く。その後ろを、ヒナが追う。


「ちょっと!どこにいるのよ?全然見えないけど?」


ヒナは分かってないけど、無視して進む。

この魔力レーダーの展開と情報の処理にかなりの集中力が必要なのだ。


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