表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

第4話 旅の除け者

「ウェン? どうだい?」


 ともテルと庵は、廃屋と化していた小屋に滞在していた。

 庵は一人深い森の中に入り、そこの中で【ファイル】を開いていた。

 中に封じ込めていた妖を解放をする為であった。

 ウェンも、その中の一人で【千里眼】を操る妖と人間の中立ハーフだ。

Jrジュニアこりゃあ、一体全体どゆことさね』

「ん? なにがだい?」

『Jrが欲するものの、気配が全く視えないよ』


「そぅか……」


 庵は小さく息を飲み宙を見上げた。

 風もなく、生温く空気が漂う。

『ときに。Jr? いよいよ、伊藤の奴に追い詰められているみたいじゃなぁ~~い?? 俺は知ってんだよォ~~う?? ファイルされてても視えるんでさぁ♡』

「……有難う。じゃあ、ファイルにもどーー……」

『女と結婚して所帯を持って欲しいって、弟が望んでいるだけじゃないかい♡ 身を固めればいいじゃないかぁあ♡』

 ウェンはサングラスをかけ、大きく口を開かせた。

 彼は、庵を弄ぶことが大好きで。

 堪らなく、どしょうもなく大好きだった。


「オレと所帯を持つ女性は可哀想だよ。だから、いままで清いままなの。死ぬまで清い身体でいるつもりだし!」

『女かよ。いひひ♡』

「うっさいなぁ」


『あ』


 突然、ウェンが宙を見上げた。

「? どうかしたのかい? ウェン??」

『気象が、動いた……』

「!? どこ?? どこだ?!」

 庵はウェンの腰を激しく叩いた。

『消滅★ しました♡』

 そんな庵を抱き締めるウェンに、

「っぎゃぁああ! 離せェ~~‼」

 ジタバタ、と暴れ始めた。

 そんな庵の耳元で、ウェンが囁いた。

「!? ぅ゛、あ、ぁ、うん。そのことはーー」

 いい辛そうに口ごもる庵。

 そんなときだった。


 ガキィイイッッ‼


『ああ。来ちゃったんだ、テルるんちゃんってばァ♡』

「キサマに、あだ名でいわれる筋合いは! ない‼」

 バサ!

 ともテルは両手を羽に変え、足も鳥の鋭利な爪にし、ウェンに攻撃を仕掛けた。

 庵が傍にいようと、お構いなくである。

「っちょ! ちょっと待て! ととと、ともテルッッ‼」

 流石の庵も【旋律】を呼び、自身の前に経文陣を放った。

「!? っぐ、ぁアア゛! この!? なんのつもりだ! 庵ッッ!?」

「ともテル殿! オレごとるつもりだっただろう‼」

 抱き着かれた格好のまま、庵はともテルに強い口調でいう。

 それに、ともテルも憤慨していい返す。

「そんな真似をする程度だと思ったのか? 私を甘く見過ぎだ!」

 喧々囂々の二人に、ウェンがほくそくんだ。

『テルるんちゃんもJrが所帯持った方がいいと、思うよね?』

「はぁ?! 馬鹿も休み休みにいえ! この子供が所帯だァ?! 誰が相手するもんか。たく、頭がおかしい妖だな!」


『Jrは成人男性で、テルちゃんよか遥かに年上だぞ♡』


 その言葉にともテルが目を見開き、庵の顔を真っ青な顔で見た。

 信じられないものを見るかのように。

 その視線に、慣れている庵が答えた。


「オレは――二千と四百ちょいの歳だよ」


「――~~はァ?!」


 声を大きく響く森の中。

 鳥が木から飛び立っていった。

 庵の年齢はともテルよりも、確かに遥か上で、ともテルもいい淀んでしまう。

「そんな子供の、姿なりしてなに、ソレ」

『そうしないと妖力が暴走しちゃんだよーJrは、さらに法力に魔力に、純潔種サラブレッドだから気が気でないんだよw 日常生活もね♡』

 自慢げにいうウェンに、

「嘘ついてんじゃねェぞォ? あァ゛?」

 ともテルが凄んだ。

「いや。すっごい悪いんだが。ともテル殿、事実だぞ??」

 庵本人が認めると、ともテルが武装を解いた。

 戦意喪失したからだ。


「――……所帯、か」


 そういい漏らし、ともテルが視線を地面に落とした。

 だが、すぐに。

 顔を勢いよく持ち上げた。

「ははは! 誰がこんな子供の容姿の奴を相手にするもんか! 所帯?! ないない!」

 大笑いするともテルに。

『ああ。【八又鴉ヤオラ】は中性でしたね』

 ウェンが微笑んだ。

「おい! 庵、このムカつく野郎をどうにかしろよ!」

「はいはいっと。【済。ファイルOFF】!」


『バイバーイ♡ Jrに、お嬢さん♡』


 ようやく去った妖に、庵とともテルが佇んでいた。

「なにをしてたんだよ。勝手に、一人で」

「……調べ事をするのは集中力も必要なんだ。悪かったね」

「こ、今度から、……一人の単独は、止めてもらおうか」

「はいはいっと」


「キサマ。分かってないだろう、絶対」


 歩き去ろうとする庵の尻を、ともテルは蹴飛ばした。

 そして。

「私が、キサマを監視していくからな! 覚悟しろ!」

 声を震わせながら、いい叫んだ。

(面倒くさいなーだから、嫌なんだよなー繋がりってさー)

 いわれた庵は、苦笑するほかない。


「で。キサマは、なにを調べていたんだ?」


 ともテルの問いかけに、

「それは――……」

 次いで庵も諦めて言うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ