プロローグ2
玉の輿……それは、女性なら一度は夢見る事かもしれない。
かくいう私も、いつかどこかで物凄い大金持ちに見初められてとか、いつか素敵な王子様が現れてとか……シンデレラストーリーに憧れていた。
なんて、バカな私……。
現実はそんなに簡単で甘くない。かなり複雑なものであった。
それが異世界とくればね。
しかも何故か、別人になってしまうし……。
これは、私が異世界で、玉の輿に乗るまでの話である……と思う。
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「ココ……どこ?」
私はポカンと口を開いて、周囲をキョロキョロと見つめました。
見渡す限り、青、あお、青色!? 他は茶色ばかり……。
木がいっぱいありますね。足元は雑草だらけ。上を見れば、空も見えないほどの、木の葉っぱだらけ。多分。
何よりも見たことのないような木や草がいっぱいです。
だって、葉の色が青いんですよ、みんな。葉っぱって普通、緑色ですよね?
だから、思わず口から飛び出ても仕方ないですよ。
「ココはドコ? 私は、ダレ?」
とまぁ、自分の事を本当に忘れてはいないですけど、私は、このまま何も考えずに見なかった事にしたくなりました。
うん、二度寝しよう。
これは夢だ。お休みなさい。
寝袋に入っていた私は、そのまま目を閉じ、もう一度眠る事にしました。
ですが……その瞬間、ものすごい声が聞こえてきました。獣みたいな吠え声!?
びっくりして飛び起きてしまいましたよ。
「え? 何、今の雄たけび!?」
私は、鬱蒼と茂った森の中(多分、森だと思う)、寝袋に入ったままぴょんぴょんと飛んで、辺りを見渡しました。
ですが、鳥の鳴き声や木々の騒めきもすぐに止み、再び、周囲は静寂に包まれます。
「うそ、これって夢じゃないの?」
私は、寝袋のチャックを下ろして手を出し、確かめるように頬を抓りました。
「……………………痛い」
どうやらこれは、現実のようです。