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16 巨大蟻と遭遇しましたが?


 お腹も膨れて満足した私は、リュックを持って来てくれたボス猿と話しをしていた。


『オンジン、ほんとウに、アリ、がとう。カンシャ、する』

「ううん、こっちこそ、食事や泊めて貰ってありがとう。朝御飯、本当に美味しかったです」


 リュックを背負いながら、ニコニコと笑顔で返事をかえす。でもやはりコメーが美味しいというのは不思議みたい。ボス猿はややきょとんとした表情で首を傾げつつも、ニィッと歯をむき出して笑った。


『コメーのタネ、その、フクロ、に、いれて、オイタ。オンジンのこうぶつ、コメー、ふしぎ』

「わー、ありがとう」


 少し重くなったリュックを肩に感じながらお礼を述べると、何やらボス猿が周囲に集まっているキーモンタ族のみんなをキョロキョロと見渡していた。


 どうしたのかな? 何かを探しているみたい。


『チビ―、どこ、イッタ?』

「チビ―?」


 キョトンと首を傾げながらボス猿の様子を窺った。ボス猿は、ドンドンドンと力強く足踏みをする。何かの合図のようだ。すると、集まっているキーモンタ族の中から小柄な猿もどきが出てきた。

 おそらく、キーモンタ族の子供だろう、彼(?)彼女(?)は、すぐ近くまで来ると軽く私にお辞儀をした。


『この、チビ―、もの、しり。やく、ニたつ。おんせん、アンナイする。にんげん、まち、アンナイも、デキル』

「え? 子供?」


 子供が案内猿なの?と、ちょっと戸惑ってしまう。でも、すぐにボス猿が訂正してきた。


『チビ―、こども、チガウ。これ、でも、おとな、キーモンタぞく。いちばん、ノ、しっかり、もの。あんしん』

「へぇー、そうなんだ。チビー、よろしくね。」


 私がチビーに笑顔を向けて挨拶すると、その小さな小猿もどきのチビーは、コクコク頷いた。

 チビーは任せろという感じで、自分の胸を叩く。


『オンジン、ありがと』

『かん、しゃ、スル』

『あり、がと、う』

『ズンドウ、バイバイ』

『ズンドウ、ありがと』

『ズンドウ、またね』


 暑苦しいほど、キーモンタ族がみんな、回りに集まってくる。もうすぐ、別れだ。ちょっとは寂しいかな?

 それにしても、このズンドウ呼び、すっかり定着してしまったじゃないの!


 何はともあれ、私の方こそ、ありがとうだよ。


 そうして、見送ってくれるキーモンタ族と別れ、私はチビーと一緒に再び、ジャングルへと戻って行くのであった。


 これからまた、どんなことが待ち受けているのかドキドキだけど、いよいよ異世界冒険が始まる。


 とりあえずは、温泉目指して、ゴー!



 と元気よく歩き出したのだけれど、このチビー、ひたすら無言で歩いているのよね。何故?話せないとは思えないのだけど……。

 試しに私から色々話し掛けたよ。けれど、頷いたり首を振ったりと、ジェスチャーで返事を返してくるんだよね。


 私とは話したくないのかな?ちょっともやもや、寂しい。


 同じようなジャングルの景色を眺めながら少しぼんやりと歩いていたら、チビーが急に足を止めた。

 チビーを見ると、シーッと黙るようにジェスチャーをしてきた。じっとしていろって、目で語ってくる。


 どうしたのかな?


 何があったのだろうと思い黙っていると、突然、地面が激しく揺れ出した。地震かと思ったけど、少し何か違う気がする。

 ゴゴゴゴという地響きと共に、かなり先の地面の中から何か巨大なものが這い出してきた。


 遠目にもあまりにも大きいからよく見える。


 何、あれ?


 全身真っ黒な、巨大な蟻?


 じっとしていると、その巨大蟻もどきはギィギィと気味の悪い鳴き声(?)をあげながら、どこかに去っていったのだけど……。


 もう、怖かったー。

 あんなのに見つかったら、大変じゃないの。喰われちゃう。


 巨大Gに巨大蟻、この異世界は危険だ、本当に!


 んん?あれ?

 そういえば、私、蟻キラーのスプレー沢山リュックに持っていなかった?

 お母さんが用意してくれたリュックの中身……。


 もしかして、蟻キラーで退治できるとか?



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