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零ノ六 俺-キッチン=よし、小休止しよう


 前回がちょっと暗めだったので今回は明る目の日常です。


 それではどうぞ~


 昼休み。

 学生にとって憩いの時間だ。

 なにせ昼飯が食べれるからな。最近は早弁する生徒もあまり見かけないし。

 そんな時間帯に、そわそわしている女子生徒が一人。まぁ、俺の妹なんだけど。


「ねえ兄さん、結局今日はどうするの? 購買にでも行く?」

「いや、もう少し待ってろ。そしたら――」


 (ガラガラッ)


「こんにちはー。零樹(れき)くんいるー?」

「ゲッ」


 教室の扉を開けて入ってきたのは、軽音の先輩である時任(ときとう)先輩だった。

 そして時任先輩の姿を確認するなり美少女らしからぬ声をあげる義妹。

 俺は手を振って位置を知らせると、時任先輩がニコニコと笑いながら近くに来てくれた。


「すいません、わざわざ俺達の昼飯も用意してもらって。やっぱり手間でしたか?」

「ううん、そんなことないよ。でもびっくりはしたかな。昨日キッチンが使えなくなってしまったので良ければ昼食を用意していただけませんかって言われた時は驚いたけど」


 そうなのだ。

 キッチンが使用不可という状況の中、買い弁して余計な出費を押さえるため時任先輩に昼飯をお願いしたのだ。

 もちろんこのままでは時任先輩の負担が大きいので、我が家のキッチンが元通りになったあかつきには俺の手料理を振る舞うと約束しているのだ。時任先輩も快く引き受けてくれた。返答なんかも食い気味に、言ってきたほどだ。


「はい、これが零樹くんの。それでこれが義妹(・・)ちゃんの分」


 時任先輩は持っていた袋から水色とピンクのハンカチで包まれたものを俺達に渡してくれた。(こよみ)に手渡す時に両者の間で火花が散ったように見えた俺は昨日の掃除の疲れが残ってるんだな、うん。

 包みを開けてみると、綺麗なサンドイッチがサランラップにくるまれていた。


「ごめんね、こんなものしか作れなくて」

「いえ、そんな。とても美味しいそうですよ」

「ウフフ、ありがとう」

「ほら、お前も……」


 俺の後ろでこそこそしている暦にも、先輩にお礼を言うよう促す。


「うぅ、あ、ありがとう、ござい、ました…………」


 なんで苦虫を飲み込んだような表情してんだ。先輩に失礼だろう。


「いえいえ、どういたしまして。でも大変だね、料理のできない誰かさんに台所をめちゃくちゃにされて」

「うぐっ!」


 頬に手をあてわざとらしく言い放つ先輩。どことなく『勝者の笑み』という言葉が思い浮かんだ。きっと暦がショックを受けたように『orz』の体勢でうなだれてるからだろう。オーバーなやつだ。


「えぇっと、それじゃあいただきますね」

「どうぞ、めしあがれ」


 サンドイッチはタマゴにハム、ツナの三種類だ。

 お腹もそれなりにすいていたので、タマゴサンドをいただく。


「味は、どうかな……?」

「美味しいですよ、はい!」


 不安そうな先輩に俺は感激しながら答えた。

 その作業行程ゆえに単純な味になりがちなサンドイッチ。けれど先輩の作ったそれはしっかりと素材や調味料の味がいかされていて、素朴ながらも深い味わいになっていた。


「良かった。有り合わせで作ったから不安だったの。喜んでくれて私も嬉しいわ」

「グググ、シンプルだけど美味しい……」


 俺が言ったありきたりな評価に、ひまわりのような笑顔を見せてくれた。そんな暖かい笑顔に思わずドキリとする。

 そして美味しいならもっといい顔しろよ暦。


「昨日はこんなのしか作れなかったけど、次からはリクエストある?」

「え、明日からも先輩が作るの!?」

「しょうがないだろ、キッチンしばらく使える状態じゃないんだから」


 掃除は終わったは終わったのだが、壊れた調理道具を買い直したり業者さんを呼んで修理しないといけない箇所もある。

 ……本当に無駄な出費だよ。


「い、家で作れないなら外食なり惣菜とか買えばいいじゃん」

「修理費とかに回さないといけないんだから、無駄な金使う余裕なんてないだろ」

「で、でも赤の他人である先輩に迷惑をかけるわけには」

「私はちっとも迷惑となんて思ってないわよ? 零樹くんもキッチンが元通りになった後はお礼をしてくれるって言ってるし」

「うぅぅぅ……!」


 よく家でのやりとりで俺を論破する姿はなく、今の暦は(やや理不尽な)自分の要求が通らず拗ねている子供に見えた。


「…………………………(モグモグ)」


 暦はそのままムスっとした表情で、黙々とサンドイッチを咀嚼する。

 普段の暦からはあまり発せられない陰鬱な影を感じ、俺は嵐の前触れでないかと一人そわそわしていた。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



「ただいまー。なんだ暦いたのか?」


 放課後になってちょっとした用事を済まして帰宅すると、いるとは思っていなかった暦がいたので少し驚いた。


「今日は部活あるんじゃなかったのか?」

「……キッチン壊したのに部活なんてやってらんないよ」


 うーん、どうやら俺の予想よりも精神的ダメージが深刻だったらしい。

 こいつなりに反省してんのな。


「兄さんこそどうしたのよ? 部活終わりにしては早いんだね」

「ああ、これ取りに行ってたんだよ」


 俺は鞄の中から出した物を暦に渡す。


「……カタログと、チラシ?」

「ああ。今日はこれを取りに行って俺も部活を休んだんだよ」


 一から揃えるのならやはり新しいものがいいというアドバイスを受けたので、ここらへんにある家電品店や大型スーパーのカタログとチラシを集めてきた。

 それも経費を極限まで押さえて少しでも安いものを買うためだ。


「……兄さんっていろいろ考えてるんだね」

「貧乏性なだけだろ」

「ふーん。それじゃあ、お願いね」

「何言ってんだ。お前も来るんだよ」

「ほぇっ?」


 間抜けな声を上げる暦の視線からは『何故私も?』という疑問が溢れていた。


「一緒に行って店員さんの説明聞けばさすがにもう壊さないだろ?」

「え、でも……」

「いいからついて来いって。明日の予定は開けておけよ」

「――うん!」


 手にしたカタログを大事そうに持ちながら、ここしばらく見なかった暦の眩しい笑顔がそこにはあった。






「(こ、これってもしかしなくても事実上のデートだよね!? いや、新婚にみえてもおかしくない!!!)」

「――はい、もしもし。あ、時任先輩こんばんはです。明日のお弁当のリクエストですか? すいません、わざわざ。そうですねー」

「…………(ムッスー)」

「なぁ、暦お前は何かリクエスト、……どうしたんだよ」

「ワー、コノでんしれんじカッコイイナー」

「すいません、暦のにゴーヤーでも入れてください」

「ごめんなさいハンバーグがいいです」

「ゴーヤーハンバーグに変更で」

「何それ!?」




 読んでいただきありがとうございました。

 伝助です。


 サンカクカンケイムズカシイヨ………… 先輩が地味に動かし辛い(汗)


 こんな伝助ですが今後ともよろしくお願いします。



 それでは失礼します。さようなら~

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