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僕と彼女-アリガトウ-
僕はずっと
彼女の中に
妹を探していた。
殺されたときの妹を――。
恐怖に怯えた
妹の姿を――――。
だけど
妹はいなかった。
その代わりに
彼女が僕を
殺してくれた。
妹のもとへ
連れていってくれた。
殺気と狂気を
僕に向けてくれた。
彼女が
僕を見下す目は
最高に
最高に
美しかった……。
満足だ。
――。
お前は
僕といて
どうだった?
僕は
妹じゃないお前を
ほんとに
愛していたようだ。
今更遅いな。
なぁ……。
ありがとう。
お前は生きろよ……。
意識が遠退く刹那、
彼女の目から
殺気や狂気が消え
透明なモノが
流れるのをみた。
『お兄ちゃん、おかえり。』
彼女の後ろに
そう微笑む妹がいた――。
あぁ――――
ただいま。