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ちょっとありそうな恋の唄  作者: 祥眞 遊汰
7/10

ネックレス


二人で兄貴を待つ寒い日の夕方。

君の首元で光る、見覚えのないネックレス。



なぁ、俺はいつまで見守っていればいい?





「綺麗なネックレスだな」

「綺麗だよね」

「誰かから貰ったん?」

「苫兄」

「へー。苫兄洒落てんなぁ」


苫兄センスいいからねー、なんて笑う君の顔は俺を呼吸困難にさせるほど苦しめる。

だって君の無邪気な笑顔は、なんだかすごく嬉しそうだったから。


「お前、好きな奴とか居ねーの?」

「うん、いないよ?」


本当かよ、ほんとは苫兄が好きなんじゃねーの、なんて絶対に言えない悪態を心の中で吐いてみる。

溜め息まじりに吐いた白い息を、袖に積もった真っ白な雪に吹きつければ、あっという間に溶けてしまった。俺の気持ちもこんなふうにすぐに溶けてしまえばいいのに。


「苫兄遅いねー」

「そうだな」

「なんか今日冷たくない?」

「別に?早く帰りたいだけ」


寒いもんね、なんて笑う君を見ないようにマフラーへ顔を埋める。

本当はさ、苫兄のこと好きなんだろ?

好きじゃないよ、なんて言葉、嘘だってすぐに分かる。

だって俺はずっと君を見てきたんだから。苫兄よりずっと。

好きだと言えば全てが崩れそうで、胸の奥にしまった気持ちが抑えきれなくなっていた。

いつまで見守っていればいいの?

いつまで見守っていれば、君は俺を見てくれるの?


「ネックレスってさ」

「へ?」

「独占欲の印なんだって」

「…」


黙るなよ。


「だからもしかしたらさ、」


黙るなよ。なんか言えよ。

俺が全てを言い終える前に。


「苫兄、お前のこと好きなのかもな」


俺って馬鹿だよな。

いつもこうやってお前の背中をおしちゃうんだから。

伝えたらもう逢えなくなるの?

それなら俺は、お前の特別じゃなくていいから傍に居たい。

永久に来るはずのないチャンスを待って、君の傍に居続けたい。

こんなに弱い俺じゃ駄目かな?

君の顔を見るのが怖くて、よりいっそう深く顔を埋める。


「ほんとに…」


ね、ききたくないよ。

もう、言わないで。君の答えは知っている。君の言葉は決まってる。

君の顔なんて見なくたって分かってる。

嬉しそうに、恥ずかしそうに、俺に向けない顔をきっと今の君はしてるんだ。


「ほんとに苫兄、私のこと少しでも特別って思ってくれてるのかな?」

「大丈夫。自信持て」

「えへへ、ありがとう」


見上げた君の首元に光るそれを、俺はどんな気持ちで見ればいいんだろう。

今まで作った大切な思い出を全て壊すくらいなら、俺はこの気持ちを隠しきろうと思うんだ。

好きだと言えば全てが崩れそうで。泣き出しそうな俺の心を必死に取り繕って、君に笑ってみせた。


「そんなに綺麗なネックレス貰ってんだから、自信持てよ」

「うん!あ、苫兄だ!おーい、苫兄ー」


苫兄のほうへ駈けていく君。遠さがる背中は君の気持ちと同じだね。

好きだと言えば全てが崩れそうで、伝えたいのに伝えなかった。

君の特別になりたいなんて、臆病な俺は言えなかった。

こんな弱い俺じゃ駄目だよな。

難癖つけて君への気持ちを、雪にでも隠してしまおうかな?


「かえろー」

「…おう」


伝えたらもう、逢えなくなるの?

伝えたらもう、逢えなくなるの?

だったら俺は…




突破的なのでいつも以上に内容がありません。

スミマセンでした。



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