再生
あいつが死んでから今日で三年目か。
(意外と早かったなと何もしてないのに怒られることがよくある佐山が口にする。
(まだ慣れねぇなといつも格好つけてるが神の采配が悪すぎたせいで格好つけれてない田中口にする。
じゃあ始めますかと僕がいいそれと同時にあいつが死んでから毎年見てるカセットテープヘと手を伸ばす。
「みんなごめん、俺もう死ぬわ。もうやりたい事なくなったんだよね。だからこのまま惰性で生きるよりさ、こう、勇者みたいに伝説になって死のうと思ってさw。」僕は毎年見てるはずなのに昨年よりももっと大きな怒りがこみ上げてくる。「俺まだ小学生だったころの夢見るわ。」僕の感情を無視するかのように佐山が口を出す。「小学生の頃か、懐かしいな。」それに続き田中も口を出す。
僕は画面から聞こえるあいつが話す思い出話を聞きながらあの頃の思い出をよみがえらせる。
あれはセミの鳴き声がよく響く夏の頃だった。「おい!あの山のてっぺんに一番最初に登ったやつが宇宙一な!」あいつが言った言葉に俺はまた始まったよと思いながらもあいつの背中について行く。あいつはサッカーをやっていたことだけあって足が速く、僕はすぐに置いていかれた。でも僕より遅い奴がいた、田中だ。僕はこいつよりは早くあの山のてっぺんに着くと心に誓いながらもあいつの背中を追いかける。その頃佐山は山のふもとにいた。
僕たちが登っていた力山は思った以上にも道が険しく高さもあった。だから上るのには数時間かかる。でもまだ小学生だった僕たちはこの地球の誰よりも早いという自負を持っていたためそんなことを気にすることなくただただどうでもいい競争だけに集中していた。でもしょせん小学生だから数十分ほどで体力が切れ俺たちは仲良く階段に座って持ってきたうまい棒食べていた。もちろん田中のおごりで。
「もう明日で卒業かまだ実感できねぇな」とあいつが言う。「僕もだよ」と僕が言う。「でもさ中学生になったらさ、俺たちこんな近所で遊んでないでさ、もっと遠いとこ行けるようになるんだぜ。」と田中が言う。「例えば?」と僕が言う。少し考えた後田中は「おばあちゃんの家とか。」「いや俺たち知らねえよ。」とあいつが言う。じゃあさみんなで東京でもいかない。僕がそういった後あいつと田中目を丸くしてこっちを見た。「どんだけかかると思ってんだよ、ここど田舎だぞ?」田中は言う。「でもまあいいかもな、俺も行ってみたいし。」とあいつは言う。そんな時6時を知らせるチャイムが鳴った。「あ、やべぇ、もう帰んねぇと。」その時階段の下の方から声がした。「おーいそこの君たちもう帰りなさい。」声のする方を見るとそこにはあの頃の僕たちの親の次に怖かった警察がいた。「おい逃げるぞ。」あいつが言った言葉を聞き取る前に僕と田中はもう階段を登りはじめていた。あいつは佐山大丈夫かなと言っていたが、僕たちの脳内にはそんなことを考える余裕が無くただひたすらに階段を登り続けた。
もちろん小学生の俺たちが警察から逃げれるわけもなくすぐにつかまった。僕たちは捕まった後ももちろん抵抗したがそのかいむなしく、その後は、その頃最も怖かった親に叱られるという最恐二連コンボをくらった。「あったなそういう思い出。」田中がいう。「そういえば俺たちが警察に保護されてた頃お前どうしてたんだよ。」と僕が佐山に言う。「ああ俺は普通に家にいたよ。」と佐山は言う。お前だけ抜け駆けしやがったんだなと田中が言ったことに対しいやそれはちげぇだろwと僕が突っ込む。僕たちはじゃんけんのような存在だ。ひとりの予定が合わなかった時点でもう遊ぶことは諦めるくらいには。
でもそんな僕たちの関係を崩すやつがあいつだった。グーチョキパーどれにでも勝つようなやつで僕たちをかき回してはパッといなくなったりを繰り返してるやつだ。あいつはもういない。
おそらく殺されたんだろう。僕たちは手がかりを探すために毎年同じカセットテープを見ている。これがあいつが残した最後の手掛かりだからだ。
じゃあ続き流すよ。僕はそういい再生ボタンを押す。
ウィーン。壊れかけている中古のビデオデッキが回り始める。




