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INFJの私

作者: えりざら氏

なんでだろうね。

みんな「同じ」が好きで、「違う」を怖がって、

ちょっとズレたら、生きづらくなっちゃう。


私は私で、ちょっと考えすぎちゃうところもあって。

それを「気にしすぎだよ〜」って笑ってくれる人もいるけど、

やっぱり気になっちゃうもんは、気になるのです笑


海を見ながら、ぽつりぽつりと心の中をおしゃべりしてたら、

こんな小さなお話になりました。


たいしたオチも、答えもないけど、

読んでくれた人の心が、ふわっとあたたかくなりますように。



「ちがうままで、生きていたい」

—海辺でひとり語る、私の独白—




海を見てると、

世界の輪郭が、少しだけやわらかくなる気がする。


波の音が、心の棘を削ってくれるような。

ここは誰にも何も言われない。

太ってるとか、黙ってるとか、

変な服着てるとか、泣いてる理由とか、

そういうの、全部、波が飲み込んでくれる。


ねぇ。

「普通」って、なんなんだろうね。


わたしは子どもの頃から、

“ちょっと違う”って言われてた。

空気が読めないとか、

笑い声が大きすぎるとか、

気をつかいすぎだとか、

なにかしら言われてた。


でも、本当に生きづらかったのはね、

「ちゃんとしなきゃ」って自分に言い聞かせて、

“みんなと同じ”を必死で演じてた時。


それが一番苦しかった。



流行りのメイクとか

流行りのファッション

流行りのドラマにアニメ


みんなが好きだから

みんなが夢中だから


それを好きって言えば

仲間外れにならないし、

話の輪にも入れるし、

「普通」でいられる。


でも、わたしにはどうしても

「好き」って思えないものもあるんだ。


口角を上げて、

「それ私も好き~」って合わせることに

慣れてはいたけど、


心のどこかではずっと

置き去りの“本当の自分”が

泣いてた気がする。


だって、誰も聞いてくれないんだもん。

「貴方はどう思う?」なんて。


たまに思い切って、

「それ、実はあんまり好きじゃなくてさ」

って言うと

空気がピンと張りつめて、

“変な子”っていう視線を浴びる。


だからわたしは、

本当の「好き」や「嫌い」を

どこかにしまいこんでしまった。



みんな褒められるのは大好きだよね。

……私もすき。


嫌なこと言われたら悲しいよね。

……私も悲しい。


たまに思うの。

「相談」ってさ、

いつの間にか「同意の押しつけ」になってないかな?って。


「うんうん、そうだよね」

「それはひどいね」

そう言ってほしい気持ちは、痛いほどわかる。


でも本当にその人のためを思ったら

違う言葉をかけたくなることもある。

でも……それを言ったとたんに

距離ができたり、嫌われたり、

「あなたに言うんじゃなかった」って思われたりする。


そのたびに、心の中の「私」は

小さくなって、黙り込む。


「傷つけたくない」

「でも、嘘は言いたくない」

この間で、ずっと揺れてる。


ねぇ、

ほんとは、わたしだって

聞いてほしいんだよ。

わたしの言葉も、気持ちも、

誰かに、ちゃんと。



言葉って、ほんとうに難しいよね。

どんなに気をつけても、

受け取った人の心にナイフみたいに刺さってしまうことがある。


でも、それはきっと、

私が悪いとか、その人が悪いとか、

そういうことじゃなくて。


ただ、その時のその人の心にとって、

その言葉が重すぎたのかもしれないし、

柔らかすぎたのかもしれない。


ねぇ、でもさ、

「正しさ」って誰が決めるんだろう。


世の中の正しさ?

常識ってやつ?

それとも、多数決?


……私はね、思うんだよね。

正しさって、結局、自分の中にしかない。


自分の中の小さな灯り。

誰にもわからない、でも確かに灯ってる小さな「これでいいのかな」っていう声。


それを信じて生きるしかないんだって。

だって、他人の正しさで生きようとすると、

私はすぐ迷子になるから。


自分を見失ってしまうから。


たとえ間違っていたとしても、

その時の自分が信じた道なら、

それがその時の私の「正しさ」だったんだって、

言ってあげたいんだ、自分に。




私はね、一人の時間で物事を整理するタイプなんだ。

目の前で言えなかった言葉を、

あとからぐるぐる考えてしまうことも多い。


あの時、あんな言い方じゃなくて、

もっと優しく伝えられたかもしれないな、とか。

あるいは、言わなきゃよかったのかもって、

自分の中で何度も何度も反省会。


夜になると、それが始まる。

答えの出ない、静かな会議。

ひとりきりで。


MBTIって知ってる?

私は「INFJ」って診断されたことがある。

“提唱者”って呼ばれてるらしい。


ちょっとかっこいい名前だけど、

中身はわりと、こじらせタイプだと思う(笑)


誰かのことをずっと考えてしまったり、

一度言葉を交わせば、その人の感情をつい拾ってしまったり。

それで、知らないうちに疲れて、

ひとりになりたくなったりする。


でも、ひとりになると、また誰かを思い出すんだ。

優しい人のことも、悲しかった出来事も、

全部、まるごと心に残っていて。


きっと私は、人が好きなんだと思う。

だからこそ、

距離の取り方が下手なんだろうな。




よくね、夫に言われるの。

「気にしすぎだよ」とか

「考えすぎだよ」って。


そのたびに、「それ禁句だよ〜!」って心の中で叫ぶ(笑)


うちの夫、MBTIでいうと「ISTP」なんだよね。

“巨匠”って呼ばれてて、現実主義で、理論的で、行動派。

私は「INFJ」、提唱者で、感情派で、理想主義。


まったく真逆。


でもね、だからこそ、惹かれたのかもしれない。

自分にはない“地に足のついた安定感”を持ってる人。


でもさ、やっぱり違いって衝突を生む時もあるよね。


私にとって「考えること」は、“生きること”そのものなんだ。

考えて、感じて、悩んで、時々凹んで、また考えて……

そのプロセスの中で、私は私を保ってる。


もし、考えることをやめてしまったら、

私っていう存在が、ふわっと霧みたいに溶けて消えてしまいそうな気がするんだ。


誰かにとっては“重たい”って思えるかもしれないけど、

私は、軽くはなれない。


……わかる人、いるかな笑笑



私さ、何が言いたいのかな、よくわかんない。

でもなんだろう。


たぶんね。

「私はここにいるよ」って言いたかったのかもしれない。


流行りに乗れなくても

褒められなくても

うまく言葉にできなくても

私は私で、生きてるんだって。


それだけで、誰かに否定されないといいなって思う。


違ってもいいじゃん。

合わなくてもいいじゃん。

その「ズレ」を笑い合えたらいいのになって。


今日もどこかの誰かが、

違うままで、生きていけますように。


そして明日、私もまた、

このままで生きていけますように。


──なんて。海辺の風に願ってみる夜でした。



終わり

ここまで読んでくれてありがとう。

なんとなく…ぽつりぽつりと話したい気持ちで書いたお話でした。


正しさって、人の数だけあるし、

「ちょっと違う」ってだけで不安になることもあるよね。


でも、違っていいんだって、

「私だけの感じ方」を少しだけ肯定してあげたくて

このお話を書いたのかもしれません。


うまく言えないけど、

もし誰かの心にちいさく灯るものがあったなら、

とってもうれしいです。


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