2章ー14:敵国襲来!!
カワミ領に来てから四日が経過し、同盟に向けての話し合いは、いい方向に進みつつあった。
「水中用の大筒とな?」
「はいっ!この図のように兵が左右二門ずつ背負って、“はみ”を噛んで引くことで、火薬を使わず水の中でも発射することができます!弾も球状ではなく錐状にすることで、水の抵抗を受けることはほぼないでしょう」
「確かに便利だが、そんな都合の良いものをどうやってこしらえるつもりだ?」
「その点はご心配なきようロアードル殿っ!我がミーノには、腕の良い岩髭の職人が多数揃っております!!軽いかつ、錆びにくい鉄の仕入れ先にも心当たりが。良質なものを仕立ててくれると存じまする!!」
「そうか。なら安心だなっ!」
来た当初は頭が固かったロアードルも、スラギア君と仲良くする僕を見てすっかり心を許してくれた。
「どれくらいで実用化できるのじゃ?」
「目算でございますが、早くて半年・・・。一年頂ければ百頭分に行き渡るように善処いたします」
「分かった。それで、見返りにこちらは何を差し出せばよい?」
「そうですね・・・。水産資源の3割を寄越して頂ければ。ミーノは内陸部ですので魚が出回りにくいもので。それと水竜の水軍の基本的な戦法も。もしミーノが水竜の国に攻め込まれた際の参考にしたいので」
『お金』という概念がないに等しいこの世界じゃ、食料と戦略データはかなり貴重なものだ。
ギブアンドテイクで成り立つ世の中だから、無償でというワケにはいかない。
「承知した。ただし、水軍の戦法に関しては、こちらが掴んだ他国のもので勘弁してほしい。我が国とて、他国に自軍の戦略を明け渡すワケにはいかぬからな」
「それで結構です。その方が、カワミ領が窮地に陥った際に助けやすくなりますから」
「ふっ。殊勝なことを言いよる」
とりあえずこれで、新兵器の流通に関しては話がまとまったな・・・。
こういう話し合いは、正直なところあんま好きじゃない。
「吹っ掛けてないかな?」って不安になっちゃうからだ・・・。
「堅苦しい話は一旦よそにやって、意中の者どうしの近況でも語り合おうか?」
「そうしましょっかっ!」
スラギア君の提案で、僕たちはブレイクタイムに入った。
はぁ~・・・!!やっと一息つける~。
「レムアはどうじゃ?わしの妻とは良くやっておるかの?」
「はいっ!昨日のウナトゥ様との『生け水花』は楽しかったみたいで。ミーノに帰ってもやりたいって言ってましたっ」
「そうか~。それは何よりじゃ♪」
スラギア君と晩ごはんを食べた次の日に、僕はレムアにウナトゥを紹介した。
女同士で、ウナトゥが誰に対しても理解を示してくれる優しい性格だったから、すぐに二人は打ち解けた。
今では暇さえあれば一緒に遊んだり、ウナトゥの花嫁修業に付き合ったりしている。
「そういえば~ウナトゥがレムアから“ミーノの奥方から譲り受けた夜伽の書”を読んだらしくてな?」
「そうですか~・・・って、ええっ!!?」
アレ、見せたの!?
ちょっとレムア何しとんのぉ~!!!
女の子どうしでエロ本見んのはアカンってぇ~!!
「書いてあったことをわしにも話してくれたのじゃがな?いや~そそられたっ!まさかあんな手管があろうとは・・・アレをウナトゥがやってくると思うただけで、男根がうずく・・・」
そんなストレートに言わなくたって・・・。
ほら~ロアードルもクルラさんも困った顔してるし・・・。
家臣と母親のいるところで下の話すんなよなぁ~・・・。
「ウチの付き人がホントすいません・・・。」
「よいよい!「読みたい!」とせだんだのは妻の方だしなっ!」
ウナトゥが積極的な方やったんかいっ!!
だとしたら大方、スディアからの貰い物の話をポロっとレムアが言っちゃんだろ~な~・・・。
目をキラキラさせて読んで、饒舌にスラギア君に話すウナトゥの顔が浮かんできた・・・。
もしかしたらあの子、お淑やかだけど結構ドスケベなのか?
テンプレなギャップだけど、いざ近くにすると結構困っちゃうな・・・。
「では今日の話し合いはこれで仕舞いにするか。どうじゃ?これから茶でも淹れようか?」
「そうさせて下さい・・・。ちょっとまったりしたいんで・・・」
スラギア君が席を立とうとしたその時だった。
慌てながら水竜の武将が入ってきた。
「申し上げます!!トーウミト軍が、我が領の領海に侵入したのご報告が!!」
「何っ!?くそ~この間手痛い目に遭わせてからしばらく鳴りを潜めておったのに!性懲りもなくまた攻めてきおったかっ!!」
「落ち着けロアードル。して、今どこじゃ?」
「はっ!バケットガップ海峡からおよそ12海里(21km)の地点に陣を展開しておりますっ!!」
「分かった。下がれ」
「はっ!」
改めて立ち上がったスラギア君は、凛とした眼差しでロアードルを見た。
「戦の用意じゃ!!兵を招集せよっ!!」
「承知いたしました!殿っ!!」
ロアードルが退室するのを見届けてから、今度は僕の方を見てきた。
「リオルよ」
「はっ、はい!!」
「お主も付いて参れ。水竜の戦い方を、戦場にてその両の眼で学ぶといい」
「・・・・・・分かりましたっ!!」
頭を下げずにはいられなかった。
今のスラギア君からは、ディブロ同様、殿様独特のカリスマ性いっぱいのオーラが溢れていた。
一つだけ上とは思えないほどに、めちゃくちゃ、カッコイイ・・・♡♡♡




