1章ーEND:天下竜へのスタートライン
ディブロに呼び出され、処分を下されるかと思いきや、なんと旗本にしてやると言われた。
突然のスピード出世に僕は、未だに状況が理解できないでいた。
なんで!?
なんで人質の身で旗本なんかに召し抱えられるワケ!?
こんなサプライズ人事聞いたことないんですけど!?
「聞いておるのか?」
「ぅはい!?」
頭ン中がグルグルしてると、ディブロに呼ばれてハッとリアルに戻ってこれた。
「引き受けて、くれるかの?」
「いっ、いや~・・・」
「どうした?不服であると、申さぬな?」
「いっ、いえ!!滅相もございません!!ただ・・・てっきり流刑を言い渡されると思っておりましたので・・・」
「・・・・・・ぷっ!ふははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!」
ディブロはドカ笑いをして、スディアも口を手で隠して「くっくっくっ・・・」と含み笑いをする。
「敵軍の陣に単騎で飛び込んだ恐れ知らずが、かような杞憂を抱くとはっ!!もしやお主は裏表が激しい性分のようじゃの」
まぁ~・・・情緒不安定のうつ病持ちですから・・・。
「まぁ良いではありませぬかお前様。これはこれで、ういやつではござりませぬか」
「それもそうだな」
イジリ甲斐がある奴だと言われてるような気がして、どうも釈然とせぇへんな~・・・。
僕って、ガチで繊細なお豆腐メンタルだよ?
「笑いごとではありません!父上、母上!わらわとて、リオルに処分が下されるのかと思いヒヤヒヤしたのですから・・・」
ティアス・・・!!
なんだかんだで、君は僕の味方だったんやね・・・!!
これからはちゃんと、心からお姫様として礼儀よく接しよう!!
「でもこれで!心置きなくこの男をこき使えますねっ!」
やっぱやめとこ・・・。
僕のティアスへの感情が改めてフラットになったところで、ディブロは改めて僕をジッと見据える。
「してリオルよ。引き受けて、くれるかの?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「喜んで、拝命いたしまする」
僕は厳かに、ディブロに向かって頭を下げた。
「よろしい。ではせっかくじゃ。抱負の一つでも言うてみよ」
「抱負・・・でございまするか?」
「お主にも一つくらいあるじゃろう?成し得たいことが」
「成し得たいこと・・・」
「何も志を持たず、与えられたお役目を黙々とこなすだけではつまらんからな」
「スディアの言う通りじゃ。何でもよい。申してみよ」
僕の志・・・。
僕のやりたいこと・・・。
僕の、夢・・・。
「・・・・・・天下、太平」
僕が呟いたことに、ディブロとスディアが身を乗り出した。
「なんと申した?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「サンブロドを、戦のない平和な国にします。それが僕の抱負です」
ミーノであった出来事を通して、改めて思った。
やっぱり僕は、同じ竜どうしで殺し殺されるこの国の今が、まっぴらごめんだ。
戦のない平和な国にすれば、レムアのように故郷を失う子も、ディブロとスディアのように子どもを人質に取られ、自害を強要される夫婦もいなくなる。
勿論・・・今回の敵の大将だったガラルガも一緒だ。
胸に自分で穴を開けて誇りを見せつけるなんて、現代日本で生まれ育った僕からしたら、時代遅れだ。
レムアの心中を察すれば、ガラルガのやったケジメを正当化することもできるかもしれない。
いや。
そもそも、恨み恨まれての復讐、殺し合いを正当化すること自体がおかしいんだ。
度重なる流血と戦禍の果てに、日本は平和で、国民が安心して暮らしていけるのが当たり前な国になったんだ。
この世界。竜の島国サンブロドは、日本の戦国時代と同じく乱世の只中にいる。
群雄割拠の、強い者しか生きられない過酷な世界・・・。
誰かが終わらせないといけないんだ。
僕がその誰かになれるかなんて、正直全く自信がない。
だけど・・・だけど・・・。
「つまりこの乱世を終わらせたいとな?」
ディブロの問いに、僕はコクっと頷く。
「そのために、お主は何をするつもりだ?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「天下竜になります。そして必ずや、このサンブロドに、太平の世を築いていきます」
僕の決意表明を、ディブロ鼻で笑ったが、目は真剣そのものだった。
「よかろう。然らば此度の旗本への取り立て、最初の一歩にしてみせよ。せいぜい見せてみよ、お主の大志が、ただの絵空事ではないことを」
「・・・・・・はい!」
前世ではうつ病で、何に対しても無気力で、「僕はダメなヤツ。死んだ方がマシ」としょっちゅう思うような真っ暗な人生歩んできたんだ。
だったらこの竜生では、精一杯、頑張って、自分のやりたいことにトコトン打ち込めるようにしていこう。
この世界は、それだけのやりがいと、価値がある。
それに自信もついた。
今日この日、この場所、この瞬間が、僕の天下竜に向けてのスタートラインだ。




