5章ー21:オニガナシュの戦い(陸)
まさかピナースが闇属性でも抑制しきれないほどの猛毒とバクテリアを体内に保持してるなんて・・・。
いっ、息が・・・。
頭も・・・すごいガンガンする・・・。
体内で繁殖したバクテリアが赤血球を壊して・・・脳に酸素が行かなくなってきてんのか・・・?
「苦しそうだな?その程度で終わるのか?」
このままじゃ、確実に負ける・・・!!
だが・・・!!
「だっ、誰が・・・!?意外と・・・しぶといんだぜ?僕はよぉ・・・!!!」
ほとんど力が入らない前足を必死に踏ん張って、僕はピナースをガンを飛ばす。
「そうか。ならば追いつかれないように足掻け。その背に迫りくる死に!!」
角を向けたピナースはこっちに向かって突っ込んできた。
さっきのUターン突進!!!
「くっ・・・!!」
避けたところで再度突っ込んでくんだろ!?
「はぁっ・・・!!」
やった!!
二撃目をかわした!!!
「甘いわっ!!」
「い゛っ・・・?!」
三連チャン?!
「あぐはっ・・・!!」
尻尾に角が掠った!!
また毒が・・・!!
「仕舞いじゃ」
「ッッッ・・・!?」
尻尾に毒を食らって更に身動きが取れなくなった僕に、ピナースはホーミングで四回目の突進ををしてきて・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ほう?まさか正面から受けるとはな」
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ・・・!!!」
突進してきたピナースを、僕は両腕で押さえ込んだ。
「大した覚悟だ。だが頭がまるで回っておらん」
ッッッ!!!
ピナースが炎ブレスを撃つ準備に入った!!
このままじゃゼロ距離で食らっちまう!!!
どうすればいい!?
どうすれば・・・!?
考えろ!!考えろ!!考えろっ!!!
“毒とバクテリアは火によって活性化する”
ッッッ!!
そうか!!
アレをやれば、体内の毒とバクテリアを不活性にできるはず・・・!!
だけどアレはレムアに教えてもらって数回成功したのみ。
ここでできるかどうか・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
つべこべ考えてる余裕はねぇ。
ここで何もやんなかったらどの道やられちまうんだ。
数回練習した分・・・トダン領の時よりマシだろ!?
集中して、イメージするんだ。
イメージ・・・イメージ・・・イメージ!!
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「何!?」
体力を取り戻し、鼻先に生えた二本の主棘を掴んだ僕に、ピナースは驚愕する。
「言ったろ?こっちにも意地があるんだ。舐めるんじゃ・・・ねぇ!!!」
僕は掴まれてバリバリに凍ったピナースの縦並びの角を粉々に折って、そのまま頭突きした。
「くっ・・・!貴様・・・何をした!?」
「闇は万物の始まりにして終焉。だから、何にだってなれる。雷にも、火にも・・・氷にも」
僕の歩いた後からパキパキと氷が形作られ、ツバメバチの飛翔に沿って冷気が発生する。
「『超帯闇形態・霜』。これでお前の酸と壊血は封じた。同時に、領主ご自慢のその立派な角もな」
氷を纏って宣言する僕を前に、ピナースは怒りの表情を見せ、火の粉混じりの吐息を吐く。
「わしの眠気を本気で吹き飛ばすとは恐れ入った。面白さではなく、怒りでな。貴様がわしを凍てつかせるか、貴様がわしを氷漬けにするか、根競べと行こうではないかっ!!!」
翼を広げて仁王立ちしたピナースが怒りの咆哮をする。
角はへし折った。
これで突進に毒は付与されない。
だが僕の身体の毒とバクテリアは『超帯闇形態・霜』で不活性にしただけで、これが解除されたらまた身体を蝕む・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「この好機・・・絶対に手放してなるものかっ!!!」




