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告られ彼女の守り方 ~偽装から始まる、距離感ゼロの恋物語~  作者: 鶴時舞
6章 夏休み後半

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第89話 おうちデートに進展あり

「いてて……」


 つい声にでてしまうほどに、昨日の修行の名残が体に残っていた。十分なケアをしてくれたけども、不慣れな受け身の練習などは、体にいくらかのダメージが残っているようだ。


 真桜が我に返ったように「やりすぎたわ、ごめんなさい……」と、謝罪の言葉を述べるほどに熱く夢中になっていたのだった。

 彼女なりに色々思うこともあるんだろう。気にしないように言っておいたけど、気にしちゃうだろうな。


 今日は日曜日で羽依とのデートだけど特に予定はなかった。そんな時は大体は勉強の時間に当てて、お昼を一緒に食べて、ゆったりお茶をしながら会話する。二人でいるってだけで、とても充実して楽しい休日になる。


 ガチャリと玄関の鍵が開く音がした。羽依が来たようだ。


「蒼真~」


 ぱたぱたと走ってきて俺にしがみついてくる。うん、いつもの元気な羽依だ。


 今日の服装は――薄手のアウターの中にピンクのキャミソールを着ていた。それに併せるように黒のミニスカート。シンプルなのに計算された組み合わせで、長い脚が自然と目を引く。首元には細めの黒いチョーカー。ちょっぴり大人びた雰囲気もあって、いつもより少し背伸びして見えた。

 端的に言えばちょっとエッチだ。


「真桜から聞いたよ。ちょっとやり過ぎたって。大丈夫?」


「道着着たからかな、いつもより熱が入ってたね。おかげで体中がギシギシしてるよ……」


 心配そうに俺の体をそっとさする羽依。でも、その感触はちょっとくすぐったかった。


「今日はのんびりして体を休めようね。――そこで羽依ちゃん考えました! 第一回、勉強しないでごろごろ大会!」


 なんか最近聞いたフレーズだなあ……。


「毎度色々考えてくれてありがとう。でも、 勉強しないと呼吸できなくて死んだりしない?」


「何そのマグロみたいな生き物。羽依ちゃんそんなことでは死にません! ――この前一緒にスマホでゲームやってて思ったの。私たちに足りないもの。それはまったりすることと!」


 拳をぎゅっと握りしめる羽依。その意気込みでまったりできるのかなあ……。


「うん、なんとなく分かった。じゃあ早速何しよう。モン引き?」


「モン引きなんて速攻アンインストールしたね」


 はんっ! って感じに、さも当たり前のように言ってのける羽依に愕然とした。青天の霹靂だ。


「なんてことをっ! 俺あれからレベル上げ頑張ったのに……」


 モン引きは結構味のあるゲームだった。噛めば噛むほどエグみの出る感じがたまらないのに。女子にはわからないんだろうな。


「蒼真は真桜にボコボコにされたから癒やしが必要かなって思ったの。そこで私のこの格好。わかったかな?」


 その言い方はなんだかなあと思いつつも、なんだかはっきりしない羽依の物言い。謎掛けを楽しみたいんだろうか。


 今日の格好かあ。初めてみたのは黒いチョーカー姿。そんなの持ってるんだなとは思った。


「今日の服装すっごく可愛いよね。チョーカもお洒落で良いね」


 俺の言葉に羽依はうんうんと頷いた。


「私が想像する蒼真の“彼女にしてほしい格好”をしてみたんだよ。合ってる?」


 確かにキャミソールと黒いミニスカート姿は大正解だ。チョーカーには特別な思い入れこそないものの、いつもの羽依のイメージとはまた違った大人の魅力を出していた。有り無しで言えば断然有りだ。


「限り無く正解に近いね。もはや正解と言っても良いのかも知れない」


「何その言い回し。正解って言っちゃえばいいじゃない。黒いミニスカートだよっ!チョーカーは首輪っぽくて可愛いでしょ。なんか従順な感じしないかな!」


「なるほど! そう見るのか。ようするに俺好みで従順な羽依が俺に奉仕してくれるんだね」


「YES! だから今日は蒼真のメイドさんみたいなものだね。お昼も私作るから、蒼真はゆっくり休むこと。どうかな!」


 羽依なりの癒やしサービスデーなんだな。ありがたくお言葉に甘えよう。ホント優しい彼女だなあ……。


「じゃあお言葉に甘えてゴロゴロするね。お昼はどうするの?」


「手早く作れる焼きうどん! 」


「いいね! 俺焼きうどん大好きなんだよね~」


 羽依が作ってくれるなら美味しさ倍増だろうな。


 さっそく作り始めた羽依を後ろから眺めてみる。

 うーんやっぱりミニスカートが可愛いな。スラッとした脚がとても綺麗だ。膕にはなぜか惹かれるんだよなあ。あの薄い皮膚に触れてみたくなる。

 後ろからそっと触ってみたら怒るかな。でも、火を扱ってるから自重しよう……。


 ジュージュー焼ける音とソースの焦げる香ばしい香りが漂ってくる。そろそろ完成かな。でも、何もしないのって暇だなあ……。


「おまたせー! さあ食べよう!」


 もちもちっとした麺の上、湯気でふわふわと踊る鰹節がとても好きだ。


「いただきまーす!」


 一口食べると、実に普通な焼きうどんだ。何の捻りもないシンプルな味付け。これこそ正に食べたかったやつ!


「なんで焼きうどんってこんなに美味いんだろうねえ」


「私が作ったから美味しさマシマシなんだよね」


ニマニマっと笑みを浮かべる羽依。その悪戯な顔もたまらなく魅力的だ。


「それは間違いないけどね。ホント大好きなんだよな~」


 俺の賛辞に羽依は素直に受け止めてくれる。二人でこうしてまったり食事を取るのはやっぱ楽しいし、付き合っているんだなって実感する。


 食事を終えてまったり団らんする俺たち。

 でも、どこか羽依はソワソワした様子だ。会話が途切れ、ふと、羽依が俺の目をじっと見る。


「――蒼真さっきさ、後ろ姿じーっと見てたでしょ」


「うぇ! うん、確かに見てたけど、なんで分かるの? 後ろに目でもあるの?」


 焦りすぎて思わず変な声出た。


「んふ、なんとなくね。蒼真って脚好きだもんね~。まあ今日は見せるためにミニスカ履いてきたんだけどね」


 そう言って立ち上がって俺にくっつくほど近づく羽依。甘酸っぱい柑橘の香りがふわっと鼻腔をくすぐる。


「触っても良いよ」


 手を後ろに組み、俯いてそっぽを向きながら羽依がそう呟く。

 突然そう言われても微妙にスイッチが入ってないので躊躇してしまう。

 前に胸つっついたら怒られちゃったし、どこまで触って良いのやら……。


 でも、せっかくの機会だからな。

 さっき触れたかった膕を指先で――すっと撫でる。


「にははははっ! ちょっ! 何その触り方! くすぐったすぎ!」


 後退りする羽依。その顔は一気に真っ赤になっていた。

 俺の方はと言えば、触れた感触に心ときめいてしまう。――スイッチ入っちゃった。


 俺はしゃがんだまま手招きする。戸惑いながらも近づく羽依。


「ちょっと我慢しててね」


 羽依は黙って頷いた。


 今度はふくらはぎから触れてみる。すべすべで少ししっとりした感触だ。

 さっきは指先でちょこっと触れただけだったけど、今度は両手でしっかりと触れてみた。膕の薄い皮膚の感触はやはり素晴らしかった。

 そこからゆっくりと上に上がっていく。太腿に触れてみるとしっかりと張りを感じる。立ち仕事をしてるからかな。


 羽依はまだ我慢している。その顔は可哀想になるほどに真っ赤だった。


 羽依の手を取り、そのままベッドの上に引き寄せた。


 ごろっと仰向けに寝かせた後は羽依の膝や内腿を撫でてみた。


 羽依が我慢しつつも切なそうな声を上げる。

 辛そうな表情の羽依に優しく口付けを落とす。

 片方の手は太腿を。もう片方の手はキャミソールの中のお腹の辺りを触れていく。


 羽依がもぞもぞと身を整えるように動いた。やがて、ひとつの「境界」がそっと外される。


「良いよ。蒼真……」


 柔らかく、俺の手で自在に変化していく。ゆったりとした感触はとても甘美で、頭がぼーっとしてくる。

(そういや俺、体中痛かったんだっけ)

 なんて今ではどうでもいい事をふと頭によぎらせてみたり。


 羽依の甘い吐息と俺の荒い息が一つになるような、そんな感覚。


 ――長いキスを終えて、お互い乱れた息を整える。


「蒼真、大丈夫なの? その、男の人として……我慢できる?」


「うん。羽依が大事だから我慢できる」


 羽依は少し視線をずらし、何とも言えない表情を見せてくる。

 正直言えばもう限界は過ぎている気がした。

 さらに先に進めないのは俺の我儘なのかも知れなかった……。



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