表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告られ彼女の守り方 ~偽装から始まる、距離感ゼロの恋物語~  作者: 鶴時舞
6章 夏休み後半

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/258

第81話 二学期スタート~あとがきに登場人物紹介

 今日から新学期だ。羽依が朝早めに俺の部屋にやってきた。髪のセットを手伝ってくれるらしい。


「誰かにやってもらうほうがしっかり決まるんだよね~。こうして、クイックイッと。できた~」


 鏡を見ると、もう見れないと思っていたイケメン感のある髪型の自分がいた。


「すごいすごい! プロの美容師みたいだね! でも、以前『私の前以外でこの髪型禁止!』って言ってなかったっけ?」


「今日だけだよ。せっかくの新学期、変化を見せられたら気分良いんじゃないかなって思ってね。優しい羽依ちゃんに感謝のキスをしても良いんだよ?」


 そんなのお安い御用だった。羽依を抱き寄せ、触れるだけの口付けを交わす。羽依は嬉しそうに俺を見つめた。


「あ~もっとイチャイチャしたいけど学校だあ~。帰ったら続きをしようね!」


「おっけー! じゃあ行こう!」


 早朝、交通量が増えてくる時間帯。忙しなく車が行き交う中、てくてく歩道を歩いて行く。まだまだ残暑が厳しく、朝からジメッとした不快感がまとわりつく。


 そんな中でも羽依は明るく元気だった。明るい髪色にトレードマークのサイドテール。夏服のシャツに豊かな膨らみがリボンに隠れつつも主張する。短めなチェックのスカートに健康的な美脚。いつ見ても美しい容貌。俺の彼女は今日も可憐だった。


 学校に近づくにつれ登校中の生徒が増えてくる。やけにチラチラと見られてる気がするなあ。


 角を曲がるところで二人組の女子と目が合った。一人は明るいブラウンで縦ロールが特徴の生徒会長、御影志帆さん。と、もう一人は金髪でショートカット。メガネをかけているけど、見覚えがあるような?


「藤崎くん、おはよう~」


「あ、蒼真くんおはよう! 隣の子が噂の彼女だね。ホント可愛い!」


「おはようございます、御影先輩に……あれ、飯野さん!?」


 FALLOVAの店員の飯野さん。ナチュラルメイクでメガネを掛けていたので全然分からなかった。


「あはは、わからなかったよね~! お店では変身してるからね。夏休みの間だけバイトしてたんだよ」


「羽依、生徒会長の御影志帆さんとFALLOVAの店員の飯野さんだよ」


「――雪代羽依です、蒼真がお世話になりました……」


 羽依は初対面の人と接するのは苦手なようで、引っ込み思案に挨拶をした。


「雪代さん、格好いい彼氏でうらやましいな。美男美女でお似合いだね!」


 可憐な微笑みで、御影先輩がうちらの事をうらやましいと言ってくれる。くすぐったくて仕方なかった。


「御影先輩と飯野さん。お二人は友達だったんですか」


「幼馴染なんだ。バイトの紹介は私がしたの。美樹ちゃんは将来服飾業界に進みたいんだよね」


「そうそう、志帆がFALLOVAの専属モデルだから、そのつてでね。そのおかげで蒼真くんとも深く仲良くなれたんだものね」


 ぺろっと舌をだす飯野さん。変な言い回しは止めて欲しかった。


「美樹ちゃんは肉食っぽいけど、まだ未経験なんだよ~」


「志帆! 余計な事言わないでよ!」


 実に意外だったけど、ちょっと安心もした。よかった、肉食っぽいのは見た目だけだったようだ。


「おじゃましちゃったね! またね藤崎くん!」


 軽やかに歩いていく背中を、羽依と並んで見送った。

 さて、後ろで超絶不機嫌になっている彼女様をどう宥めるか……。


「……蒼真、なんか随分と距離感近くなかった?」


 羽依が軽くジャブを放つ。どうする俺。


「そんな事ないよ。燕さんの広告の時に知り合った人たちだよ。飯野さんは学生だなんて思ってなかったし」


「ふーん。深く仲良くなったんだけどね」


「あれは飯野さんの冗談ってわかるよね?」


 納得いかないようで、学校に着くまでずっと不機嫌そうにしていた。


「おはよう二人とも。あら、羽依、何かあったの?」


 教室に入ると真桜が一足先に教室に居た。


「おはよう真桜! ねえ聞いてよ、蒼真やっぱりモテ期だよ~」


「はいはい、ここじゃ迷惑だから向こう行きましょ」


 教室は自主学習する生徒がすでに結構居た。みんな勉強熱心だ。

 俺たちは邪魔にならないように多目的スペースに移動した。


「……そう、羽依の気持ちはよく分かる。でも、あえて言うなら、それは我儘なのよ。蒼真はこれからもっと色んな人と関わっていくわ。それは止めちゃだめ」


 正面切っての正論を説く真桜。その言葉に羽依はしょんぼりしていた。


「だけど――不安になる気持ちまでは誰も否定できない。私だって同じ立場だったら、羽依と同じように不安にかられるかもしれない。でも分かるの。蒼真は絶対に貴方を裏切らないわ」


「うん、そうだね。わかってる。私って結構重いんだよね……。ごめんね蒼真」


 真桜の言葉は、羽依の心にまっすぐ突き刺さったようだった。


 素直に謝れる羽依がとても愛おしかった。学校でなければきっと抱きしめてたと思う。今はそれが出来ないことが歯がゆかった。

 羽依が暗黒面に落ちそうになっても、真桜がそばにいればきっと笑顔に戻れる。そんな気がした。


「俺もなるべく誤解されるような言動は控えるね。ごめんね羽依」


 見つめ合う俺と羽依。二人の気持ちが完全に通じ合ったように感じた。


 気がつくと、隣でいたたまれない様子の真桜。


「――コホン。さあ、勉強を始めましょうね。私もこれから忙しくなるわ。時間は有限よ」


「あう、ごめんね真桜。そういやこれから先、二学期のスケジュールってどうなるのかな?」


 俺の言葉に、真桜はスマホを取りだしカレンダーを見る。


「9月上旬から文化祭の準備が始まるわね。その後9月末に文化祭本番になるわ。10月上旬は中間テスト、その後から生徒会選挙告示からの選挙活動開始って流れね。11月初旬には新会長が決定されるわ」


「そっか、ありがとう。二学期も忙しくなりそうだね」


「そうだね~。文化祭かあ、うちのクラスは何やるんだろうね。楽しみだな~」


 新学期の初登校は、まずまず順調な滑り出しかな。

 夏休みに知り合った人たちと、早速学校で会ったのにはびっくりした。これから先も付き合っていくことになりそうだな。





 

――――――――――――――――――

 あとがき


 二学期開始時点での登場人物紹介です。


 若干のネタバレがあるので、始めから読んでみたいという方はブラウザバックをお願いします。







 藤崎蒼真ふじさきそうま――神凪学院1年生。物語の主人公。羽依とは偽装で恋人のフリをしていたが、正式に恋人に。現在はアパートに一人暮らしで、進級のタイミングで雪代家に居候の予定。性格は真面目で努力家。趣味は料理。超ヘタレが普通のヘタレに進化。両親が育児放棄状態で、そのことに深く傷ついていたが、羽依の優しさと美咲さんの母性にかなり救われた様子。


 雪代羽依ゆきしろうい――神凪学院1年生。物語のヒロイン。蒼真とは恋人同士。男性恐怖症だったが、やや改善の兆しあり。校内一と言われる美貌と学年二位という頭脳明晰さで注目される。悪意のあるデマも相まって、告白される事が多かったが、蒼真からの偽装恋人という提案を受け入れ沈静化する。過去に友人に裏切られた経験から、やや引っ込み思案になってしまっていたが、基本自由人。わりと周囲の人(特に蒼真)を引っ掻き回す。


 結城真桜ゆうきまお――神凪学院1年生。羽依と蒼真の親友で、蒼真とは同じ中学で生徒会長だった。美しい容姿と羽依との仲の良さから『尊みの塊』などと言われる。質実剛健、成績優秀、中学二年生で剣道日本一になっている。結城神影流と言う古武術の師範でもある。クールな雰囲気とは裏腹に、わりと感受性豊かで涙もろい。羽依と蒼真の事が大好き。


 雪代美咲ゆきしろみさき――『キッチン雪代』のオーナーで羽依の母親。元ヤンだけど、今はとても優しいお母さん。蒼真の事を息子同然に大切にしている。


 高峰隼たかみねしゅん――神凪学院1年生。蒼真の前の席で親友。サッカー部のエースで成績優秀。身長が185センチとかなり高めで性格も良くイケメン。蒼真曰く、天が何物も与えてるチートキャラ。姉が好き。


 高峰燕たかみねつばめ――東大3年生でファッションブランド『FALLOVA』の代表兼デザイナー。チートな弟を上回る、知性・美貌・行動力を備えたパーフェクトヒューマン。弟を溺愛している。


 御影志帆みかげしほ――神凪学院3年生で生徒会長。現役モデルでFALLOVAの専属モデルも務める。燕曰く勉強とルックスにステータス全振りした可愛いポンコツ。


 九条遥くじょうはるか――神凪学院2年生で蒼真と真桜の中学の先輩。中学校時代は生徒会長を務める反面、悪い噂も絶えなかった。蒼真が孤立する要因を作ったが、何故か蒼真に執着している様子。次期生徒会長選に立候補予定。


 飯野美樹いいのみき――神凪学院3年生。御影志帆とは幼馴染。FALLOVAに夏休みの間だけバイトをしていた。なんちゃって肉食系女子。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ