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第160話 プレゼント交換

 勉強会から寿司食べ放題と盛り上がり方がエグいことになってるクリスマスパーティー。

 次はプレゼント交換だ。俺のサボ美は一体誰の手に渡るのか。


「参加者は七名でプレゼントが7つと。じゃあプレゼントを一旦こっちに持ってきてね。番号を貼ってくじ引きにしよう」


 みんながもってきたプレゼントに燕さんがマスキングテープに番号を書いてペタペタと貼る。


「燕さんがFALLOVAの商品禁止って言うから悩んじゃったよ~」


 志保さんがそう不満げにボヤくと燕さんがくすっと笑った。


「関係者だらけなんだから絶対かぶるでしょ?」


 燕さんが簡単なくじを作り、みんなで引く。俺は七番だ。


 ちょっと重たい袋だな……中身はザバス。隼か……。

 代わり映えのない品物にげっそりする。文化祭のときは開封済みのザバスだったが、さすがに今回は未開封だった。

 隼が舌をペロッと出してサムズアップをしてきたので俺は親指を下に落とした。


「わあっ! 可愛いサボテン! これって蒼真くん?」


「おお! サボ美! 志保さんのところに行ったか。かわいがってあげてください」


「うん! 今まで何回も枯らしちゃったけど、今回は頑張る!」


 ……一抹の不安を覚えたが、今の所有者は志保さんだ。達者で暮らせよ……。


「さて、俺のは~、って、なんだこれ! テ◯ガってこれ絶対美樹だろ!」


「やったじゃん隼! 美樹ちゃんだと思って使ってねえ~」


 ニヤニヤしながら最悪な下ネタを言い放つ飯野さん。

 恐ろしい人だな……。というか、他の人に行ったらどうするつもりだったんだ。


「私のプレゼントは……うわっこれすごい……可愛いシルバーのネックレス。これって燕さん?」


「そうそう、真桜に渡ったんだね。実は真桜をイメージして買ったんだ。なんか嬉しいな~」


 嬉しそうに早速身につける真桜。可愛らしくも高級感溢れる意匠だ。燕さんのセンスらしく、確かに真桜にとても良く似合っている。


「真桜すっごく可愛い!めっちゃ似合ってるよ! じゃあ私のは~……これって手袋だ。かわいい~! これって志保さん?」


「うん、私も実は羽依ちゃんイメージして買ったんだ~。冷えるって言ってたからさ。嬉しいなあ」


 羽依はありがとう!と志保さんに飛びついた。その光景を見るとなんだか胸がじわっと暖かくなった。


「さて、私のプレゼントは~。うわっしぶ、万年筆だ!」


「それ私です。飯野さんに万年筆って一番ぴったりだったかもしれないですね」


「え? そうなの? 一番あってなさそうだけど」


「ちょっと蒼真くん! 酷くない? 私はこうみえて小説家なのよ! 商業でも何冊か出してるんだから! 全然売れないけど!」


 そう言って俺にスマホで本の画像を出す。

 その画像を見てみると見覚えのある本が。

 いやまさか……。

 もう一度しっかり見ると、そこには俺の家にもある本が。


「ちょっ! マジすかっ! 俺の愛読書だ!! 飯野さん“わたのせ”の作者だったんすか! うわっサインください!」


「え……まじで? リアル読者初めてみた……ちょっと嬉しいじゃないの。じゃあ早速この万年筆使うね!」


 いやあ驚いた。「私を蟹工船に乗せてどうするの」通称“わたのせ”の作者、木井乃未さんが飯野さんだったなんて。

 あんな辛く重い純文学をこんなギャルが書いていたとは。

 ラストの全員蟹の餌エンドは思い出すと涙が溢れる。


 きっとサインの練習はいっぱいしてきたんだろうな。書き慣れた感じにさらさらっと可愛いサインをノートいっぱいに書いてくれた。端っこに蟹まで描いてくれたのが嬉しすぎる。


「じゃあ最後は私かな。羽依からだね! 中身は~マグカップ! すっごい可愛い~! このキャラ今流行りの“ぴいかわ”だねえ」


「んふ、限定販売を朝から並んで買ったんですよ! でも燕さんには子供っぽかったかな~」


「ううん! 羽依からってのがすっごく嬉しい! 早速今日から使わせてもらうね! みんなもコーヒー淹れるよ!」


 羽依と真桜が手伝いますと三人でキッチンへ向かった。

 いやあめっちゃ盛り上がったな。

 飯野さんもまさか文豪だったとはびっくりした。

 というかお姉様方はみんな只者じゃないな。経営者に芸能人に作家と、みんな一芸に秀でた人たちなんだな。


 燕さんのうちにはデロンギのコーヒーマシンがあった。ユーチューバーが使っていたのを見て俺もいつかは欲しいって思っていたものだ。

 飲んでみるとなかなかに美味しい。いつでも手軽にこの味を楽しめるのは素晴らしいな。


 ほっと一息ついたところでみんな思い思いに雑談が始まった。


「蒼真、初詣は行くのか?」


 隼がそんなことを言ってきた。

 俺は毎年近くの寺にお参りしてた。鬼ほど混雑することで有名な寺なので今年は用もないから実家の方はパスかな。


「ん~まだ何も決めてなかったな。羽依、初詣って毎年どうしてる?」


「うちは寝正月だよ~。行きたかったら男同士で行っておいで~」


 そんなつれない言葉が返ってくる。羽依は興味がないとすぐにそっぽを向くからなあ。


「まあこんな感じ。隼はどうするんだ?」


「みんなで行ったら面白いかなって思ったけどな。まあ行きたくなったら言ってくれ」


「あら蒼真、今年は初詣いかないの?」


「ん~どうしよう。真桜は行くの?」


「年末年始は実家で過ごすからお寺には参拝するわね。蒼真も来るなら一緒にどう? 毎年行ってたなら行かないと不安になるわよ」


「そっかあ、羽依は俺の実家のほうなら行く?」


「え~……人混みやだ、寒いのも嫌。おうちにいる~。蒼真、行ってらっしゃい!」


「……だって。まあ考えとくね」


「ふふ、羽依らしいわね。じゃあ返事待ってるわね」


 なんか選択肢が妙に増えちゃったな。年末年始の過ごし方か。

 その前に羽依と真桜とのクリスマスお泊りイベントがあるんだよな。そしてその後に九条家のバイト講習が缶詰で五日間か。

 冬休みの予定も色々詰まってきたな。


「蒼真、夜景すごいよ! みてみて!」


 いつの間にかリビングのカーテンが開いていた。

 リビングの照明を少し暗くするとさらに輝いて見える都内の夜景。


「すご……これがタワマンの夜景か……」


 都会の明かりはまるで宝石を散りばめたように輝いている。あの無数にある光の一つ一つがみんなの生活や仕事とか、意味のあるものなんだよな。


「見慣れちゃうんだけどね、でも綺麗だなって毎回思うよ」


 燕さんが隼にもたれかかってそんな事を言った。

 姉弟と知らなかったらとてもお似合いのカップルに見える二人。

 でもそんなの関係なく深く仲の良い二人を見ると、付き合いの形は人それぞれなんだなって思える。


「じゃあそろそろ帰ろっか」


 俺の言葉で解散の雰囲気になる。

 燕さんの「送っていくよ」の言葉は丁重にお断りした。

 これ以上お世話になるのも申し訳ないし、羽依と二人で歩きたいなって思ったから。

 羽依も俺の気持ちを察してくれたようだった。

 真桜と志保さんと飯野さんは同じ方向のようだ。安心して帰れるようで良かった。


 燕さんと隼に感謝を述べつつ、みんなと別れて夜道を歩く。


「楽しかったね~! なんかさ、こうやってみんなでクリパとかって幸せ感じちゃうね。ちょっと疲れたけど」


「まあ確かに疲れたね。――羽依のその手袋がよく似合ってる。可愛いね」


 羽依は白い息を吐きながら、嬉しそうに頷く。


「こうして寒い夜に早速手袋をつけて歩くけるのがとっても嬉しい。さすが蒼真、分かってるね!」


「狙ったわけじゃないけどね。羽依と歩きたかったんだけど、ちょっと失敗したかもな。地味にこのザバスがクソ重い!」


 羽依が声を上げて笑ってる。俺もつられて笑ってしまった。

 つうか俺も隼もしっかりネタプレゼントを引く辺り、引きが良いんだか悪いんだか……。


 でも楽しかったな。みんなで集まるクリスマス会。

 また忘れがたい思い出ができた一日だった。

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