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告られ彼女の守り方 ~偽装から始まる、距離感ゼロの恋物語~  作者: 鶴時舞
1章 君が隣にいた三日間。

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第10話 リンクコーデ

 動物園をたっぷり楽しんだ俺たちは、行きがけに見かけたショップを何軒か回ることにした。

 目ざとい羽依は、どうやらお目当ての店をしっかりチェックしていたらしい。


「蒼真、リンクコーデしよっか」


「なにそれ? ペアルック?」


 羽依はくすっと笑って「似たようなものだよ~」と手を引っ張っていく。


 何やらお揃いのテーマでカップルを演出する服らしい。羽依は色々しってるんだなあ。さすがは都会の子。同じ柄のTシャツとかは恥ずかしいけど、そのぐらいなら敷居も低そうだ。


 初夏まで着られそうな薄地のジャケットを羽依が選ぶ。俺なら絶対選ばないミントグリーンの色だけど、それが着てみると今の格好にとてもマッチしているように見える。これはもう羽依に任せとくのが正解っぽい。


 羽依があれこれテキパキと選んでくれて、お値段も意外と安くてホッとした。


 羽依も自分の服をいくつか試着してみる。正直どれも似合いすぎて決めかねる。


「これどうかな? シースルーだよ~。ちょっとエッチじゃない?」


 首だけ出してシースルーの服を見せようとする羽依。さっき持って行ったスケスケのブラウスだよね!? 腕を出して見せつける。――透け感が半端ない。


「いやいや、それはちょっとやばいって!」


 その後に試着室のカーテンをガバッと開ける!


「……中、着てるじゃないか……」


「当たり前だよ~! そのまま着たら露出狂だよ~! 」


 けらけらと羽依が笑ってる。


「帰ったら裸の上から着ようか?」


 なんて挑発的な発言をする羽依。やれるもんならやってみろ~! とも思うが、本当にやりそうなのが怖いので言わないでおこう。


 やってることがバカップル状態だ。店員さんもくすくすと笑ってて、ちょっと恥ずかしかった。


 結局、羽依はシースルーのブラウスとミントグリーンの薄地のカーディガンを購入した。


「次のデートで着ていこうね~!」


「あ、うん!」


 次のデートと言われて、少し戸惑ってしまったけど、羽依はまた俺とデートしたいのかな? だとしたらメッチャ嬉しい!


 帰りの電車も羽依は終始はしゃぎっぱなしだった。


 いつも明るく朗らかな彼女だったが、ここまでテンション高くはなかったと思う。学校とはまた違った羽依の一面が知れて、なんだかとても嬉しい。


 うちの近所の駅に到着したのは夕暮れ時、帰りにスーパーへ寄ることに。


「晩ごはん、なにか食べたいものある?」


 俺がそう聞くと、羽依は「なんでもいいよ~」と返してきた。わりと困る返事だ。俺のセンスが問われる。


 疲れた体には、やはり肉かな。昨日は豚肉のカレーだったけど、そこはお互い高校生。肉は正義! お肉が二日続いても問題ないね。


 鶏肉、小松菜、豆腐に油揚げにヨーグルトを買っておく。羽依は何か必要なものあるかな?


「他になにか必要なものある?」


「ん~歯ブラシとか置いておいても良い?」


 歯ブラシが2本置いてあるシチュエーションって何か同棲ぽくない? ドキドキしてしまうけど、断る理由もない。


「じゃあ買っていこう。また必要なものあったら買いに来よう」


 スーパーを出た頃には、空は群青色に染まり始めていた。

 街灯がぽつりぽつりと灯りはじめて、人気のない道を歩くと、少し心細く感じる。


 俺が手を差し伸べると、羽依は自然な感じに手を繋いだ。一人で歩けば距離を感じる道のりだが、今日の出来事を話してるうちに、すぐ家に着いた。


「ただいま~」


 俺が言うと羽依も「ただいまー」と続いてくる。なんかくすぐったいな。


「早速、晩御飯の支度始めるね……。ってどうしたの?」


 羽依が俺のそばによってきて、俺の背中にぴたっとくっついてくる。今日一日歩いたからか、少し汗っぽい甘酸っぱい香りに、頭がクラクラする。抱きしめたい衝動が抑えきれない。


「蒼真は優しいよね。今日はありがとう。無理させちゃったかなって。こうして一緒に遊ぶとすごく楽しくて。テンション高すぎて変じゃなかったかな」


「羽依の新しい面が見れたのは楽しかったよ。クラスで一緒に話してるときよりも楽しそうに見えたからさ、そう言ってくれると嬉しいよ」


 俺は我慢しきれず振り返り、羽依を抱きしめた。体から伝わる感触に、鼓動が高鳴る。羽依も俺の背中に手を回してきた。


 少し長めの包容のあと、羽依は俺の首筋あたりでスンスンしている。


「――蒼真の匂いってさ、前から思ってたけど、なんかエッチだよね」


 顔を赤らめてそんなこと言ってくる羽依。なに匂いがエッチって!?


「え?俺、そんなに臭う? じゃあ、先に風呂はいるね!」


 臭いとか思われるのは、現代っ子の俺には精神ダメージでかすぎる。


「だめ! その、あれ、先にごはん! おなかすいたー!」


 ああ、腹ぺこさんをなんとかするのが先か……まあ、嫌じゃないんなら仕方ないか……。


「すぐお風呂入るのなんて、もったいない……」


 何やら羽依がぶつぶつと小さい声でつぶやいている。まあ聞かなかったことにしよう……。



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