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プロローグ

「危ないっっっ!!! 母さんっ!!!」


 私の体は、反射的に母を庇うようにして覆いかぶさっていた。


 その瞬間は、まるで走馬灯(そうまとう)のようで。


 母がゆっくりと私を振り返り、驚いた顔を見せて。


 私は、そんな母の顔を見て、ゆっくりと笑顔を返した。


 ――大丈夫だよ。母さん、守ってあげるから……


 声にはならなかったと思う。でも、私の思いは母さんには伝わった気がした。


 その後のことは、よく覚えていない。


 でも……


 母さんが私の名を叫ぶ声と、弟が必死に助けを求める声は、薄れゆく意識の中でも聞き取ることができた。



 そして――



 それが、私の終りであり……始まりだった。




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