とある日に
本来、誰も読んでくれないと諦めた作品だけど…
気がづいたらたった一人だけ、評価をしてくれた者が居た。
しかも星5みたい…だって、評価者数1人で星5評価だから…
滅茶苦茶嬉しいので、求められてはいないかもしれないけど最後にもう一度だけ更新した。
テントの中で目を覚ますと裸で抱き合ってた彼女が居る。
この刺激的な光景もいつも通りになりつつある事実は間違いなく幸せで。
それでも未だ童貞でキスの経験すらない自分は不思議で。
でもやはりこの距離感が心地いい。
深いところまでは行かないけど、スキンシップに遠慮も隔てもなく、どこまでも相手の体温を思い存分感じるこの距離は気持ちがいい。
未だ互いの名前すらも分からないし、聞こうともしない僕達の距離感を表すようだ。
「ん…おはよう…お兄さん。」
「おはよう。」
「にヒヒ~」
いつも通りの魅力的な笑顔で僕を抱きつく彼女を抱き返す。
ああ、癒されるーー。
――ハグって気持ちいいね。
そう彼女が言い出すあの夜から、抱き合って寝るのと朝起きる時に取り敢えずハグするのが何となく僕達の日課にと化した。
裸なのはサービスとのことらしい、その代わり僕も裸にされた。
でも裸で抱き合うのって…うん、実に気持ちいい。
身体が密着する事で生じる不快感よりも、その柔らかさが、重さが、温かさがひたすらに心地がいい。
それになんかいい匂いするし。
ああ…なんかこのまま二度寝したい…心地よすぎて起きたくないー。
それを彼女も同じ思いなのか。
一向に起き上がる気配はなく。
なので僕達はそのまま二度寝した。
□■□■□■
お腹が減ったので昼飯にした。
勿論服を着た。
笑顔で、本当に楽しそうに集めた食べ物を料理している彼女を見て、ニヤニヤししだした僕はさぞや気持ちの悪いおっさんだろう。
しかし、やはりいいな、終末世界。
焦り駆られる事なく、怠惰に身を任さて、存分に昼過ぎまで寝ていいなんて。
気持ち良かったなー。
「はーい!出来上がりでーす~」
「おおおー。」
野菜を焼くもしくは茹でるだけの簡単な料理。
しかしながら、やはり何故か凄く美味しく感じる。
でも急がない、ゆっくり食べる。
ゆくっり食べてもいい、時間は気にしなくてもいいし、周りに合わせなくてもいい。
遅い事は罪にはならない、批判対象にはならない。
だって批判する者も急ぐ連中もいないのだから。
□■□■□■
「ありがとう、美味しかったよ。」
「どういたしまして。」
心地のいい声だ、癒しを感じるちょっとした笑い声だ。
この娘はやっぱり天使かも?
とは言え、流石に食器の片付けはちゃんと手伝わないとね。
気遣いとか、やらないととか、やらないと悪いとか、そういう強迫観念に突き動かされたからではなく。
ただ、何となく、彼女の為に、些細な事でも、ちゃんとしてあげたい。
これは二人旅だから。
一緒に死ぬまで気持ち良く生きようとする二人旅だから。
その大事なパートナーだから。
いや、違う、違わないけど違うかも。
きっともっと、理屈よりも先に、理屈は全部後足しで。
ただ単に、彼女の笑顔を見てたら身体が自動に動いただけ。
とは言え、おっぱいは揉みたいので、報酬代わりって訳じゃないが…後で頼んでみよ。
□■□■□■
「いい天気だね~」
「そうだね…」
何をする事もなく。
僕達はただ空を見上げる。
あてもない旅、それはつまりやらないといけない事も無ければ急がないといけない理由もない。
だから…
「ダラダラするには絶好な日だ…」
「そうだねー。」
彼女の言葉に賛同しながら僕の膝に座る彼女の髪に顔を埋めく。
「お兄さん髪フェチ?それとも匂いフェチ?」
楽しそうな彼女の声に僕はしばし考える。
「多分両方。」
「変態だー♪」
「普通じゃない?」
「ええー、ホントに~?」
「普通だよ、もうこの世界は残り二人だけ、つまりこれは半分の人類がそうだという普通の事だ。」
「うわ~~確かにー~」
そう言って彼女は僕の膝の上で身体を翻て、僕と対面する姿勢になった。
何をするのかと思ったら彼女は僕の匂いを嗅いできた。
「恥ずかしいんだけど…」
「えぇー、お兄さんがそれを言う~?」
そんないたずらをしそうな顔で見ないでくれ、ぞくぞくするだろう。
「ああー、でも、クンクン…ん…分かるわ…」
「何を?」
「匂いフェチは普通な事、だって全人類がそうだから。」
「……そうですか。」
「なに照れてんの~」
「……」
「はは♪お兄さん可愛いねー~」
君の方が可愛いわい!と、流石に童貞のおっさんには言う度胸がなかった。
これだから童貞なんだろうな~
「…はあ、いい一日だな。」
「いい一日だねー。」
まだ日も暮れてないのに、いい一日判定。
でも、これはいい一日だ。
これにて終了。
絶対とは言わないけど、たぶんもう更新することはない。
たった一人の評価者さん、ありがとうございました。