序章
想像した事があるだろうか。
もしこの世界に居る全ての人間が急に消えたなら。
もしこの世界は一夜にして終わってしまったなら。
誰もいない世界、終末を迎えた世界。
それは――想像するだけで心が踊る世界だ。
別に人間に死んで欲しい訳じゃない、世界に滅んで欲しい訳じゃないんだ。
誰かに不幸になって欲しい訳でもなく、世界レベルの災厄が起こって欲しい訳でもなく。
ただ、俺は、この息苦しい世界が終わればと。
都合よくそんな事を考えた。
そして、そんな都合のいい願いにも関わらず、神様が叶えてくれたらしい。
いつも通りに家で寝て、目を覚めた僕の目に映るのは僕の部屋だけど、僕の部屋ではない。
それは、まるで僕の部屋が長い年月を放置した末のもの。
物の配置はそのまま、だけど草や蔓などすら生えて来たこの荒廃した様はとても自分の部屋とは認識出来ない。
そして、そうなったのは当然僕の部屋だけではなかった。
街が、世界が荒廃してしまった。
人も、動物も見当たらない。
そうこれは正しく終わった世界だ。
終末な世界だ。
「やっほううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
心からの叫びだ。
歓喜極まる叫びだ。
かつてない叫びだ。
涙が出た。
嬉しいさが胸で一杯になった。
ただただ涙が溢れ続けた。
気持ちのいい涙だった。
救われて流す涙だった。
救いがあった、希望があった、終わったんだ、全部。
俺は今解放された。
「イエエエエエエエエエエーイ!!!!!!!!!!!!」
らしくもない咆哮だ。
とても、人見知りを極まったおっさんが出すような声ではない。
というか何故か身体が若返った。
でもそんな事が気にしない程僕はいまテンション爆上げで、叫びまくった。
我慢して来た全てを、耐えて来た全てを吐き出すように。
ただただ、解放された喜びで叫んだ。
俺は今漸く、生の喜びを感じた。
生きる事って素晴らしい!
世界が終わって漸く感じれた!
「これが生きる事の喜びかああああ!!!!なんて幸せだあああああああ!!!!」
はははははっははははははっはははははははっはははっははははははっはははははっはあっははははははっははははっははははははっははははははっはははははははっははははははっははははははっはははははっはははははっはは!!!!!!!!
抑えが効かない、そもそも抑える必要のない狂笑。
だって誰に迷惑も掛かないんだから!!!
オラ!服も邪悪だ!!!人も動物もいない街だ遠慮する事がない!正真正銘全てを解放して行こう!解き放て行こう!身も!心も!
そして、走る。
俺がストリーキングだああああ!!!!
はははははは!意味が分からん!!!!!!!!
でも、走る、駆け抜ける、煩悩も何もかも全てを捨て去るかのように、疾走する!
そして出会ってしまった――美少女に…え。
「は?」
私は今いったい何を見てるの?の顔で彼女は口を開けたままこっちを見る。
何という出会いだ、古今東西、物語の中でもこんな出会い方をするような男女は果たして居るのだろうか。
「うっをおっをおをおおおおおおおおおおおお!?!!?!?!?!!!!」
こうして俺は今日一番の声を出した。
…死にたい。
今日から三日間だけは連続更新。
よろしくお願いします。