7ページ目【お風呂の霊】
7ページ目【お風呂の霊】
弟がお風呂に入っていると、生首が出た。
しばらくシャワーしか入れなくてかわいそうだった。
あー懐かしい。そういやそんなことあったなぁ。弟がはじめて我が家の霊を見たのは、お風呂場であった。
弟が小学生低学年の頃、かけ湯して、体を洗って、お風呂に入ろうと蓋を取ったら、首から上しか無い頭頂だけ剃り上げたざんばら髪の落ち武者の霊が出た。
入浴剤を入れてない湯の中から首だけ出して胴体が無かったらしい。髪の毛は水面に広がってうねって水に浸かっていて、顔中いたるところから血を垂れ流してぷかぷか漂っていたらしい。
無言でこちらを睨んできて、びっくりした弟は、びちゃびちゃのまま風呂から出てきて泣きじゃくるものだから、お母さんがあわててバスタオルを取りに行って話を聞くと、そんな霊が出たそうな。
その頃は家族で父と弟以外心霊体験済みだったので、これからいっぱい見えたり聞いたりて大変になる、気にやまないように話をいっぱい聞いていこうとおもった。
しばらくお風呂に出たそうで、私達が代るがわる声掛けしたり、湯船に蓋をしないで空の状態でシャワーに入ると奴は出なかったから、弟はシャワーばかりだった。
少し年齢が上がると出るには出るが落ち着いたのか風呂に入れるようになったらしい。
私はその話を聞いたとき、湯船には何も見えなかったけど、顔や髪の毛を洗ってるときは必ず気配がしたので、鏡や背後を見ないように目を瞑って手早く済ましていた。
目を開ける時はドキドキで、下向いてかがんだ足と足の間に奴の顔が出てきたらヤバいとおもったが幸い出てこなくてよかった。
たまに髪の毛を洗ってるとき、自分(短髪)とは違う髪質のゴワゴワした別人の絡まりやすそうな長い髪の毛を洗ってる感覚があったが、ついでだとシャンプー増量で洗ってやった。これでサラサラにしてやったわと少し満足したのはないしょ。