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春とMacchiato  作者: 霜月 ねむり
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目前

 あなたは、自信がない、取り柄がない、なんて思ったことはありませんか?

幸せになりたい、そもそも幸せってなんだろうとか、つい考えちゃいますよね。

でも、周りある小さな幸せは、意外にもすぐそこにあったりするんです。


空が晴れているだけでも、心が穏やかになるのも一つの幸せ。

お腹いっぱいに食事ができるのも幸せ。

休日には、好きなことをしていられるのももちろん幸せ。


当たり前にしている生活の中でも、小さな幸せは身の回りに落ちています。

“私も幸せになりたい”って思っている人でも、気づいていないだけだと思うのです。

最大の幸せを知っているから。



 この物語では、その日常の小さな幸せを噛み締めながら生きているのが、

主人公・琴葉。

 琴葉の生き方、純粋な心に、是非目を向けてみてください。



※連載小説です。

 風が心地良い。やっと春がきた。冬の寒さに耐え、新芽をつけた木々。

この、春独特の匂いが私の心を穏やかにさせた。春って、出会いと別れの季節って言うし、ただ玄関を出ただけでもなんか今日はいいことありそうってなぜかワクワクする。


 天気がいいから、よく行く木犀公園に今日も向かう。この公園は、住宅街に囲まれているところにある。子供たちがはしゃぐ声、ベビーカーを押して子供についていくお母さんの姿、ワンちゃんとお散歩するおばあちゃん。この公園はなんて平和なんだろうって来るたびに思う。私が中学生の時、よく友達とこのステージみたいなところで踊ったり、自転車でただただ寄り道したりしていた場所で思い出の公園になっていた。この気温と空気を味わいたくてちょっと歩きたくなったから、整備された住宅街の中をゆっくり歩いてみることにした。可愛らしいお家や、外国にありそうな外観のお家まであって素敵な住宅街。見惚れていると少し進んだ先に、ひっそりと佇むオシャレな雰囲気のカフェを見つけた。こんなとこにカフェあったんだ、と驚嘆したが、ちょっと入りづらい気がして、店内を少し覗きながら店前を通り過ぎた。

 琴葉は久しぶりにいい発見があって嬉しくなった。このことを誰かに伝えたいけれど、自分の中にしまっておくと言えない秘密ができると思うと楽しくて、いつもカフェ巡りを一緒にしている友達にも伝えなかった。

 あっという間に日が暮れ、雲が薄くオレンジ色に染まっている。ひとりで群青色のコンクリートの上を歩いて家に帰る。なんか最近は友達といるのも楽しいんだけど、自分のペースで好きなことしてっていうのがなんとも好きで仕方がない。どれだけゆっくりしてても誰にも干渉されないで済むから。特別孤独感を感じてるとかそういうのでもないけど、自分の時間がどれだけ大事なのかをしみじみと感じている。



 恋愛ドラマを見ていたら既に夜の10時を回っていた。


 「早く琴葉もいい人見つけて結婚してよ〜。はやく孫が欲しいのよ。」

 母はよくこれを口にする。 


 「私だって早く出会いたいに決まってるよ。イケメン旦那欲しい〜。」

 これを聞いた母は、少しムッとした顔で言ってくる。


 「顔で決めるんじゃなくて、中身を重視しなさいよ?」

 今までそれで何度か失敗してきていることを知っているからそう言う。


 「うん。分かってるけど…」


 今までの恋愛を振り返ると、どれも自分の未熟さが目立っていた。

相手は勇気を出して告白をしてきてくれたのに、自分は中途半端な気持ちのまま付き合って、最終的には付き合っている意味がわからなくて申し訳なくなって振ってしまったり、なかなか会う時間を作れなくて振られたり。

振り返りたくないような経験もしてきた。


 恋愛ドラマの主人公ってどうもうまくいくようにできている。ハンサムで運動神経抜群で、何かあったらすぐに駆けつけて来てくれる。そんな人が彼氏になっている主人公にどれだけ憧れを持っていることか。私ももう少し可愛くてちょっと馬鹿っぽいところを女の子らしく見せれていたらモテモテになれてたんだろうなぁ。高校も卒業してこの先出会いが少ないと思うと、もう自分には恋愛できないんじゃないかって思ってきた。最近は恋愛ドラマ見てるだけでも幸せに感じてきた。恋愛してる立場になると、楽しいことだけじゃなくて、不安になったり嫉妬したりして、辛いことも味わなくちゃいけないから、精神的に疲れちゃうのが現実だったりする。ドラマだと、見てるだけでキュンキュンしたりドキドキしたり「幸せ」しか知らなくていいのが魅力だなって思う。



 明日もバイトだな、と布団の中でため息をつく。

同じバイト仲間には2組のカップルがいる。私たちがバイトをしているカフェで出会ったカップルと、高校で出会ってバイト先を同じにしたっていうカップル。どちらのカップルも美男美女だし、楽しそうに働いている。そりゃあ、好きな人とずっと同じ空間にいるんだもん。羨ましくなんてないって顔で仕事するけど、正直羨ましい。私にはこのカフェで出会いがなかった。カフェでならいい出会いがあると勝手に思い込んでいた自分を殴りたい。仲間はみんなお洒落で、仲もとっても良いけど、恋愛感情がある人はいない。まぁ焦る必要もないから、今は1人の時間を大事にすればいっか。



 ちなみに私の将来の夢は、自分のカフェを開くこと。

たくさんお金を貯めておかなければまず店舗を構えることができない。だから、高校を卒業してからは大学にも進まず、お金が十分貯まるまで、カフェでバイトをして過ごすことを決めた。

 就職も考えたが、今の夢に複雑な気持ちが割り込んで来てしまいそうだと思って就職するのはやめた。

とは言っても、正直自信がない。自分にできるのか。

 高3の秋頃になって、周りはみんな進路が決まってきていた。その中で、唯一最後まで悩み悩んでいたのは自分一人だった。


 「カフェ開きたいのが明確なら、進学も就職もしなくていいんじゃない?周りに合わせる必要もないし…」

 と友達の優里花は言ってくれていた。それでも自分は、


 「自分でお店を管理して、広告出したりとか…全部自分にできる気がしないし、親には心配かけちゃいそうだし…」


 「そんなこと言ってたら何にも挑戦できないよ?やらなかったら後悔するのはもう目に見えてるじゃん。自分で人生創り出して、なんでもやってみなよ。」


 私が、まっすぐに夢を確信させたのは、この言葉だった。こんなに心が動かされたのは初めてだった。その日にすぐ親に、今考えている道を言ってみることにした。

 親の立場からしたら高卒で、就職もしないなんて家族が知ったら、どんな反感を買うか覚悟をしていた。


 「私、自分でカフェを開きたいから、まずお金を貯めて、その道を諦めずに進んでみたい。」


  母は、「あら、いいじゃない。覚悟ができてるなら、私どんな道でも応援してるからね。」


 「嬉しい!ありがと!」


  父も、

 「すごいじゃん。ただ、無理にその道に進まなきゃいけないってことはないからね。なかなか厳しい道かもしれないけど、頑張ってみなさい。」


  「うん。わかった。」


 誰よりも家族が、応援と心配をしてくれた。

 だから今、まっすぐに夢を追いかけることができている。


 それでも家族には、罪悪感しか抱かなかった。もし夢を実現させることができなかったら、私はまともに就職できるのか。それか、実現したとしても、常連さんを獲得して、赤字にならずに営業させることができるのか。いろいろな不安が頭の中を目まぐるしく回っていた。でも、私は覚悟を持って、家族にいつか恩返しをしたい、裏切るような形で終わらせたくない。この思いが強く、自分を信じてみることにした。







続く

 まず、「春とMacchiato」を気になり、読んでくださりありがとうございます。

初めて小説を書かせていただきましたが、どのように展開していくのか、構成を作り出すのか、まだ探り探りです。

思うままに、何の指摘も入っていないままの作品です。


 普段はなかなかやりたいことに踏み込めない自分に、何かできることがないか考えていたら、ネットで小説を書ける、そして公開できるということを知って、小説を書くことを決めました。

 日頃から、未熟な自分を試したい・成長させたいと思っていたので、たくさんのお言葉をいただきたいです。

どんな感想でもいいです。思ったことを、聞かせてください。


 物語の入口であるからという理由があり、1話は短いお話で区切らせて頂いております。

 2話からが本題です。

 続けて読んでいただけると嬉しく思います。


これからどうぞ、私の物語人生を、

よろしくお願いいたします。



 明日も素敵な1日に、なりますように。

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