⑥前会議の問題点
当節目安(2.5分程度)※400字1分計算
「守仁くんは先日の会議、どうお考えです?」
告白でもないならこれ以上貴重な放課後を費やしてたまるか。
適当に答えてさっさと開放してもらおう。
この子ちょっと面倒そうだし。
「とりあえず誰の制作で進めるのかなーとか、かなー。」
「聞き方を間違えましたね。前回の会議での問題点はなんだとお考えですか?」
「・・・わるいけど特に思い当たらないなー」
面倒臭い。
帰ろう。
振り返り、自宅にGO!・・・は小柄な体でコースを遮られたことにより失敗。
「問題点は?」
「なんで俺に聞く?」
「私は諜報委員、いえ、役職が決まる前からクラスの生徒の情報は集めております。従って貴方の生い立ちも存じております。正直委員長の仰る『後者』ではなかったと思いますよ?」
比呂の言っていることは本当か、単なる鎌かけか。
確かめることも、仮にそうであったとして偽ることも手間そうだな。
はぁ、こなきゃよかった。
「まとめ役が実力主義の真締と言うのは問題はないと思う。制作物をプレ討論で決めることも理には適っている。ただどんな制作もクラスの協力は不可欠となる中で、今後の制作という重要な案件に対して発言者が2名ということに問題があると思う」
「しかしそれは無理もないと思いませんか?クラスの皆さんは、あの状況の中で発言できるような期間は過ごせていませんからね。その点では、宇流さんには評価もありますが」
「まあそんな空気間にした真締にも問題はあるだろうが、それを許しているのは俺たちを含めたクラスだし」
比呂はこちらの様子を伺っている。
なんだよ、続きを待ってるのか?
「確かに個々の制作力が強いこの学校の生徒でも制作はクラス単位。それなのにこのまま来週の会議を迎えたら、つまりプレ討論でバラバラな個々のベクトルを発生させた後じゃとてもそれらの制作力が揃ったベクトルになるとは思えないな」
さあどうやってここから話終しまい!ってムードに持っていくか。
「流石ですね。だてに若くして生活するために数多くの社会経験をされてきたわけではないというわけですね」
ニコーって。
可愛いなっ、ちくしょー。
そうだよ、俺は中学の間はほとんど仕事をしていたよ。
もちろん中学生での仕事なんて公なものではない以上、人には言えないブラックの仕事ってか雑用がほとんど。
そんな中多くの大企業の会議を目の当たりにしてきた。
ちょうど今回のクラス会議に似たような状況が起き、最後には統率が取れずに倒産、といったこともあった。
だから今回のクラス会議での問題点と言えばそんな点があると思っていたのだが。
・・・この子、本当に知ってそうだな。
「驚きました?因みにもう1歩踏み込ませて頂きますね」