【序章】①不精者の放課後
この物語は登場人物にとってとてもご都合の良いほんのちょっとだけ技術が発達した世界となっております。
謎理論も炸裂することでしょう。
温かい眼差しでこの子たちのちょっと変わった学校生活を見守って頂ければと思います。
当節目安(2分程度)※400字1分計算
目的地まで飛んでの移動ができればな。
飛行機やヘリコプター等、大掛かりな飛行移動ではなく、もっとこう、気軽な移動で。
例えば学校の敷地内、昇降口から体育館裏までの移動で。
そんな距離の為にわざわざ飛行許可を申請し、ヘリコプターを用いていては返って面倒臭い。
申請もいらずにフワッと浮遊し目的地まで移動ができる【竹とんぼとヘリコプターが混ざった様なひみつの道具】でもあれば良いのだが。
さすがにそれは疾うに諦めたSFの世界だろう。
そんな訳で俺は絶賛体育館裏まで移動中。
1週間の最後、金曜の放課後と言う体力が最も枯渇に近い状態で寛ぎのマイホームへの直帰を捨ててまでなぜ面倒な移動をしているかと言うと、この道曲がった先にある体育館の裏にはおそらく俺に想いを告げてくれる女子が待ってるから。
それにしても。
手紙って。
この学校は携帯の持ち込み、授業中の使用までもが認められているにも関わらず手紙とは妙に気持ちが高まってしまうではないか。
1週間が始まってしまった、と思って登校してみたら。
『今週の金曜、17時に体育館裏で待ってます。誰にも言わずに1人で来てください』
だって。
どう見ても告白のためのラブレターだろこれ。
なんでわざわざ週末なのだろう、これでは1週間そわそわしてしまうではないか。
いやしないよ?
しないし。
する。
ふとドッキリの線も考えたが俺を揶揄う様な友達はいない。
むしろ友達がいない。
無理もない。
まだ入学して1週間ちょっとなんだから学級委員長になった真締 学や射引 蝶さん、すでにカースト取った宇流 菜子さんたちの様にプライベートでまで関わったりはできない。
そんなことを考えているうちに体育館裏。
その女子の姿はあった。
よかった、そんな子いませーんってドッキリではなかった様だ。