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下手な弾でもなんとかなるさ

だいぶ投稿が遅れてしまいました

すみませんでした

第五話、始まります

『神綺ーーーライバーの中でも特に交友関係が広く、彼を信頼している者は多い。VTuber黎明期から活動している最古参の一人で彼とコラボした新人はコラボ後、大物になるという謎のジンクスがある。その噂の影響か、最近は一人での配信や既に有名なライバーとしかコラボしておらず、新人発掘はされていないようである。本人はとても気さくな人だが、ところどころ常軌を逸した発言もありーーー』


「…俺みたいなのに声をかけなくても…」

「どうしたんだ?黒月」

「…松永か、びっくりさせるなよ」

「すまんすまん」

松永は両手を前で合わして謝罪を述べる

平謝りのポーズである

「それにしても」

「ん?」

「お前がクレハちゃん以外のVTuber…ライバー?を調べるなんて珍しいな」

「そうか?」

「そうだよ、あっ、もしかして昨日の配信でクレハちゃんが男を連れてきたのに怒ったりしたのか?」

…ごめん、それ俺なんだ

「さらにはお前と同じ『ソラ』って名前だったからな〜そりゃ嫉妬もするよな」

…だから、それは俺なんだよ、俺が俺に嫉妬するとかいう器用なことは俺には出来ない

そう思っているところに加藤もやってくる


「そういや、どうして昨日は月葉さんとおま「だぁぁぁぁらっしゃぁぁぁぁぁぁい!!」

即座に締め上げて口を塞ぐ

「ナニモセンサクスルナ」

「…(コクコク)」

「ならばよし」

「よくねぇだろ…」

松永が目線で周りを見ろと言ってくる

なんだよ、微妙な顔して…

あれ?そういえば、さっきからクラスが静まり返って…

錆びついた歯車のように首を動かして周りを見る

クラスの全員が俺たちを見ていた

「えーと…皆さん気にせずお話を続けてください…どうぞ」


ーーーーーーーーーーーーーーー


キーンコーンカーンコーン


億劫な学校の終わりを告げるチャイムの音…まさに福音

「…帰るか」

「おつかれ〜」「おつかれちゃ〜ん」

松永と加藤の二人が猛ダッシュで教室を出ていく

二人とも通販で買った品が届くそうだ

部活はどうした…?

とりあえず、水筒を取り出してお茶を一口飲む

「月葉さん、帰っちゃうの?」

「安達くんに呼ばれてなかった?」

「私、『そんなことよりも』大事な用事が…」

…くっ!

危なっ!お茶を吹き出すところだった

安達が誰だか知らないがそれ絶対告白だからな!

「紅葉、それ絶対告白だぞ」

「えっ、そうなの?!美乃里(みのり)?」

美乃里さん?!それは言ったらダメだろ

「そりゃそうさ、というか紅葉が未だにフリーな方が凄いんだけどね〜」

それは分かる…

まぁ、そしたら

『一応、校門のところで待つけど、先に帰っていいなら連絡くれ』

っと、ほい送信

あとは連絡を待つだけだな


ーーーーーーーーーーーーーーー


「おまたせ、待った?」

早くね?!えっ、ちょっと待て!俺が待ってほしい

校門に着いてから聴き始めた曲、まだ終わってないんだけど!

ラスサビのいいとこなんだけど!

「いや、俺も今来たとこ」

「それはもっと駅前とかの待ち合わせで使った方がいいわよ」

ご忠告、痛み入ります


ーーーーーーーーーーーーーーー


我が家に帰り、すぐに部屋へ向かう

即座にPCの電源を入れて、起動している間に着替えを部屋の収納から取り出す

起動したと同時に着信音が鳴る…

早くね?!着替えまだ終わってないんだけど!

この言い回し本日二回目

すぐさま通話に出てスピーカーにする

『もしもし』

「もしもし」

予想通り、彼女(紅葉)の声だ、というかそれ以外ありえない

「早くないか?俺、まだ着替えてないんだけど?」

『えっ?!』

「クレハはいつも制服で配信してるのか?」

『い、いつもはちゃんと着替えてるわよ!今日は…話したいことがあったから!』

あ〜、神綺さんのことか…確かに、誰に聞かれているか分からない外じゃ、話しにくいよな

『と、とりあえず着替え終わったらかけ直して!』

「いや、大丈夫だろ、スピーカーにしてるからヘッドホンは引っかからないし」

そう言うと、俺は身につけている物を外し始める

『衣擦れ音…本当に着替えてるの?!』

「ん?あぁ、汗臭いし」

『画面保存…ビデオ通話モード…』

ブツブツと何かを言い始める紅葉

「何言ってんだ?」

『どっちも…ない…』

「は、はあ…?」

『なんでもない!』

「…ならいいけど」

結局、着替え終わるまでに神綺さんの話は出なかったな

「これなら通話切ってもよかったな」

『よろしくない!これからもこうしましょう』

「え〜」

『え〜じゃありません!』

親が子供に言い聞かせる時のような言い方だな…


ーーーーーーーーーーーーーーー


「そう言えば、今日は配信はしないのか?」

『毎週木曜日はお休みよ』

「そう言えばそうだったな」

『それで、どうなったの?神綺さんの件』

話してみて分かったことだが、神綺さんがコラボの誘いのDMを送ってきたのはどうやら俺だけだそうだ

「大丈夫、とりあえず是非ともっていう返信と一緒に俺の通話アプリのコードを送ってあるから」

『ならいいけど』

今は通話アプリの画面共有機能を使って二人でするゲームを選んでいる、ついでに(天望 ソラ)の動作チェックも兼ねて画面の右下で少し体を動かしている

『動作は大丈夫ね、予想以上に…さすが最新モデル』

「そこはお前の目利きだから大丈夫だろうけど」

『ん?』

「ゲーム、どうする?」

『空のおすすめは?』

「個人的にはFPSを推したいな」

『FPSと言えば…《LoG(ログ)》か《PSY(サイ)》かしら?』

《LoG》と《PSY》はFPS二大巨頭と言っても過言ではない二大タイトルである

人の動きや銃の音など限りなく現実に近く作られたガチの戦場での生き残り(サバイバル)ゲームである《LoG》

逆にテレポートやシールドなどの超能力(サイキック)を活かして楽しく爽快感のあるド派手な銃撃戦を楽しめる《PSY》

両者にそれぞれの魅力がある

「俺が前にやっていたのはーーー」

話を遮るようにアプリが通知を送ってきた

内容は

アカウント名ーーー『神綺(かんざき)』の追加の承認

即座に承認をして今二人で話しているルームに招待する

すると、追加したその瞬間、会話中のメンバーのアイコンが増えた

そして

『はいはいはーい!呼ばれてなくても現れて、呼ばれたらそれはもうルンルンで来ちゃう男!神綺さんだZE!』

と、聞く人を引き込むイケボがヘッドホンから大音量で響いてきた

『ふむ、どうやら自己紹介を間違えたようだね』

俺と紅葉が無言なのを確認すると

彼も異変に気がついたのか、咳払いをして

『改めまして、(わたくし)はVライバーの神綺と申します、以後お見知りおきを…』

丁寧な口調で挨拶をしてきた

「あっ!はい!よろしくお願いします」

『よろしく…お願い…します』

『ムムム…大失敗の感じがしますね…』


ーーーーーーーーーーーーーーー


神綺さんは話してみると前情報の通り、気さくで人当たりのいい方だ

一人称が(わたくし)なのは、日常でも同じだそうだ

『して、なぜお二人はFPSを検索しておられるですか?』

「あ〜、神綺さんを待つ間に今度二人でするゲームを探していたんですよ」

『それでは今からは?』

『神綺さんが来たので、コラボ配信でするゲームを決めましょう』

『なるほど、分かりました』

神綺さんはムム〜と言ってから無言になる

おそらく彼も考えてくれているのだろう

「俺的には対戦系がいいっすね」

『私はゲーム初心者なので、分かりやすいと助かります』

二人でそう進言すると

『そうですか…なら私から…』

もし神綺さんが見えていたら挙手をしているだろう言い方で

『《PSY》でよろしいのではないでしょうか』

と言った


ーーーーーーーーーーーーーーー


《PSY》ーーー正式名称《PSYCHIC BULLETS》

初心者から玄人にまで愛される名タイトルFPS

さらに、三人でのチームプレーが前提のゲームである

「思ったより簡単な場所に転がってたな」

「なんだ?今度はゲームを調べて」

よく聞きなれた親友(あくゆう)の声で振り返る

なんか昨日も同じことがあったな…

「なんだよ松永、俺がゲームを調べてたら、悪いのか?」

「いや、そんなことはないけど…昨日は驚いたぞ!」

ガシッと両肩を掴まれて前後に勢いよく揺らされる

「お前が昨日調べてた『神綺』さんがクレハちゃんと天望 ソラとコラボするんだってよ!」

…知ってる、だって俺にDMが来たのだから

「だからさ、お前がそうやって普段調べてなさそうなモノを調べていると、なんだかそれがクレハちゃんと関連してる気がするんだよ」

…合ってます、これを明日配信します


…お楽しみに!


「なに一人でブツブツ言ってんだ?」

「俺でも分からん」


ーーーーーーーーーーーーーーー


要るか要らぬか分からん金曜日を挟んでついにやって来ました土曜日!

両親は朝っぱらから外出しており夜頃まで帰って来ないらしい

現在時刻、十時ジャスト

配信開始は正午ジャスト

それまでは…

「練習じゃい!」

PSYのアカウントはそれぞれ制作済み

それぞれ、『SORA』と『KUREHA』となっている

適当すぎだと思うが、どうやら名前は簡単に変えられるそうなので、とりあえず、この形で落ち着いた

今はゲーム内の訓練所(トレーニングルーム)で昔の感覚を取り戻そうとしている

ちなみに紅葉は…

『なにこれ?!全然、当たらないんだけど!』

動かない標的に一発も自動小銃(AR)の弾を当てられないでいる

…まぁ、距離が離れているのに腰ダメで当てようとするからだろう

「スコープを覗いてみろ」

『スコープ?何それ?』

「銃の構え方を変えるんだよ、動作説明(チュートリアル)で習っただろ」

『あ〜ここであれを使うのね』

スチャっと、小さな音とともに紅葉が操るキャラがスコープを覗く動作をする

『すごーい!的が大きくなった』

「打ってみろ」

『あはっ、当たる当たる!』

楽しそうにARをぶっぱなし続ける紅葉

…お前、そんなキャラだったか?

なんかこう、もうちょいお淑やかというか…クールだったというか…

『空も打ってみなさいよ!楽しいわよ!』

まあいっか、紅葉は紅葉だな

それに、今の方が楽しそうだし

『ふむ、お二人とも入りがお早い』

「おはようございます、神綺さん」

『おはようございます』

彼女がバンバン打っているのを見守っていると

そこに神綺さんが入って(INして)くる

「そういう神綺さんこそ早いじゃないですか」

『いえいえ、チラッと確認しましたらお二人が既にログインされてらっしゃるから、もしやと思いましてね』

今の会話はゲーム内のVCを使っていたから、彼も入らないと分からなかったというわけか

『ソラさんから見て、クレハさんはどうですか?戦えそうですか?』

少し離れた場所で『当たったー!』とはしゃいでいる彼女を一瞥してから神綺さんに向き直る

「正直、一朝一夕でどうにかなるモノじゃないですし、無理ですね」

次の瞬間、神綺さんは大きな高笑いをした

そして、数秒の後、呼吸を正してから口を開いた

『いや〜そんなズバッと言いますか…そういう、ソラさんはどうなのですか?FPS(こういった)ゲームのご経験は?』

こちらを見定めるような声音、笑っているのに笑っていないような、底知れない何かを感じる声…

「少々、別のをかじっていただけですよ…エイム力もありませんし」

『ほぉ〜それでは配信中に見せてもらいましょうか、かじっていた人の実力を…楽しみにしています』

…掴みどころがないというか…底知れない人だな


ーーーーーーーーーーーーーーー


『皆さん、おはこんばんにちは!今日の配信を始めまーす!』

ローディングと書かれた画面が切り替わり

クレハの一言で配信が始まる

『なんとなんと!今日はあの神綺さんと一緒にゲームをしたいと思います!』

『はい、こちら神綺です、よろしくお願いします』

『はい、よろしくお願いします!ついでに、前の私の配信でデビューした、ソラも一緒で〜す』

「どーも、ついでで〜す」

今回の配信は三人で話し合って

結局、三人ともの枠で配信することになったのだが

三人それぞれの挨拶をするのは面倒ということになり、神綺さんの提言の結果、クレハ中心に始めることとなった

『今回、私初めてのゲーム配信ですが、二人が懇切丁寧に教えてくれたので、全力でやりたいと思います!』

『あはは、教えたのはほとんどソラさんですよ』

「いやいや、クレハが勝手にキャッキャしてただけですよ」

そうやって、話をしているうちにマッチングが終了して

飛行船の視点に移る

PSYもFPSの例に漏れず、飛行船から飛び降りる仕様だ

『それでは、どこに降りましょうか?』

「俺たちじゃ、分からないので…神綺さん、お願いします」

『了解しました、それじゃあ、少し中央市街(セントラルシティ)から離れた場所にしましょうか初心者の方(クレハさん)もいることですし』

その瞬間、落下誘導担当(ジャンプマスター)の神綺さんに引っ張られるように飛行船の外に落とされる

『さあ、開戦ですよ!』

「『了解!』」

クレハにとっては初めての、俺にとっては約二年ぶりの戦場(FPS)に三人は飛び出した

神綺さんとのゲームコラボと言ったな…

あれは嘘…じゃないですが次回に繰り越しとなりました

配信前に書くことが多かった…

次回はおそらく丸々1話使ってFPSしてます

それと、分かりやすすぎだと思いますが

PSYの元ネタはAPEXです

【注】作者は生まれてから一度もFPSをしたことがありません、差異などがあるかもしれませんがご了承ください

最後にブックマーク登録と評価ありがとうございます!

変わらずのんびりペースでの投稿になると思いますが…大抵のことがない限り日常のスキマ時間を利用して執筆を続けていきます!

それでは、また次の配信でお会いしましょう

I want to see you again…

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