機材チェックよーし!
一人称が作者なのか筆者なのか安定しない作者です
作者自身は動画投稿をした事がありません
実際とは異なる表現がされているかもしれませんが許していただけると幸いです
第四話、始まります
来ちゃったよ、我が家に(倒置法)
おい母上、なんだそのキラキラした目は…こっち見んな
「ちょっと、俺の部屋に行くだけだから」
「あら大丈夫、邪魔はしないわよ」
大丈夫じゃないね!分かってないね☆
「お邪魔します、お母さん」
「あらやだ、お義母さんだなんて」
都合のいい変換をするのは大人の特権だね(諦観)
…うん、思ったより焦ってるね!俺
「どうぞ、汚い部屋だけど」
そう言って、俺の部屋のドアを開ける
「お邪魔します」
少しも躊躇うことなく俺の部屋に入った彼女は俺のゲーミングPCを即座に発見し、それを起動
さらに通話アプリやゲームなどを片っ端から開いていく
そして、イスに座り込んで何やら作業をし始めた
「マウスはゲーム用に多機能ね…それに、これ」
彼女は左手で俺のヘッドホン(マイク付き)を持ってこっちを見てくる
「これ、高かったでしょ?」
「まあまあな」
デザインに一目惚れしたからな
あとVCする時に必要だし…
俺、協力プレイする仲間いなかったわ
ギリギリ中学生の頃にやっていたFPSぐらいだなゲーム仲間いたの、ネット上だけど
アカツキさん元気かな…?
おっと、昔を懐かしんでる場合じゃなかった
「ふむふむふむ」
目の前で俺のパソコンいじっているやつを気にした方がいいな
「なるほど、意外と環境は悪くない…あと足りないのは…」
焦ることはなかったな
「うん!」
「それで、さっきから一体何をしていたんだ?」
「行くわよ!」
「は?!どこに?」
「いいから早く」
俺の服を掴み俺を引きずるように凄い勢いで部屋を飛び出した紅葉は理由も話さずに家の外まで俺と一緒に出た
体勢を立て直すまでに数箇所打った、イテテ…
「自転車準備して」
「なんで」
「お願い…」
「可愛い!!」
いけない、つい本音が出た
唐突にその美形から繰り出される上目遣いの殺傷力を学んでほしい
あと俺じゃなきゃ死ぬから他の男にはしないでほしい
紅葉は俺を置いてダッシュで彼女の家に向かった
俺も自転車を準備してから彼女の家の前に行く
その後、数分待つと
小さいそれこそ化粧ポーチを少し大きくしたくらいのカバンを持った彼女が出てきた
「行こっか」
そう言うと、彼女は『俺の自転車の後ろ』に乗った
「は?」
「二人乗り♪」
なるほど、自分のおみ足は使いたくないと…?
「しょうがないな、尻とか痛かったら言えよ」
荷物用の台は付いてるがそいつは上手に座らないと痛いからな
「…変態」
「おいちょっと待て、聞き捨てならない単語が聞こえたぞ」
「いいから行って!」
このワガママ姫は…
俺が変態だと?あぁそうだよ
「それで、どこに行くんだ」
それを聞かないとどこにも行けやしない
「家電量販店」
「どうして…」
「いいから!」
「へいへい」
ーーーーーーーーーーーーーーー
我が家から家電量販店までは片道十分もかからない
雑貨屋とか百均も近くにあるから地味に立地がいい
「それで、どうしてここに?」
「カメラを買うのよ、モーションキャプチャー付きのやつ」
そう言うと彼女は迷うことなくパソコン周りの設備が売っているコーナーに向かっていく
「ちょっと待て、それって俺のか?」
「えぇ、配信環境は思ったより整っていたし、あとはカメラを取り付ければ完璧よ」
「金はどうするんだ?俺は一切持ってきてないぞ」
「安心して、ここにあるから」
彼女がポーチから取り出したのは…
「俺の財布じゃねぇか?!お前、いつの間に?!」
「さっき、家に上がらせてもらったときに拝借したわ、大丈夫、半分私も払うから」
「ちょっと待てや!俺は一切許可してなぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
「あら、これって最新モデルじゃない、これにしよっと」
「人の話を聞け!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「災難だ」
「取り付け完了〜」
結果としては俺の貯金のほとんどが消えた
目の前では俺のゲーミングPCにカメラを取り付ける作業が終わってウッキウキの紅葉…それと
『完璧だな』
スマホから聞こえてくる加藤の声
「ありがとう、加藤くん、私一人じゃ分からないことも多くて」
『加藤PC取り付けサービスはアフターサービスもバッチリ』
…こいつ、突然美少女と話すという想定外のことに対応出来ずに変なカッコつけ方してやがる
『月葉さんもまた今度機会があったrーーー「はい、ありがとうな、加藤」
勝手に通話を切る、向こうは不満を言ってそうだが紅葉と話せたんだ、よかったと思え
「あんなに機械に詳しかったんだ…加藤くん」
「そうだな、おかげさまでテストの点は残念だけどな」
「空が言えるの?」
「言えない」
その後も着々と俺が家でも配信できる準備は整っていった
そして、最後の仕上げだ
ここをどうにかして突破しないと、俺が配信をするなんて夢のまた夢だ
「策はあるのか?」
「任せて」
「はぁ…わかった」
最大の難関…それは
「母さん、ちょっと」
「あら、二人揃って何かしら?」
我が母上その人である、我が家において最強の存在であり、彼女が首を縦に振らないと俺は配信は出来ない
さて、紅葉は一体どんな策を練ってきたのか…
「すみませんがお母さん、空がVTuberを始めるのを許可してくれませんか?」
「ちょっと待てえい!」
紅葉の首根っこを掴んで母に声が聞こえなさそうな場所まで移動する
「ストレートすぎるだろ!もっとオブラートに包めなかったのか?」
「誠意を見せれば、お母さんもきっと頷いてくれるわ」
この娘は俺の親にどんな理想を抱いているんだ…
「とりあえず、もっと遠回しに出来ればVTuber云々はなしで」
「分かったわ」
大丈夫かな…?
「お母さん」
「ハイハイ、なんでしょう?」
「空と一緒にゲームがしたいので彼に自由にパソコンを使わせてあげてください!」
「アウトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
もう一度、首根っこを掴んで母から離れる
なにこれデジャブ?
「どこがオブラートに包んだ?言ってみろ」
「全て!」
「なんでそんなに自信満々に言える」
あぁ、頭痛が痛い…
これ言うとすぐに指摘されるのに、筋肉痛が痛いはバレなかったりする(現実逃避)
「俺が言う」
「大丈夫なの?」
「お前よりは…」
そう言うと、母の元へ向かう
「母さん」
「さっきから二人揃って仲がいいのね」
いかん、ピリピリしておられる
「え〜と、さっきの紅葉の言葉なんだけど」
「ゲームがどうとか?」
「そうそれ、あんな高性能なゲーミングPC持ってて何もしないのは宝の持ち腐れだから、紅葉と一緒にゲームしようかなって思ったわけ」
「…それで?」
「どうしても互いの都合で深夜になったりするから、その時間に使うことを許可してほしい」
「…」
「ダメかな?」
「それを許すとあんた、ずっとゲームばっかりするでしょ?」
…大当たり
「勉強に支障が出るからゲームは「お母さん!安心してください」
母の話を遮って、紅葉が話し始める
「勉強については私が教えます」
「まぁ、紅葉ちゃんの成績なら…」
おっと?もう一押しじゃね?
「それに…」
「それに?」
「空と一緒に何かしていたいんです」
「認めます」
「嘘だろ?!」
なんでそのタイミングで即答なの?!
にっこりし過ぎだろ母上!
「何時間でもしていいわ、ただし成績が落ちたら紅葉ちゃんと一緒にゲームじゃなくて勉強会をしなさい」
甘っ?!えっ?!本当に母さん?心優しい宇宙人とかに体が乗っ取られたりしてない?
「ありがとうございます!!」
「あ…ありがとう」
「いいってことよ、頑張りなさい」
頑張るって…何を?
ーーーーーーーーーーーーーーー
通話アプリを開く
そして、『葉月 クレハ』と書かれた場所をタッチする
数回のコール音の後、ヘッドホンから聞き慣れた声が聞こえてきた
『もしもし、聞こえる?』
「あぁ、聞こえる」
『準備は?』
「とりあえず、言われていたことはしておいた」
と言っても青い鳥のやつでアカウントを作るのとこっちのパソコンで俺のチャンネルにログインしただけだが
今からは紅葉が編集した俺の自己紹介動画を投稿するのだけど…
最終確認のために自分で自分が話している動画を見るとなると中々酷いものだ
『まぁ、大丈夫ね、投稿しちゃおう』
「…マジで?」
『ここまで来て引き下がれないでしょ?』
俺はいつでも引き下がれるぜ、だからそんなに心配しないでくれたまえ
一番、混乱してるの俺だった…
あーだこーだ言っている間にあと一回クリックするだけで動画が投稿されるところまできてしまった
「クソっ!こうなったらヤケだ!やってやる」
ーーーカチッ
軽快なクリック音が響く
次の瞬間には『動画が正常に投稿されました』という文字を写す液晶があった
「ーーーはぁ…はぁ…」
いつの間にか息を止めていたらしい、脳が酸素を要求してくる
『こっちでも動画確認出来たよ、おめでとう』
「あぁ、ありがとう…?」
『なんで疑問形?』
「そもそも、俺が紅葉に巻き込まれただけじゃ『あーあーあー!聞こえない〜!!』
ーーープツッ
通話切りやがった…
パソコンが必死に熱を逃がそうと動かすファンの音以外何も聞こえない部屋
…長い一日だった、いままでの人生でこれほど濃い日はないと思えるくらいだった
昨日、幼なじみが俺の最推しVTuberだと分かった次の日に今度は俺自身が参加するとは思いもしなかった
静かな部屋を見渡す
時計は夜の八時を少し過ぎたくらいを示していた
「今日がまだあと四時間もあるのか」
そんなことを考えていると、なんだかウトウトしてきた
こんな時間に眠くなったのは中学生以来だ
相当、疲れてるな…これは
「もういっそ寝るか」
思い立ったが吉日
愛すべきベッドへ向かおうとしたその時だった
机の上のスマホが鈍い音と鮮やかな光で何らかの通知が来たことを知らせてくれた
手に取って内容を確認してみる
どうやら先程作った青い鳥のアカウントをフォローしてくれた人がいるようだ
そして、その人からDMも…
『はじめまして天望 ソラさん、私は貴方様と同じくVライバーをさせていただいております《神綺》と申します。先程、投稿されました、貴方様の自己紹介動画を見て確信致しました。次の週末よろしければ…クレハ様と三人でコラボ配信をしたい所存でございます、どうかいい返事お待ちしております』
…え〜と?
何度も読み返す、そして何度も読み間違っていないことを確認する
コラボ?これは、そういうことだよな…?
あっ、なるほど…クレハの人気を利用しようとして、騙しやすそうな俺に接触してきたとかそんなのだよな、そうだ、そうに違いない
即座に神綺さんのアカウントから彼(彼女?)のチャンネルを探す
そして、
『神綺/VTuber』ーーー『チャンネル登録者数103万』
100万人越え…だと…?
「えっ…つまり、これは…あれだよな…」
「ーーー超大物からコラボの誘い…なのか?」
…
「はあぁぁぁぁぁぁぉぁ?!」
実際にはありえないことランキング一位(作者の独断と偏見)
『超大物から声をかけられる新人』
を、空くんには経験してもらいました
ということで次回は神綺さんとのゲームコラボです、どんなゲームかは未定、おそらく作者のその場での思いつきで決まります
そして、作者の頭の中で後に出てくる予定の個性強めなキャラ達に埋もれそうになり始めた
ただのいい子、紅葉
せめて、空に拳を使えれば暴力系として生き残れたのに…
頑張って助けないと…
最後に毎度毎度のことながらブックマーク登録と評価ありがとうございます!
これらには作者への脅しと物語の加速、さらには個性豊かなキャラを増やす効果があるとかないとか
オーバードーズしないように頑張ります!
それでは、また次の配信でお会いしましょう
I want to see you again…