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マイクチェック

新年早々、何をしても腰が痛くなる呪いをかけられたと勝手に思い込んでいる筆者です

第二話、始まります

「お前が葉月 クレハなのか?」

もう一度同じ質問をする



やだっ、何この静寂、怖い!!

「ーーーかな?」

「ん?」

本当に瞬きの一瞬だと思う

次の瞬間に紅葉はよく京都とかで売ってそうな木刀を持っていた

あ〜それ俺も買ったわ〜持って帰った初日に姉さんに折られたやつだ〜

などと考えていると今度はハッキリとした声で…

「頭を打てば忘れてくれるかな?」

「ちょっとまて!考え直せ!せめて本当のことをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーー


「落ち着いたか?」

「うん…」

ちびちびとコーヒーを飲みケーキを頬張る彼女(可愛い)を横目に部屋を見渡す

…なかなかに悲惨だ、よく木刀一本でここまで破壊したな

あっ、俺が下手に逃げ回ったせいだ…テヘペロ(オエッ)

「さっきのこと…」

さっきのこと?

えっと…あれだ!トドメに紅葉が投げた木刀が見事に目覚まし時計に突き刺さったことかな?

「葉月 クレハのこと…」

デスヨネー

「え〜っと、月葉 紅葉=葉月 クレハ、という方程式は成り立っているのかな?」

やべぇ、焦りすぎてなんか理系みたいなこと言ってる

そうだ…俺理系だったわ…親と大喧嘩した挙句、親だけが使える伝家の宝刀『言い訳をするな!』で切り捨てられてヤケクソで理系選択したんだったわ

あれ、ずるいと思うのですが、子供が正論言っても親の中じゃ言い訳にしかならないのすごいと思う

うん、あれだね、理系になるとそれだけで賢くなった気がする

すごいぜ、ママンにパパン、俺を理系にしてくれてありがとう愛してる

「うん…」

おっと、話が逸れたな

「つまりは、俺がここ二年間推していた娘はまさかのご近所さんの美少女だと」

「美少女?!あう…」

なんだよ、顔真っ赤にして可愛いな

「そっか…紅葉がクレハちゃんか」

確かによく考えると分かるような

苗字の『葉月』は『月葉』を逆にする

名前に至っては『紅葉(クレハ)』と完全に一致だし

考えて思ったけど、少々、安直すぎない?

「嫌だった?」

「嫌?何が?」

「私が葉月 クレハだったこと」

いつもの紅葉では思いつかないような弱気な声、あと上目遣い…やめてください死んでしまいます


「なんて言うか…実感がない」

「そう…」


そして、沈黙


チラッとスマホの時計を見る

結局、一時間程お邪魔してしまった

「帰る」

「…分かった」


ーーーーーーーーーーーーーーー


次の日は恐ろしい程雲一つない快晴だった

「どうしたんだ?黒月、ボケーッとしてお前らしくない」

一体松永が俺のことを何だと思っているのか詳しく問いただしたいところだが

今はそんな気分じゃない

昨日のことが消化しきれていない

「とりあえず、クレハの動画見せとけば騒ぎ出すだろ」

「おい、お前らは俺を何だと思っている」

「VTuber厨」

「文系教科特化型理系」

「おい、二個目はなんだ?」

「そうだぞ、黒月は文系も出来ないからな」

加藤は後で処す

「それで」

松永は自分のスマホを弄りだす

「見るのか?クレハちゃん」

そう聞かれて、無意識に少し離れた席を見る

紅葉の席、今日は休みだ

「…今日はいい」

俺も自分のスマホを取り出す

その瞬間、

スマホが小さく振動して、何かのメッセージを受信したことを教えてくれる

送信元は

《紅葉》

心臓が跳ねた、突然すぎるだろ…


内容はたった一言


『今日、学校が終わったら家に来て』


…記憶消去の方法でも見つけたのでしょうかね?


『俺の記憶を消すんっすか?』

『そんなこと出来ない、とりあえず来て』

『了解』


否が応でも来いという意思を感じる


「お〜い、黒月〜?」

「ん?なにかあったか?」

「クレハちゃん、重大発表だってよ」

「はぁ?」


そう言って、松永は自分のスマホの画面を俺に見せてくる

画面には数時間後にLIVE配信が始まるという旨と


『【重大発表】報告したいことが出来たので時間は変わらないけど重大発表するよ〜【葉月 クレハ】』


というタイトル…

俺は敏感系男子だ、分かる、分かるぞ


これ…俺のことじゃね?


ーーーーーーーーーーーーーーー


「気が重い…」

我が家から紅葉の家に行く一分の間に五十歳くらい老けた気がする

震える手で彼女の家のインターホンを鳴らす

昨日と同じように俺の気を知らないこいつは軽快な音を奏でる

すると、ノータイムでインターホンから紅葉の声が聞こえてきた

「…って来て」

「あぁ?最近、儂、耳が遠くてのぉ〜」

「ふざけてないで開いてるから入ってきて」

「うぃっす」

すぐに彼女の家の玄関にむかう

そして、

「お邪魔します…」

静かに入る

「いらっしゃい、時間がないから早く来て」

紅葉の目元には隈がある

徹夜でもしたのか…?


俺は彼女の導くままに彼女の部屋に移動した

ちらりと時計を見ると、あと三十分で配信が始まる

そんなギリギリに俺を部屋に入れる意味が分からない

「ここに座って」

「あいよ」

彼女が俺を座らせたのは肘置き付きのデスクチェア(くるくる回るヤツ)

「目の前のカメラ…分かる」

「あぁ…」

「見続けて」

「お、おう…」

俺にそう指示すると紅葉は少し離れた場所に置いてあったゲーミングチェアを持ってきて、パソコンで何かを打ち込みはじめた

すると、あらかじめ準備されていたのか

一枚の男の絵…いや、これは

「おい、紅葉…こいつは」

「よし、動いてみて」

「お、おう」

言われるがままに体を左右に動かす

「おぉ〜」

すると、予想通り、画面の男も俺と同じように体を左右に動かしている

って、モーションキャプチャー機能付きカメラとか、めっちゃ高いんじゃねぇの?

「出来た〜!!」

隣で紅葉が大きく伸びをする

「それで、これは何なんだ?」

天望(てんぼう) ソラ」

「は?」

「天望 ソラ…あなたのもう一つの姿になるの」

「…ちょっと何言ってるか分からない」

「なんで分からないのよ!」



「とにかく、あなたは今から私の動画に出てもらうわ」

「だからなんで?!」

この女強情だな、知ってたけど

「なんで…なんでって…」

「そうだよ、理由を話せ」

「だって、だって!!」


「空と一緒にVTuberしたかったんだもん!」

…俺、息してる?(※してる)

えっ?!可愛い

推しはリアルでも可愛かった…

「この立ち絵も徹夜して描いてパーツを動かせるようにして…そのために学校休んだんだから!」

と、顔を朱に染める紅葉

これが花も恥じらう女子高生(JK)

するしかないじゃないですか!

「分かった、分かったから…」

「やった♪」

俺…死ぬわ


「そうだ、紅葉」

「ん?」

「設定は?」

「ん?」

「だから、設定!天望 ソラの設定!」

「名前以外考えてな〜い」

「おまっ?!」

「頑張って考えて」

俺…死ぬわ(再確信)


ーーーーーーーーーーーーーーー


「皆さん!!おはこんばんにちは!!今日の配信を始めまーす!!」

遂に配信が始まってしまった

ちょっと待て!まだ何にも考えてねぇよ!

「え〜と、今日の配信は名前の通り重大発表がありま〜す」

よし、話をどうにかして長引かせろ

『早く話して』『引退じゃないなら早く〜』『そんなことより今日のクレハちゃん小さくない?』

次々と流れるコメントの数々

特に最後のは気になるよな〜

クレハのサイズがいつもの半分だもん

なぜならそこに(ソラ)が入るから

「え〜どうしよっかなぁ〜」

チラッチラッと俺の方を見てくる

出していいかの合図が欲しいのだろう

〈厶・リ〉

と口パクで返す

彼女も俺の考えを理解したようで

「まぁ、もう少しだけ…ま…って」

長引かせようとしたのだろう

『これあげるから先に言って』という高額投げ銭(赤スパチャ)を見るまでは…

やりやがったなリスナー…悲しいかな俺でも見てる側だったらそうする

「スーーーーーーーーーーーーーーー」

紅葉の息を吸う音が響く

「空、出番よ」

「オーマイガー」

発音悪っ?!ってふざけてる場合じゃねぇ!

紅葉がマウスを操作し画面上に、『天望 ソラ』を配置する

その瞬間、

『誰?』『男か?!』『は?』『これやべぇんじゃねぇか?』

等々、コメ欄が凄い速さで流れていく

もう逃げられないじゃん

深く息を吸う

そして吐く

その動作をしている間に、紅葉が俺の前にマイクを置いてくれる…

余計なお世話だ


…はぁ、やるしかないか

「あ〜、葉月 クレハリスナーの皆さん、おはこんばんにちは〜、天望 ソラです」

そして、俺は見る側から作る側にならなくてはいけなくなった

紅葉は最初はツンデレにしようと思ったのですが…

おそらく、これはデレデレチョロインですね(確信)

空くんは真面目に不真面目してる普通の陰キャです、ネットと仲間内でしかイキることが出来ない奴です

それに対して紅葉は品行方正、成績優秀、眉目秀麗その他もろもろの褒める系四字熟語を網羅しているような模範生徒です、彼女の小中高オール皆勤賞という密かな野望は天望 ソラを生みだす為にお亡くなりになられました

最後にブックマーク登録と評価ありがとうございます!

これらは作者のモチベーション維持と続きを書かないといけないという、自分への脅しに使わせてもらいます!!

それでは、また次の配信でお会いしましょう

I want to see you again…

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