【別視点】詩音の内調訪問
活動報告でも書いた通り、10/22までお休みさせていただきます。
復帰した際はまたよろしくお願い致します。
結局怜輔と相談し、私は内閣府へと向かうことにした。
怜輔はDiscordで常に通話状態にして置き、聞いてもらいつつ録音しておいてもらう。
送迎は断り、国会議事堂まで電車に揺られ、歩いて建物の中に入る。
既に顔写真が伝わっていたのか、嫌にスムーズに中に通された。
余りの準備の良さに気味が悪くなってしまう。
怜輔にはかなり謝られた。
まあ気持ちは分からなくもない。
自分の存在が発端で、私に一方的に目を付けられる立場になっているから申し訳ないと思うのは当たり前だ。
見捨てられるんじゃないだろうか？などとも思ったかもしれない。
ただ、私は怜輔を見捨てるつもりは全く無い。
こうなってしまって先がどうなるか全く見えないが、仮にも許嫁だ。
そんなに浅い縁ではない。
それに嫌らしい話になるが、怜輔はかなりの優良物件なのだ。
家柄も良く、良い大学に入り、コネもあるので将来の不安は無い。
人柄は育ちの良さに見合い、あまり怒ることもしない。
地頭が非常に良いので、会話で違和感を覚えることもない。
私という許嫁がいなければ、間違いなくモテていただろう。
いや、実際私なんか関係ないという意気込みでアタックをかけてくる人もいた。
もちろん撃沈していたが。
こんな良い物件の獲得競争が、幼馴染で互いに良く知った仲のまま、許嫁という立場からスタートラインに立てるのだ。
そんな美味い話があるだろうか？
他の優良物件を探すより、怜輔を元に戻す方法を考えた方がよほど現実味があるというものだ。
仮に他の優良物件を見つけたとしても、結婚を考えられるほど性格面の相性が良いとは限らない。
今は怜輔じゃないとダメとは思わないが、怜輔ほどに並べる人がいるとは考えにくい。
そういう意味では、怜輔を元に戻すことは他の女性の婚活と同じくらい私にとって重要なことなのだ。
そんなことを考えながら案内に付いていくと、会議室のような部屋に通される。
既に何人かが中におり、歓迎するような表情を見せ、立ち上がった。
「はじめまして、桜井さん。本日はわざわざご足労いただき、ありがとうございます。私、山地悠平と申しまして、ここの長をさせていただいている者です。」
その中で中央に座っていた男が挨拶をしてくる。
人の良い笑みを浮かべているが、それはかなり熟練された作り笑いによるものだということを私は経験で知っている。
つまりそれは、全く気の抜けない会話がこれから始まることを示唆していた。
「いやあ、本来ならばこちらから赴くべきところを来ていただいて申し訳ない。少々込み入った話をするに当たって、盗聴対策などがしっかりした場所が用意できないといけなかったもので。」
この話で、事態がさらに面倒なことになっていることを私は理解した。
おそらく侵入してきた連中は、スパイだったのだろう。
出なければ盗聴対策なんて言われないし、そもそも内調なんて大掛かりな組織が出張ってくるはずはないのだ。
何も無ければせいぜい公安が来て、事情聴取だけしてすんなり終わるというはずだ。
まあ侵入してくる時点で真っ当な連中ではないので、スパイだってなんだっていい。
問題は内調にどこまで見通されているのかと言うところだが……
「さっそくですが本題に入らせていただきます。もちろんここで話していただいた情報は我々が守秘義務を負いますし、万が一流出した場合は補償させていただきます。書面にしておりますのでご覧ください。」
慣れた素振りで書面を差し出してくる。
なるほど、情報を扱う機関だけあって情報の価値を理解した行動を取ってくる。
不備がないことを確認した私は先を促した。
「それでは、まず聞きたいことを一つ。貴社、フェイク＝リベリオン・ファミリーでどのような新しいAIを作ることに成功しましたか？」
なるほど、これは厳しい戦いになりそうだ。
おはにゃ～（逸話ありすぎてどれ語ればいいか分からない。チー牛の預言者）
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