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【別視点】とある男の叱責

兎鞠まりさん、10万人おめでとうございます!

 「何をもたついているのだお前らは!!」




 とある企業の一室で一人の男が叱責する。


 叱責の矛先は、その一室でPCと向かい合う従業員たちだった。




 「しかし、本体に全くたどり着ける気配が見当たりません。どのPCをハッキングしてもNo.100もどきの存在しか見当たらず…」




 弱った声で従業員の一人が反応する。


 手を尽くしたが先が見えないという困惑がありありと伝わってくる。




 「クソ…!」




 叱責した男が苛立ちを抑えきれず、壁を叩く。


 


 「我が国の企業が先に押さえないと危険な代物なんだぞ!敵国に渡ればどうなるか…!これは一刻を争う出来事なんだぞ!」




 男が焦った声で怒鳴る。


 従業員たちも事の重大さを理解しているがために、反論しようとするもすぐに口をつぐんでしまう。




 この者たちが何をそんなに焦っているのかと言うと、Roplar社という日本の医療系の企業が開発したAdvanced Intelligenceという存在に原因がある。


 “Advanced Intelligence”、「高等知能」と日本語では呼ばれているが、これは「人工知能」の“Artificial Intelligence”を進化させた存在と言う意味合いだろう。


 この「AI2世」とでも呼ぶべき存在の中でもNo.100、つまり現在レイフ・フェイク=リベリオンとしてVTuber活動している存在が問題なのだ。




 Roplar社という企業はこれまで有名でもなんでもなかった。


 MRIなどを細々と提供するしがない医療機器メーカーというのが業界からの印象だった。


 しかし、奇妙な噂が最近になって立ち始める。


 曰く、このMRIを使用された患者の何人かが、廃人になったかのような状態になってしまうとのことだった。


 実際に検査後におかしくなったと言われる患者が幾人か例に挙げられたが、原因も不明であり、MRIは磁気によるもので人体には影響があるわけがなく、噂は業界内だけで現在も留まっている。




 しかし、この噂をたまたま耳にしたA国の企業の役員が、その話をやけに気にしだした。


 その役員の憶測から、そこにつながっていたスパイの調査が入り、A国の首脳部とその周辺は一気に慌ただしくなる。


 その憶測とは………




 「人間の思考のコピーを試みているのではないだろうか?」




 というものだった。




 既に魂というものは概念上の存在であり、感情、学界では情動と言われるが、その仕組みは大脳の奥にある扁桃体と呼ばれるところから発生しているとされているのが通説となっている。


 しかし、脳の奥に存在することから電気刺激にも細心の注意を払わねばならず、マウスでの実験が主であり、中々解明は進んでいない。




 ただ、人間的な判断の大元となる感情を司る場所を特定できたことで各国の思惑は一致した。


 「この場所の仕組みを解明できれば、人工知能をさらに発展できるのではないか?」というものだ。




 非人道的な行為を行う国は間違いなく人体実験に踏み切る。


 かつて冷戦時に西側諸国と呼ばれた国の見解はそう一致していた。


 そして自分たちがどういう方向にかじを切るかという選択が、それらの国に迫ってきたのだ。


 自分たちも隠れて人体実験を行うか、人体実験を行っていそうな国にスパイを送り込みまくるか、属国化している発展途上国で人体実験を行うか、だ。




 A国は後の2つの選択肢を採用することにした。


 親しい国に派遣する医療グループの中にそれらの機材や人材を潜り込ませ、スパイを色々な国に潜り込ませた。


 日本は旧西側諸国の東洋における重大な拠点であり、それらスパイのハブとして機能していたのだ。




 これらの事情からA国は各国の医療事情にとても気を配っていた。


 磁気によるMRIから廃人が出るという噂は特にピンポイントな話題であり、スパイ伝手にその事情を聞いていた役員は噂をスパイに送り、電気刺激を使っていないかとすぐに調べられた。


 調査の結果は、電気刺激で計測した痕跡は認められないとのものだったが、それでも怪しいと踏んだスパイは、首脳部にそのMRIのメーカーであるRoplar社へのハッキングを要請した。




 その結果、世界は思いもよらない方向へと動き出す。

こんかぷ~(箱内では珍しく純粋に可愛い)


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― 新着の感想 ―
[良い点] そういえば元々AIになったのってとある企業のせいでしたね。 レイフファミリーのほのぼのな面だけではなく別の場所で大きなことが着々と進んでいく感じがいいですね。 [一言] ワイン...16万…
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