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ペドロとマリアンヌ様2

ペドロ編、これで完結です。

次回から本編が再開となります。

5/5修正

マリアンヌ様との旅は2年に渡り続いた。


ムナプーンの村では石化病なる流行病を村ごと浄化。

メルビア湿地では農作物が育たない水田と疫病を癒し。

時には戦場におもむき重体の負傷兵の命を何人も救った。

他にも様々な魔境におもむき浄化した魔境は60カ所を越える。


次なる魔境はガヌドゥーン火山と呼ばれる活火山で旅の終着点となる。


理由はマリアンヌ様には許婚がおり、成人になるまでの最後の1年間は家事の勉強をするので時間がないのだと困ったような表情で仰っていた。


「ペドロ、ロペエルの村に行きましょう。」

「はっ。」


俺は馬車を走らせた。


「マリアンヌ様。」

「どうしましたか?」

「どうして魔境を浄化しに行かれるのですか?」


俺はマリアンヌ様に率直な意見をぶつけた。

王族であればこのような危険を冒す必要もなく、ましてや王女であり、許嫁がいればなおさらだ。

何か重大な理由があるに違いない。


「表向きは浄化する事により開墾出来る土地を増やし民を豊かにする事ですね。」

「では、真の目的が他にも?」

「ええ。」

「二つ御座います。」

「ほう。」

「私が戦慄の聖女と呼ばれていた事は知っていますか?」

「勿論で御座います。」


騎士団に所属しているメンバーに知らない者はいない。

戦地に行った古株の騎士以外はほとんど嘘だと思っている。


「あれは事実です。私は暴虐の限りを尽くしてロヴァンヌ公国を消滅させました。そして自国の家臣にも手を出し苦しめました。」


マリアンヌ様は嘘を言わない。

確かに浄化の魔力を破壊に向ければとてつもない兵器になる事は想像に難くない。


それが今なら事実だと分かる。

ではマリアンヌ様はなぜ……


「私は悪霊に産まれた時から取り憑かれていました。だからと言って罪は消えません。その時の記憶も感覚すらも鮮明に覚えています。」

「それは……」

「いえ、私の責任です。私には打ち勝つ力が無かった。それだけです。そして贖罪の為、民に尽くそうと陛下に誓いをたてたのです。」


マリアンヌ様の凄絶な生い立ちに言葉が出なかった。


「……あと一つは。」


マリアンヌ様の空気が明るくなる。


「憧れの人に近づく為ですね。」


マリアンヌ様ほどの方が憧れる……


「気になりますね。」


マリアンヌ様は恥ずかしそうに語ってくれた。


「強くて…努力家で……悲しい時に傍にいてくれる。そして優しさを前に出さずに秘めた方です。まぁ……少しだけ性格に難がありますが……」

「そうですか……」

「内緒ですからね!」


俺はマリアンヌ様の憧れの人物が誰なのかをずっと思い浮かべていた……





3日後



ガヌドゥーン火山


「火山を鎮めるのには時間が掛かります!ペドロ、魔物払いをお願いします!」

「お任せ下さい!」


押し寄せる炎の魔物をひたすら斬っていく。


「ぐっ!数が多すぎる!」


俺は苦戦しながらもマリアンヌ様に近づかせない。


「荒ぶる炎の精霊たちよ……」


マリアンヌ様の詠唱が始まった。

数が減らない魔物にイラつきながらもマリアンヌ様の詠唱が完了し術が発動する。


「……大地を浄化し賜え!」


いつものように浄化が始まったが……


「危ない!」


一匹残った炎の犬が放つ火球がマリアンヌ様に向かう!

俺は身を乗り出して代わりに火球をくらい意識を手放した。



「ここは……」

「レムリア城の医務室だよ。あんたマリアンヌ様に感謝するんだよ。3日間、必死に看病してくれたんだから。愛されてるねぇ。コノコノォ。」

「3日間も寝てたのか……マリアンヌ様は?」

「花嫁修行さ。相手の15歳の誕生日に正式に婚約するんだって。ボンクラで有名な隣の国の王子だよ。マリアンヌ様も可愛そうにさ。」

「無理やりなのか?」

「そうじゃないのかい?5歳の時に親同士が決めた婚約って聞くよ?」

「その王子は強くて、努力家で、悲しい時に傍にいてくれる、そして優しさを前に出さずに秘めた人じゃないのか?」

「ハッハッハ、そんな訳無いじゃないか。どれも当てはまらないボンボンだよ。ペドロの方が当てはまるんじゃないのかい?」

「…………」


確かに家事の勉強をすると言った時、いつもとは違う表情をされていた……


俺はマリアンヌ様に近づく害虫とも言える王子を力付くで排除してやろうと考えた……

いつも有難う御座います。

本日はここまでとなります。

ご愛読して下さる皆様、誠に有難う御座います。

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