わい、ペットと再会
ネルビク放浪記もボチボチ終幕に向かいます。
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「うぁあ!と、溶ける!」
久しぶりの光を浴びた俺の体は当然溶けなかった。
一度言ってみたかったシリーズだ。
「キュルゥァア?」
ボケに対してつぶらな瞳で覗かれると罪悪感を感じるのは何故だろう?
「オヌシ!ケンジンノハカヨリカエッテキタノカ?」
「誰だっけ?」
「ワタシハチエアルダイチ……」
「ガルゴラでしょ。知ってる。」
完全記憶能力があるから忘れてないよ。
「ヌゥ。カラカウデナイ ヒトノコヨ。ケンジンノハカニアッタヒホウハゲンザイデハシヨウデキヌ。ソノママフウインスルノモヨカロウ。」
否定の連続は肯定だからね?(2回目)
「んじゃ、人里に帰るか。」
「マテッ!ソノリュウハ!ムノオル……」
うるさそうだったので俺はダッシュでその場から立ち去った。
「キュルゥァア?」
「腹減ったか?」
「キュッキュッ!」
俺は豚の魔物の肉を幼竜に投げた。
「バキュ、バキュ、ゴックン。キュッキュッ!」
「まだ食うのか。」
俺は追加で熊の魔物3体を取り出した。
「バキュ、バキュ、キューゥ。」
どうやら満足したようだ。
「そうだ、名前をつけよう。」
「キュッキュッ!」
「ルシェルだ。お前は今日からルシェルだ。」
俺が飼っていた猫につけていた名前だ。
そう宣言した瞬間ルシェルが黄金色に輝き、体が10倍程に大きくなった。
『折夫君。また同じ名前をつけてくれて僕は嬉しいよ。』
「ふぁ?」
「僕は何万年も前にマキュリファウンスへ転生していてずっと封印されていたんだ。」
「ルシェル?本当にルシェルなのか?」
「そうだよ。毎日布団で一緒に寝ていたじゃないか。君が雨の中、段ボールから拾ってくれた事を今でも覚えているよ。」
「ああ、本当にルシェルなんだな……」
ルシェルが死んだ時は生涯で一番悲しかった。
ルシェルにもう一度会えた事が嬉しくて涙が止まらなかった。
「落ち着いたかい?折夫君。」
「ああ。これからはずっと一緒だ。」
「そうだね。僕も嬉しいよ。」
再会を喜びつつ、色々ツッコむ事にした。
「何で急に大きくなったんだ?」
「折夫君が僕に名前をつけてくれたからだよ。ネームドモンスターと言って魔物に名前を付けると主従関係になり、主の魔力によって成長するんだ。お陰で僕は神竜まで成長できたんだ。君の魔力は神々をゆうに越えているよ。」
ぉおう……なんだか物騒な名前の竜種まで成長したな……
「お前、馬とかに変身できないのか?そのままじゃ目立ち過ぎるぜ。」
「できるよ。さっききみたいに幼竜にもなれる。」
ふむ、日常に支障はないな。
「よし、そのまま俺を乗せてどこか行こう!」
「うん!」
ってどこ行こう……
俺達はあてもなく2年もの間、旅を続けた。
そして、とある街の酒場にいた時の事……
「おいおい。聞いたかよ!魔族が出たかもしれねえって話しよ。」
「ああ?いるわけねえだろ。魔王が復活した話しも聞かねえしガセだろ。」
「いやいや。クララドのブッカードダンジョンから冒険者が帰って来ねえってんでよお。ギルドもSランク冒険者を数組送ったんだけども、それでも誰も帰ってこねからってんで、やっと国も動いたらしいんだわ。」
「ほうほう。大層なこっちゃな。」
「そこで今話題のSSランク冒険者の片翼の天使が調査に行ってるらしいんだが、3ヶ月戻ってねえらしい。」
俺はガバッと立ち上がった。
「オッサン!その話し詳しく聞かせてくれ!」
俺は急いでブッカードダンジョンに向かった。
いつも有難う御座います。




