わい、ドヤる。
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情報収集と言えば酒場だな。
俺は酒場へと向かった。
町は過疎化していたが夜の酒場は地元の住民で賑わっていた。
「よう、兄ちゃん!見ない顔だが旅人かい?」
「ええ。世界樹が見たくて旅をして来たんですよ。」
「兄ちゃんこの国の人間じゃねぇな。」
「ええ。」
出身国など余計な情報はこちらから言わない。
これは短いながらも片翼の天使で学んだ事だ。
「ネルビク王国は建国から軍をデュルカラーン・ドゥドゥベに兵を送り続けたが、誰も帰って来なかったんだ。悪い事は言わねえからあの森には近寄るな。」
そこは先程確認済みだ。
「俺が欲しいのはそこから先の情報なんですけどね。」
話し掛けてきたオッサンに金貨を握らす。
(金貨一枚=100万ガルム 1ガルム1円)
「お、おう、ここじゃなんだぁ。俺の家で飲み直すか。」
のってきたか……
オッサンの家は酒場から10分程の場所にあった。
俺はオッサンの家に入る。
「ちょっとそこで待っててくれ。」
俺はその家の居室に通された。
5分程まったであろうか?
完全武装したオッサンが達がゾロゾロと入ってくる。
「お兄さん、荷物置いて消えてくれや。」
「おいおい、ここで消しちまおうぜ。」
「どこかの貴族かもしれねえぞ。身代金を頂こうぜ。」
「馬鹿野郎、足がついちまうだろ。」
俺はオッサン4人に囲まれた。
ぉお、テンプレだ!
興奮するなぁ、ここはいっちょカマしてやるか!
「束縛……」
俺は魔法でオッサン4人を拘束した。
「ぐぅあ!なんだコリャ!か、体が動かねえ!」
「ちくしょう!何しやがった!」
オッサン達が喚く。
「俺を殺そうとしたんだ、それなりの覚悟は出来てんだろ?まずは質問に答えろ。」
「「「「……」」」」
誰も答えそうにないので、脅しに風魔法でリーダーっぽいオッサンの腕を切断する。
「うがっ!う、腕が!俺の腕が!」
痛みを十分に感じた事を確認し、【完全回復】では無く、あえて【再生】で腕を生やしてやる。
オッサン達は粗相したり、泡を吹いて倒れたりして騒がしかったが冷たい表情で聞き直す。
「俺は気が長い方じゃないぜ?」
「わ、分かった!何でも話す!」
き、決まった!一度言ってみたかったシリーズ!
俺は心の中でドヤる。
でも拷問ってあんまり好きじゃないんだよねぇ……
まぁ俺を殺そうとしたんだから良いよね?
「エルフとの間に何があったか聞こうか?」
「そこまで知ってやがるのか……」
うん、知らない。
俺は適当にカマをかけるとオッサンはこの町で起こった過去を話し始めた。
「英雄バンデュミオン。ネルビク王国を創設した勇者オルガード・ネルビクの仲間の一人さ。当時オルガード達は今で言うクララルド辺りに拠点を構えていた魔王を倒して国を起こした。」
おお、ネルビク王国ってば魔王を討伐した勇者が初代国王なのか。
「当時は共通の敵もいたからエルフ達との交流もあってな。勇者一行にエルフが混じっていたのさ。苦楽を共にする事によってバンデュミオンとそのエルフは恋仲に落ちたって訳だ。」
ふむ、ここまでは理解できる。
「だが、そのエルフは世界樹の巫女だった。掟には逆らえずエルフは森に帰り、バンデュミオンは諦められずに世界樹まで追ったんだがそれが悪かった。」
英雄に恋バナは必須なのか?
「森には精霊神の加護がないと入れねえ結界が張ってあったのさ、それをバンデュミオンは【絶対切断】てギフトでバッサリ。魔王の次は我々かとエルフ側は激怒した。それでもバンデュミオンはエルフを連れ出し駆け落ちした。怒り狂ったエルフは森から一番近いこの町を襲った。バンデュミオンを出せ、出さねばこの町を滅ぼすってな。」
壮大な話しになってきたなぁ。
「結局バンデュミオンは出ていって公開処刑。エルフはどうなったか分かっていねえ。それを聞いて怒り狂ったのがオルガードさ。エルフに復讐を果たす為、軍を送り続けたが結局は今に至るってとこだ。」
「何故こんな英雄達を巻き込んだ戦いが伝わって無いんだ?おかしいだろ。」
「箝口令が敷かれたのさ。この町は被害にあったから口伝だけで伝わっているが口外したものは例外なく処刑されている。」
そんな事があったのか……
「忘却!」
俺はオッサン達の今日の記憶を魔法で消し去った。
「オッサン達が目を覚ました時には俺の記憶は無い。」
き、決まった……一度言ってみたかったシリーズ……
俺は本日2度目のドヤ顔をした。
いつも有難う御座います。




