わい、呑まれる。
更新します。
デュルカラーンに大穴が開くと、一帯は巨大な地震が来たかのように震え出した。
俺は蒼白なリーザへ冷静に状況を聞く。
「おいリーザ、これは一体どうしったってんだ?」
「もう……全てお終いです…あぁヴァルディバラム様……」
だが、虚な表情をしたリーザからは何も返って来なかった。
すると急にチビのぢゃに眩い光は降り注ぐと、チビのぢゃはムクリと起き上がってからリーザへ近づき平手打ちをした。
「目を覚ませリーザ。お主がそんな事でどうするか!」
「お、お姉様……?」
「如何にも妾じゃ。不本意ながら波調の合う体がこれしか無かったが故に憑依したのじゃ。早うヴェヌを捕まえ降神の儀を行い、ヴァルディバラム様を起こすのじゃ!マキュレスト、さっさといかんか!リーザ、お主はミルーザと供に子供達を地上の安全な場所に運んでから儀式の準備せえ!」
「も、申し訳御座いませんお姉様!」
「ふん!言葉など要らぬ!行動で示せ!デュルカラーンが消滅するぞえ!」
俺はマーザ(?)の言う通り、ヴェヌを捕獲した…ってより落下したまま動かなくなっていたので、誘導役としてその横に立って待っていた。
すると数分もしないうちに、リーザとティファ、チビのぢゃに憑依したマーザ?が現れた。
本当にこいつがマーザであれば即消してやりたいところではあるが、のぢゃロリの体に憑依しているのでそれは行動に移せない。
しかも今、私怨でマーザとイザコザを起こしている場合ではない事は一目瞭然だ。
そう、事態は一刻を争う状況なのだ。
「よし、時間がないでさっさと儀式を行うぞえ。マキュレストよ離れておれ。ミルーザは龍脈から混沌の力を吸い上げヴェヌに力を注ぎ込め。リーザ、お主は分かっておるな。」
「はい!お姉様!」
状況が整理出来ていない俺を置いていき、アレよアレよと言う間にマーザ?が魔法陣を組み立てると、リーザが詠唱を始める。
何時間が経過したであろうか?魔法陣にとんでもない混沌の力が集まってきたところでデュルカラーンが急に爆発を起こし砕け散った。
「うぉ!すげぇ衝撃だな!」
「ふむ、リミットが来たようじゃのう。リーザ、準備はどうじゃ?」
「後少し、後少しです……」
「ミルーザ、もう少し大きく力を送り込むのじゃ。」
「はぁ……はぁ…はい……」
ティファは少し辛そうだが、術式は完成に近づいているようだ。
そんな様子を見守っていると、デュルカラーンがあった場所から急速に不穏な力が収束している事に気づく。
「お、おい。アレは何だ?」
「ふん、お前がやっておいて良く言うわい。アレが宇宙を支配する一族ジェフォリュじゃ。我らが父、ヴァルディバラムの兄弟よ。ここまでは知っておろう?」
「お、おう。」
俺は素直に返事をした。
「ヴァルディバラム様は兄弟の中でもズバ抜けた力を有しており、兄弟で一番か弱い弟のンドゥム様の為に楽園を創造した。それこそがマキュリファウンスじゃ。他の兄弟達もこれは良いと星を創り始めるが、生命体のいるような楽園を創造出来る者は誰もいなかった。これは言うなれば才能の違いじゃな。その事に対して嫉妬した兄弟達は、マキュリファウンスをよこせとヴァルディバラム様に迫った。しかしマキュリファウンスには自分の子供達とも言える生命体や、ンドゥム様が静養できる唯一の場所という事もあり、星を譲るのではなく、一族で大陸を分けて共存しようと申し込んだ。っが、兄弟達はそれを拒んだ。皮肉にもその時できたのが今の大陸じゃな。大陸の名にジェフォリュの兄弟達の名がついておるのはその名残じゃ。」
「ほぇ〜」
俺は素直に歴史をしって感動した。
ミラルドとかアイリーンってのはヴァルディバラムの兄弟の名前だったのか。
「交渉は決裂。マキュリファウンス全土を巻き込む壮大な戦争になったのじゃが、先程も言ったように、ヴァルディバラム様はズバ抜けた強さを持っていたので1万年の時を経て兄弟を封印する事に成功した。その兄弟達を封印した魔導具は兄弟達の力を吸収し続け、マキュリファウンス全土に潤沢なマナを持たらせたと言われておる。」
「ま、まさか……」
「そう、それがデュルカラーンじゃ。いつの間にかデュルカラーンは力の循環器のような扱いを受けておるが、デュルカラーンの本来の仕事は、ジェフォリュの封印。マナの循環をさせているは中に住んでおる妖精じゃ。っと、話しはここまでじゃ、行けるかリーザ?」
「はい!」
「はぁ…はぁ…危ないところでした。」
ティファは貧血のような状態になっており、今にも倒れそうだ。
「ご苦労さん。」
俺がそう言うと、ティファはニッコリと微笑んだ。
そして降神の儀の準備が整い、再びマーザ?は舞を始め、リーザが詠唱を再開すると、術式がついに完成し、リーザは叫んだ。
「全てはここにそろった!長き時を超え!甦れ我らが父!ヴァルディバラムよ!」
「マキュレスト!真三神器を掲げるのだ!」
「お、おう!こうか!?」
俺が太陽の剣、月の鏡、時の勾玉を具現化して掲げると、武具を着たヴェヌに赤白い稲妻が落ちた。
「今こそ目覚めよ!全ての父!ヴァルディバラム!」
そうマーザ?が叫ぶと、ヴェヌの体は武具ごと消え去ってしまった。
「お、おい。失敗か?」
「どこを見ておる。真の神のおわす場所は天であるぞ。」
マーザ?が向いた方向には美しくも野性的な青年が浮いていた。
「ただいまマーザ、リーザ。」
「ヴァルディバラム様!ヴァルディバラム様!リーザは会いとう御座いました……ヴァルディバラム様……あの時とお変わりなく……ううう…」
「ふふふ、もう泣くことはない。我々は常に一緒だ。」
「これこれリーザ、ヴァルディバラム様も困っておろう。」
コイツがヴァルディバラム……ってか俺に似ているようなぁ……
ってそれどころじゃねぇ!
「おい!ヴェヌは!ヴェヌはどうしたんだ!」
マーザ?は苦虫を噛み潰したような表情で俺に言う。
「ヴェヌは……ヴァルディバラム様の依代となり消滅した……」
「おい!そんなのあるかよ!ヴェヌは…ヴェヌがマキュリファウンスを乗っ取るような事を言ってたけど、アレは嘘何だろ……」
「それは私から話そうマキュレスト。ヴェヌは私を復活させる為に自ら依代として死を選んだんだ。」
「何でだよ…」
俺は涙が止まらなかった。
「お前に未来を託す為だ。」
「え……」
俺は思考が停止した。
「お前を見た時、お前にならマキュリファウンスの未来を託せる。そう思ったらしい。お前なら私を復活させ、兄弟を退けられる。そう考えたのだろう。」
「そんなの……自分が死んだら……死んだら意味ねぇじゃねぇか……」
「その事だが実は………!!まずい!兄弟の力が異常に膨れ上がっているじゃないか!!マーザ、時間がない!ンドゥムはどうした!?」
「はい!今そこに!」
「はっぁ…?ぁああああああああ……」
「グヴァアアアア!!」
ハッと思った時、俺達は100年前にディーアを喰った巨大な水竜に丸呑みされていた。
2章はここまでになります。
後書きを1話書いた後に2章までの内容を修正したいと思います。




