わい、やっと気づく。
2話目です。
「う、う……うぅぁあああああああああああああ!!」
心の支えであったティファを失った俺は悲しみのあまり発狂した。
そして次に襲って来たのは恐怖であった。
「何故だ!何故こんな事になった!?魔剣黒か!?ウヴァヌスの呪い!?白の神衣か!?」
俺は持っていた黒と白を捨てた。
「よ、よし、これで……これで……ぐ、ぐるぅううううう……うぁああああああああああ!」
そのあと襲ってきたのは怒りだった……
まるで怒り以外の感情が全て無くなったような感覚だ。
「うがぁ!うがああ!うが!うががぁああああ!」
体内の混沌、魔力、聖気、功、精霊力、竜気も吐き出せるだけ吐き出し、施設内を攻撃をした事で手足はグシャグシャ、各力も底を尽きようとしていた。
このままコレを続けたら確実に死ぬなぁ……
まぁ、こんな事になっちまって生きていても仕方ねぇだろ……
親父や兄貴達もいねぇ、最愛の婚約者もいねぇ……
俺が死んでもマキュリファウンスが滅びる訳でもねぇ……
ただ気に食わねぇ奴がのさばるだけだろ……
チビのぢゃもいるし、ディーアだって生きている可能性だってある……
俺が死んだくらいで……
『そうだ、テメェが死んだくれぇで何も変わらねぇ。テメェは害悪だ。そのまま野垂れ死ぬのがマキュリファウンスの幸福だ。』
へへ、とうとう自分にすら愛想を尽かされちまったか……
『そうだ、ヴァルディバラムの復活など誰も望んじゃいねぇのさ。このマキュリファウンス……いや、この宇宙セリュニガランに君臨されるのは、大いなるジェフォリュ様達だ。決してヒトを優遇した愚かなヴァルディバラムではない!』
この時、ちょっとした違和感が確信に変わった。
すると俺の体の暴走がピタリと止まり、ここで心身ともに自由が効くようになった。
「おいおい、俺に馴々しく喋りかけているお前、一体誰だ?」
『俺はテメェだ。テメェに決まってんだろアホンダラ。もうそこまで狂っちまったか?』
「んじゃぁなんで俺が知らねぇヴァルディバラムの予言や、宇宙の何ちゃらの話しが出てくるんだ?」
『………』
そう、こいつは俺が暴走する前、俺が悪魔であるとヴァルディバラムの予言書に書かれていると言っていた。
俺はそんな予言書の事を聞いた覚えもなければ見た事もない。
それを知っているとすれば俺以外の何かだ。
あの時感じた違和感は全く知らない宇宙の話しで確信へと変わったのだ。
しばらく沈黙が支配すると俺の中の声が再び続けた。
『ギャァアアハッハッハ!やっと気付いたかマヌケ!テメェが死ぬまで黙ってやろうと思ったが良いだろう、教えてやるよ!俺様は精神を司る精霊神シェン、今更その体で何が出来る、マキュレスト!』
そう言うとシェンは再び俺の体を動かそうとしたが、タネが分かってしまえば怖いものではない。
返し技はいくらでもある。
『な!う、動かん!何故動かんのだ!ま、まさか!!』
「さて、知っている事を洗いざらい吐いてもらうか?」
『し、しししししし使役だと!?この俺様にぐぅううう!!テメェの魔力は底つきたハズじゃねぇのか!?』
「ああ、そうだ。だが俺は超絶回復を所有しているからな。スキルが正常に動けば1分もあれば元通りだ。」
『そ、そんなバカな!!そんなデタラメな奴がいてたまるか!?』
「安心しろって、全部喋るまでは消さねぇって。」
『だ、誰が喋るかバカ!う、あっ!く!く、口がかってに!!ヴァルディバラムは元々……』
俺は洗いざらいシェンに知っている事を吐かせ、こいつの能力だけを吸収し存在を消滅させた。
正直恐ろしい相手だった。
自分の弱点であるメンタルを操る能力……
もう二度とこんな手をくらうことは無いとは思うが、少なからず慢心していた事を反省した。
しかしこの後、反省では済まない事態が起こっているとは思いもよらなかった……
いつも有難う御座います。




