アルデルシア様の異変
本日分です。
僕はヴィグス。
そう、読者様もご存じのあのヴィグスだ。
「アルデルシア様、よろしいでしょうか?」
「あぁ?」
うっ!こ、これは……
分かりやすい不機嫌モードだぞ!
アルデルシア様はメドゥーサも石になってしまいそうな視線で僕を睨んできた。
しかし、こんな事でうろたえていてはアルデルシア様の従者は務まらない。
僕は動揺した様子を見せず続ける。
「あのあののあのの……」
フッ。
体は正直なようだ。
本能がこれ以上は進むなと言っている。
「んだよ。早く言え!」
「ス~ハァ~では、続けます。獣神王と竜神王の居場所が分かりました。」
「……おう。そりゃ朗報じゃねぇか……」
ニヤッと笑ったアルデルシア様の表情は、先程見せた怒りの表情など可愛く見える程……まるで大邪神ような迫力があった。
神王関連の話しをすると、時折このような表情を見せるアルデルシア様。
それはアルデルシア様の復讐心からなのだろうか?
神王達はアルデルシア様から大切なものを奪っていった。
それは主が一番大事にしている穏やかな日常だ。
当たり前に家族と過ごし、当たり前に平凡な毎日を過ごす。
ただそれだけを望んでいたアルデルシア様を陥れ、大切な家族や民、そして日常奪った神王……
だからアルデルシア様が復讐心する気持ちは分かるけど、いつも何事も飄々と片付けるアルデルシア様のその様子では無かった。
アルデルシア様……その復讐が終わった後、本当にもとのアルデルシア様に戻れるのですか……
そんな主に僕は嫌な予感がしていた。
すると僕の強ばった表情に気づいたのか、アルデルシア様はいつもの表情に戻っていた。
「おうヴィグス、そんな深刻な表情すんなって。なんかよぉアイツらの事を考えるとドス黒い感情がこみ上げてきて感情のコントロールが効かなくなるんだよな。ったく……どうしちまったんだろうな……」
え?アルデルシア様って感情のコントロールができたんですか?って質問をしたら、僕はこの世から一瞬にして消滅するだろうなぁ……
「あれだけの事をされたのですから、その怒りは当然だと思いますよ。」
「ん~そうだな!考えすぎだよな!」
この時、僕はアルデルシア様のちょっとした異変に気付いていたのにも関わらず、思い過ごしであろうと報告を怠った。
今思えばこの事を直ぐにでもエルファーナ様に伝えておけばあんな惨事にはならなかったのに……
明日も何話か更新します。




