わい、死にかける。
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「援軍だと……」
一体でも大苦戦中だというのに、敵(俺)がもう一体増えた。
幸いにも援軍の俺は魔法を連発してくるだけなので、右手で防ぎ太陽の剣でもう一体の相手をする。
厳しい状況だが最初の一体は徐々に動きが鈍って来ている。
するともう一体が魔法が効かない事に気づき、どす黒い剣で斬り掛かってくる。2体を相手にするのは分が悪く何発も被弾する。
「ぐっは!」
ウィンドゥルガンなど比べものにならない程の苦戦に俺は焦っていた。
クソッタレ!突破口が見えねぇ。
徐々に目が慣れてくるものの、2体の連携によりこちらの攻撃が一切当たらない。
自動回復が無かったらとっくに死んでるぜ……
「自動回復……」
俺は防戦一方ながら再生能力と言う単語に引っかかっていた。
最初の一体は明らかに弱っている。再生能力があるのにか……向こうはなぜ回復しねぇんだ…
「ブッホ!」
俺は吹っ飛ばされる。考え事をしながら戦える甘いあいてじゃない。
しかし、攻略の糸口がなければ回復も追いつかなくなり殺られる。
くっそ……相手に武器で勝っているのに情けねぇ……
武器……神器……2体目は魔法を連発してきた……
俺の中でカチッとハマる音がした。
「雷光閃!」
バチィン!と轟音と共に一体を吹っ飛ばした。
「ふっ。リーザの有り難みが身にしみるぜ。」
相手は神器の能力は引き継いでいない。月の鏡が無いからスキルを無効化出来ないし、太陽の剣が無いから再生能力まで斬れない。
リーザの言ってた通り俺には苦戦の経験が圧倒的に少ない。
ピンチになった時の対応に弱すぎるのだ。
「このチャンスを逃してなるものか!」
俺は雷光閃で吹き飛ばした方にトドメをさし、もう一体は生かしておきながら剣だけで倒す。
「か、かったぞ……」
恐らく勇者が突破出来なかったのはここであろう。
相手の装備が違うとはいえ、2体も同ステータスの相手では分が悪すぎる。
神器が無ければ確実にやられていた……
っが、おかげで強くなれたぜ。
そう思いながら俺は先へ進んだ……
そして10日程歩いたであろうか?
ついに最下層まで到着した。
「ブォオオオ!」
すると何の前ぶれもなく突如高密度なマグマのようなドラゴンブレスが向かってくる。
しかし、俺は冷静に右手で弾く。
「何だ休眠は嘘かぁ?ブラド・バンド・ブラッド」
「如何にも我はブラド・バンド・ブラッドだ。恐らく神が封印されているとか、休眠しているとか言われ騙されたのだろ?」
ず、図星だ……
「違うのか?お前がヒノモトを滅ぼすんだろ?」
「フッ、それは正解だ。俺はかつて勇者と呼ばれていた。しかし鬼神を倒しヒノモトを解放したが竜の神にはめられこの様な姿になったのだ。」
親父から聞いた話しに近いが、それは水竜だったはず……
「そりゃ水竜の方だろ?」
「……水竜エブライムカは…聖女と言われた俺の思い人だ……」
まさか水竜がヒノモト近海を周回しているのは神をヒノモトに近づけさせない為か……そうやって恋人守っているのか……せつないな……
俺は沈黙する
「エブライムカの理性はもう残っておるまい。お前が楽にしてやってくれ。そして俺も限界が近い……まだ理性のあ、る、うゴォオオ」
ブラド・バンド・ブラッドは咆えた。
「今……楽にしてやるよ。」
俺は龍破の構えから太陽の剣で一閃する。
「ハァァアアア……龍暫閃!」
恐らくブラド・バンド・ブラッドが力を抜いてくれたのであろう。
あっさりと首が落ち、炎のオーブとなり俺の中へと消えた。
「また神か……竜王とは本当に邪竜なのだろうか……」
何が味方で何が敵なのだろう?俺は疑念を抱きながらも混沌の邪竜を倒す準備を進めるしかなかった……
いつも有難う御座います。30話で武神の名前がコジュウロウになっていましたのでハヤトに修正しました。




