わい、許す。皆も許す。
更新します。
「で、それぞれの経過報告をもらおうか。」
「はい、まずは僕からですね。エルファーナ様を確保して逃げ出した時に、頭の中から急にリーザ様の声がして、アドバイスをもらいながら100年間逃亡をして来たってところですね。」
「そうか、リーザはティファが凍る前にヴィグスへと憑代を変えたのか。」
「はい、そうだと思います。エルファーナ様の生命力の問題もありましたので、ガヌガヌを護衛としてつけ、火の精霊力が高いガヌドゥーン火山の火口で時を過ごしました。」
「そうか、苦労をかけたな。本当はシェルハザードへお前を帰してやりたかったが……すまない事した。」
「め、滅相も御座いません!僕はアルデルシア様に返しきれない恩が御座います。それにアシェアラトとは短い間でしたが、それなりに良い時を過ごさせて頂きましたので……謝らないで下さいよ。もう、アルデルシア様らしくないですよ。」
「ふっ、そうだな。」
ヴィグスはそう言ってくれたが正直複雑だった。
ヴィグスの婚約者はこの世を去り、俺の婚約者はヴィグスによって助けられた。
こいつの実力があれば十分に原始の神々と戦い、シェルハザードを救う事も出来たはずなのにだ……
俺もコイツの忠義に応えられる漢にならねばならないな。
「次はツッコミ巫女。お前が一番今のマキュリファウンスの状況に詳しいんじゃないか?」
「そうでしょうね。」
ツッコミの巫女は大きく息を吸い込んで続けた。
「まずは皆さん、申し訳御座いませんでした。謝っても許して頂けないとは思いますが、私が原始の神々側につき精霊神の母の封印を破壊したが為に、ヒトの大半を死に追いやった……これは揺るぎない事実です。しかし、皆さんと再会して考えました。私が悔やんでも、死んでもその事実は変わらない……だから私は贖罪をしたい!その為ならば何でもします!どうか私を導いて下さい。」
「ふむ、俺は導きなんかしねぇ。俺は俺のやりたいようにやるだけだ。自分の生き方をヒト任せにするな、じゃないとお前、また誰かに騙されて同じ事をするぞ。」
「はい……」
ツッコミの巫女は俺の目を見ながらしっかりと頷き応えた。
「だがな、自分のせいに出来るなら遅くなんかねぇ。お前が誰かのせいにするのであれば、俺はお前を見捨てたかもしれねぇが、お前はきっちりと反省した。自分を変えるのは簡単な事じゃねぇ、だから仲間を頼れ、だが依存はするな、最後に決定するのは自分、しつこいようだがヒト任せにするな。いいな?」
「「はい!」」
「おい、ヴィグス。お前まで返事すんなよ。」
「申し訳御座いません、何故か僕にもズシンと来ました。」
「まぁ良い、この話しは終わりだ。反省している者にこれ以上追求するつもりは無いし、これからの行動で示せ。お前らもそれでいいな?」
「「「はい!」」」
雨降って地固まるでは無いが、俺達の絆はさらに深まった気がした。
「じゃあドドライナ、続きを頼む。」
「はい、アルデルシア様。まず楽園のマナを循環させていたデュルカラーンは精霊神王ヴァグスの手に渡り、楽園各地で魔境が発生しております。またマリュヴェイル大陸は天上神が支配しており、ヒト狩りたるものを行い、ヒトを虐殺し全滅に追い込みました。同じく竜神や獣神も各大陸を支配し、ヒトを手当たり次第虐殺し全滅に追い込みました。」
「……そうか……そうか……やっぱりアイツらだな……」
「はい、噂では天上神にユーフォルビアが、幻獣界にはゲルドランとシェルが囚われており、残虐の限りを尽くされているとか。」
「それじゃあ迎えに行くしかねぇなぁ。そんでもってついでに借りを1京倍にして返してやるぜ。」
「「み、味方でよかった…」」
こうして俺達は手始めにマリュヴェイル大陸に向かう事にした。
しかし出発直前、ヴェルコニア城に招かざる者が現れた……
いつも有難うございます。




