わい、道を尋ねる
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太陽の剣が復活した事により解放された能力は身体能力系のアビリティやスキルであった。
その副作用というか何というか、太陽の剣が真の力を解放した事によって、俺が大きくパワーアップしてしまった弊害から、相手の力の大きさが、さらにチンプンカンプンになってしまい、また一から魔界中を捜索する羽目になってしまった。
「ぐぅう……だりぃぞぉ……って!そうだ!分からないなら誰かに聞けば良いじゃない!天才か俺!」
欲しい物が見つからなかったら店員さんに聞く。
何とも基本的な事を忘れていた。
「よし、まずは適当に生命の反応を探ってだなぁ……お!いっぱい生命反応があるじゃん!街かな?」
力の大きさは分からないが何かの生命反応が10万ほど引っ掛かった。
俺はウキウキしながらそこへ走った。
すると到着した先には魔族の大名行列の的なものができていた。
「ん?お祭りかな??」
俺がジッと行列を眺めていると、やや偉そうな魔族に声を掛けられた。
「貴様!頭が高いぞ!この神輿は次期魔神王であらせられるアトゥラ様と知っての狼藉か!」
「アトゥラ?知らねぇよ。」
俺の反応に周囲が騒つく。
「まぁ何だ、そのぉ道を聞きてぇんだけども……うぉ!」
俺が道を尋ねようとすると偉そうな魔族は俺に斬り掛かってきたので、俺は刃物を人差し指と中指で受け止める。
「な、なんだと……貴様、何者だ!アトゥラ様への刺客か!?」
「ちげぇって。月の渓谷……」
「問答無用!皆の物!此奴を殺せ!」
「でぇえええ!!」
やべぇこいつら全く話が通じねぇ。
確かに大名行列を目の前に突っ立ってた俺も悪りぃけどよぉ。。。
いきなり死刑はねぇだろw
そんな事を思いつつ、俺は仕方なく掛かってくる魔族をひたすらチョップで気絶させていった。
すると神輿の中から低く重い声が鳴り響いた。
「そこまでじゃ。」
「アトゥラ様!」「お許しを!」「アトゥラ様!」「アトゥラ様!」
どうやら親玉が介入してくるらしい、面倒だから逃走すっかなぁ……
「いくら貴様達が束になってもその男には勝てぬ。魔神としての我の勘がそう言っておる。」
「ですが!アトゥラ様!」
「ラバディ、いつから我に意見を言えるようになった?」
「もももも!申し訳御座いません!!」
ふむ、相当な強さなのかな?このアトゥラ様とやらは。
「お主、面白いのう。魔王や魔人将の集団を相手に臆せぬ肝。そしてその強さ。どうじゃお主、我の側近にならぬか?これから魔界を我と共に支配しよう……」
「興味ねぇな。俺はただ道を聞きに来ただけだし。」
俺は食い気味に勧誘を断った。
「アッハッハッハ。面白い……面白いぞ小僧!!だが我に泥を塗った代償はでかいぞ。」
「へぇ。いくらだい?」
「お主の命じゃ!ムン!」
俺は先程と同様にアトゥラの剣を人差し指で受け止め、動かないようにしてやった。
「な!なんと言う力じゃ!」
「ほれ。」
ペキ。
俺は剣をそのままへし折った。
「はぁ?」
アトゥラは間抜けな声を上げた。
「もういいか?月の渓谷はどっちだ?」
多分アトゥラの心も折れた気がしたので俺はアトゥラに再度道を尋ねた。
「は、はい!こ、ここから東へ行くと大きな湖がありますので、そこを北上すれば月の渓谷です。」
「サンキュー!ありがとうよ!」
お、話が分かるじゃねぇかコイツ!
情報GETだぜ!
「あ、あのぅ。お名前を伺ってもよろしいですか?」
「あ?俺か?俺はその……カカバハエマオ。カカバハで良いぞ。」
「あ、有難う御座います……。」
名前を伝えるとアトゥラは俺に綺麗な土下座を決め込んだ。
土下座してもらって悪いのだが面倒な事になりそうだから伝えたのは勿論偽名だ。
纏わり付かれても面倒だしな。
こうして俺は無事、月の渓谷の場所を聞き出した。
到着するまで結構時間は掛かったがアトゥラの情報は正確だった。
「アイツ、良い仕事するなぁ。アイツにブックマークをつけておいたから、コレが終わったら時の神殿の場所も聞いたろ。」
☆アルデルシアが去った後のアトゥラ達
「ラバディ。我、もう魔界統一、諦める。」
「そうですね。あんな化物に遭遇したら私もそう思いますよ。」
こうしてアトゥラの野望はひっそりと幕を閉じ、クーデターは未遂に終わった。
そして、魔界に語り継がれる謎の魔族、カカバハの伝説がここに生まれた……
ご愛読、有難う御座います。




