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戦慄の聖女4

エルファーナ編、完結です。

5/5修正

私の行いは小さな救世主の力によって悪霊が取り憑いていたとの事で処理された。


そして私と小さな救世主は両親父の薦めで許婚となった。


戦慄の聖女から解放された家臣であったが、まだ冷たい目線を投げかける者も少なくない。

それ程の事を私は見てきた……いや…行ってきた。

信頼を回復するには時間が掛かるし努力も必要だ。


しかし私は自分を変え、誰からも愛される人間になりたいと思い転生してきたのだが、自室に籠もり自暴自棄になっていた。


そんなある日


粗めのノックがした。


ドンドン!


「エルファーナ!出掛けるぞ!」


あの声は小さな救世主アルデルシア様だ。

私は少しドキドキしながらドアを開けた。


「へ?何処にですか?」


「城下町に決まってるだろ!城下町と言えばウマい物とか珍しい物とかあるだろう?観光だよ、観光。」


異性と二人で外出……

これは夢にまで見たデート!?

私は先程までの沈んだ気持ちを忘れ支度をした。


こうして私達は城下町に繰り出した。


護衛は無いとの事であったが城でみたことのある騎士が一定の距離を保ち様子をうかがっている。

私はそれを見て見ぬふりをした。


そんな中アルデルシア様は一件の屋台で足を止める。


「おっちゃん!これ旨そうだな!いくら?」


アルデルシア様は私に串焼きを一本買ってくれた。

私は初めての見返りのない善意に戸惑うも、この世界にきて初めての食事をした。


美味しい。


私は空気中にある聖気やマナを吸っていれば栄養がとれる体なので食事は必要ない。

しかし味覚はあるので味を楽しむ事が出来るのだ。


「う、うまい!噛みごたえがありジュシーで甘辛のタレと相性抜群だ!何の肉だ!?」


アルデルシア様は美味しそうに食べながら終始楽しそうだった。


それから他の店を食べ歩いたり、図書館へ行ったりした。

そう言えば、異性と目的もなくブラブラ街を歩いたりするなんて初めての経験だ……

先程も言ったが、夢や妄想で描いたデートの様だった。


「ちょっと覗いていくか?」


アルデルシア様が指したのは、高級宝石店だった。

高級宝石店という響きに一瞬躊躇したがアルデルシア様が行こうと言うので頷いた。


「いらっしゃいませ。プレゼントでしょうか?」


店員さんが近づいてくる。


「ああ。予算の上限は無しだ。この子に似合うものを用意してくれ。」


店員は裏へと消えていく。


「アルデルシア様。私は高価なプレゼントなど……」


私は遠慮する。

王族とはいえ高価過ぎるし子供が買って身に着けるようなものでは無いと判断したからだ。


「女子は光り物が好き何じゃないのか?」


「嫌いと言うわけじゃないですけど……」


「じゃあ俺が勝手にお前に送る。」


アルデルシア様とやり取りしていると店員が戻ってくる。

店員さんが用意したのは3つの宝石だった。

ピンクダイヤ、オレンジルビー、ブルーサファイア


「エルファーナ。俺はピンクダイヤが良いと思うけどそれで良いか?」


「……えぇ。有難う御座います。」


私はオレンジルビーに目を奪われていたので反応が遅れた。


「お客様。一度合わせてから選んで見てはどうでしょう?」


店員さんが試着を勧めてくる。

私は成長期の為、指輪だとサイズ変更が大変なのでネックレスにする事になり、金具と宝石を合わせて何度も鏡と睨めっこをし合わせていく。


するとアルデルシア様から「こう見て行くとオレンジルビーが似合うなぁ。」と言われた。


高価なものなど不相応だと思っていたが、アルデルシア様の頭髪と近い色のオレンジルビーが私の心を掴んで離さない。


「エルファーナ。オレンジルビーで良いな?」


「はい、お願いします。」


前世も含め初めて人に買ってもらったプレゼント。

とても嬉しかった。


「じゃあ帰るか。」


「はい!」


私はもうアルデルシア様に心を奪われていた。


いや、イグハヌから解放してくれたあの瞬間から既にアルデルシア様の虜であった……


子供なのに少し大人っぽい不思議な方……


その魅力は言葉では言い表せない……


あえて現すとしたら太陽……闇を照らす太陽……


あぁ…アルデルシア様……


ずっと一緒にいたい……


しかしそのような甘美な時は残酷にも過ぎ去り、1月が流れるのはあまりにも早過ぎた……


お互いに愛称を決め10年後の再会を誓ったが、心の中にはポッカリ穴が空いたようだった。


そしてアンディを見送り城へ帰ると……


『エルファーナ様、お久しぶりですリーザです。』


「誰なの?」


私は再び何者かに取り憑かれたと警戒した。


『転生前の事は忘れましたか?』


「女神様?」


『違いますがそうです。私の加護が天上神に封印されてしまっていたので貴方の手助けが出来ずアルデルシア様にお世話になっておりました。』


「アンディの!?」


『ええ。エルファーナ様はアルデルシア様の支えとなるよう私が指導させて頂きますので以後お願いいたします。』


こうして私は異世界で生きる目標を手にしたのであった……


次回は本編に戻ります。(予定……

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