わい、兄貴の力量に感服する。
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俺はティファとアクアザードへ来ていた。
それは事の顛末を兄貴に説明する為だ。
「ふむ、にわかに信じがたいな。」
「父上までも逝ったか……」
その場にはエルティアナ王太子妃もいた。
「事実なんざ国民は信じちゃくれねぇ。だから俺が親父達を暗殺して国外へ逃亡した事にしてくれねぇか?」
「貴様、本気で言っているのか?」
「あぁ。」
その返しにバチーンと俺の頬に兄貴のビンタが決まる。
「貴様、エルファーナ姫はどうなる。愛した女を幸せにするのも男の仕事だぞ。」
「…………」
俺は返す言葉が見つからなかった。
2人の王を失ったミラルド大陸が、大いに荒れる事が予想される。
王を殺害した俺を標的にする事により大陸の民の心を一つにすればそれは免れると考えたのだ。
が、正直ティファの事までは考えていなかった……
「私は結構です。」
「ほぅ、レイムリファウンに残られるのですか?」
まぁそれが良いだろうと思っていたがティファの答は意外なものであった。
「私も罪人としてアルデルシア様と伴に参ります。」
「ふむ、本気でそう仰るのだな?」
「ええ。」
ティファは兄貴の目を真っ直ぐ見て言った。
でも俺は納得がいかなかった。
「じゃあこうしよう。俺が王を殺害してティファをさらって行った。これで良いだろう?泥を被るのは一人で良いだろう。」
「そうだな。それで納得いくかは民次第だな……」
兄貴は俺の要求を飲んでくれた。
そしてミラルド大陸一番の都市バーニアムの大広場に国民を集めれるだけ集め演説をする事となった。
俺は直ぐにでも旅立つつもりでいたが演説を見てからにしろと兄貴に止められた。
「我が国の民達よ、我が父であるヴェルコニアの王エルニィーアと、同盟国の王であるレイムリファウン13世陛下が亡くなられた。」
周囲は当然のようにざわつく。
「それは我が国の第3王子であるアルデルシアの暗殺であり、レイムリファウンの第3女であるエルファーナ姫も人質に取られている。」
兄貴がそういうと民達よりどっと笑いが起きる。
「「「ギャーハッハッハ」」」
「ねぇよ!ねぇ!アンディがそんな事するかよ!」
「うそつくな!本当の事を言えよ!」「アルデルシア様ならミラルド大陸ごと破壊できるだろ!」「アイツがまどろっこしい事するかよ!」「そうよ!私達のアルデルシア様は私達の太陽のなのよ!」「どうせアイツのウソだろ!」「アンディをだせ!」「本当の事を言えよ!」「騙されねえぞ!」
広場は大騒ぎだ。
誰も兄貴の言った事が本当だとは思っていないようだ……
「どうするんだバーン、民は貴様の今までの行いをしかと見ておるのだ。心から貴様を信頼している者は口先では騙されぬ。これが貴様の真の力だ。そして2人の陛下が安心して逝かれた理由だ。」
俺は何て浅はかだったんだ……
兄貴はこれが分かっていたんだ……
俺は意を決して壇上に立った。
「すまねぇ皆。」
辺りは俺の話しを聞こうとシーンとする。
「2人の王を斬ったのは俺だ。デュルカラーンに現れた無の龍に吸収された二人ごと殺したのは間違いなく俺なんだよ。だから俺はこの国を出る。今まで世話になったな。」
すると何処からともなくヤジが飛ぶ。
「うるせえぞアンディ!そんな事言いながら龍を倒してミラルド大陸を救ってるじゃねぇか!アンディタイムから逃げようとすんな!」
「そうだそうだ!おごれよアンディ!」
「オメェの事だ仕方無かったんだろ!」
「俺達はオメェの味方だぞ!」
「アンディ!アンディ!」
広場にアンディコールが鳴り響く。
それは大陸中が揺れる大きな音であった。
「どうだバーン、それでも去るのか。貴様の嘘がバレたぞ。」
「兄貴にはかなわねぇな。」
俺は国民に向かって叫んだ。
「テメェらうるせぇ!今日は全部俺の奢りだ!飲み屋は全部請求書を城にもってこい!」
もう一度、大陸中が揺れる大きな歓声が上がった。
その日は嫌な事を忘れる為に朝まで飲んだ。
もちろん兄貴もヴィグスも付き合わせた。
まだいきます




