戦慄の聖女2
エルファーナの話しが続きます。
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意識が戻るとそこは祭壇であった。
『ここは?』
声が出ない。
優しそうなお爺さんが話しかけてくる。
「お主の名はエルファーナ・ティファルディア・レイムリファウンじゃ。」
これが愛情なのだろうか?とても暖かい笑顔だった。
しかし私は私の意志ではなく喋り始める。
「妾はマリアンヌ。天上神王ウヴァヌス様より頂いた名じゃ。貴様等のような下郎が付けた名など虫唾がはしるわ!」
「ティファルディア?」
私は目に見える人間の手足を、魔法らしきもので切断していった。
「ホッホッホ。まるで芋虫よのう、下郎ども。」
これは……夢……なの?
一人の騎士が口を開く
「何故このよ……」
「喋る事を許可しておらぬが?」
私が手をかざすと騎士が苦しみだし泡をふいて気絶した。
「聞け、下郎ども!妾はウヴァヌス様より使命を受け、ゲスなヒトの地に降りたった。滅ぶ定めにあるこのマキュリファウンスを妾の力で救う。」
私を中心に白い光が広がり、先ほど切断した手足が再生する。
「平伏せ下郎ども。これが聖なる神の力だ。」
そこにいた全員が一斉に平伏せるのであった。
「ふむ、神託がおりた。聖天上神教国ルルバヌへ連れていけ。そこで力を蓄えるとしよう。はよ準備せい。」
こうして私は中央教会と言われるルルバヌに向かった。
『ねえ、聞こえる?』
私は私ではない何かに語りかける。
「聞こえておるとも。しかし、お主は凄いのう。」
返答が返ってきた。
「通常は神族が乗り移るだけでヒトの魂など消滅するというのに妾の力を持ってしても消滅させれぬとは……さすがは異世界の魂よ。」
『貴方誰なの?』
「妾はウヴァヌス様が娘イグハヌじゃ。混沌の竜を倒すべく妾は送り込まれてのう。」
『私の体!返してよ!』
「ホッホッホ、できるわけなかろう?お主の肉体は優秀じゃ。アビリティやギフトが大量につまっておる。忌々しいが旧精霊神王もさすがよのう。お主が転生する前に小細工が出来てよかったわい。」
あの時だ!
ここに送り出してもらった後に何かに捕獲された感じがしたのだ。
「まあ。この肉体が朽ちるまで妾の中で見ているがよい。」
私はその言葉を聞いてぞっとした……
中央教会に着くと、私が手を出さずとも皆が平伏せるのであった。
恐らく聖職者には分かる何かがあるのだろう。
「凄まじい神気……アラガミビトに御座いますか?」
教会の方が私に語りかける。
「ほう、少しは分かるようじゃのう……如何にも。」
「私めはこの教会で大司教させて頂いておりますラクガランと申します。全て私めにご命令下さい。」
「ならばこの祈りの間を4年貸せ。そして全員ここから出て行け。入室する事は何人たりとも許さぬ!」
「はは!」
こうして教会の祈りの間に、4年もの間滞在し続けた。
その間に行われた修行は想像を絶する程、厳しいものであった。
痛み等の感覚は、全て私にも共有されていた……
次回でエルファーナ編を終わらせる予定です。




