僕はもうダメかもしれません……
間幕です。
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僕はヴィグス・バーンハイト。
最近、主から爵位を頂き名字を拝命した。
その主、アルデルシア・ヴェルクハイブ様の従者を8年も続けている変態が僕だ!
皆さんも気付いているかもしれないが、あの方の従者を続けるには頭のネジを30本くらい外し、部品も数個外す必要がある。
常識など糞くらえだ!
そんな僕が任されている事、それは移民の受け入れだ。
アルデルシア様が旅先でスカウトしてきた移民の住む家や雇用の斡旋を行い、ヴェルコニアの民として定住させている。
もちろん様々な種族がいるので小競り合いもあるが、皆アルデルシア様の顔を立ててくれ、大事には至らない。
どうしようもない時だけ僕が出て行き、解決するがほとんどそんな事はない。
お陰で爆発的に人口が増え、バーニアムは人口200万程の巨大都市へと成長し、もはや国といっても遜色のないレベルとなった。
僕も領主代理として鼻が高い。
まぁ、ほぼアルデルシア様のお陰だけどね。
そんな充実した日々の中で事件は起こった……
いきなりゾクッと急に鳥肌が立った。
何だこの胸騒ぎは!この殺気は!この巨大な力の塊は!
僕はカの発生源である港へ走った。
これまでに無い全力でだ。
そこには小型の船が停泊しており2人のヒト?を衛兵が取り囲んでいた。
ヒト?と言ったのは、1人は巨人のような大男、1人は獣のような耳がついた男だったからだ。
「おいおい、随分な歓迎だな。アンディはいるか?」
「アンディだと!?」
衛兵が答える。
「あぁ、何だっけかな?太陽の何とかって呼ばれている奴だよ!ディーアが来たって言えば分かる。」
「ふざけるな!貴様のような殺気を纏った男に会わせられるか!」
「おいおい、俺様は温厚な方じゃねぇぜ。」
男が殺気を強めると、対応していた衛兵が汚物を垂れ流して気絶した。
「き、貴様何を!」
「ちょいと殺気を込めただけじゃねぇか。ほれ、お前さんも震えているぜ。」
「くっくるな!」
ディーアと名乗る男はずんずんと前へ進む。
すると勇猛であるはずのヴェルコニアの兵は反射的に道を空けてしまった。
実際に僕の体も蛇に睨まれた蛙のように動かない……
「おぉ?そこの兄ちゃん!強そうだな。」
ヒィイ!目があってしまった!
前世でヤンキーに絡まれたトラウマが甦る。
体が金縛りにあったようだ。
これは殺される……
アルデルシア様……僕はもうダメかもしれません……
「兄ちゃん、アンディは知ってるかい?」
「は、はい!」
不覚にも声が2トーンくらい上がってしまった。
「アンディはどうした?」
「アルデルシア様は諸事情によりミラルド大陸を離れマキュリファウンス中を旅しております。」
圧倒的な迫力に正直に答えてしまった。
「ほぅ、なら先にそう言えってんだ。俺様は近くに寄ったから会いに来ただけだ。アンディによろしく言っておいてくれ。」
「か、畏まりました!」
そう言うと男達は去っていった。
「マキュリファウンスは広いな……アルデルシア様以外にもあんな怪物がいるなんて……ディーアと名乗ったあの男、アルデルシア様より強いんじゃないか?」
僕はしばらく震えが止まらなかった……
明日も1話更新出来ればと思います。




